■NPCの行動規則

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■NPCの行動規則

さて、ここからは特にNPCについて考えていくことにしよう。
NPCとの交流は、PCを魅力的な個人として際立たせる上で重要な役割を果たす。それはプレイヤーにゲームへの没頭を促し、また活発なプレイを誘うだろう。そのためにもNPCの扱いは重要だ。

NPCがどのように行動するのか、さまざまな状況にどのように反応するのか。そうしたNPCの行動規則に法則性があること、また実際にそれに従った行動をとることは、NPCの魅力を伝える上で重要な要素である。逆に行動規則が一定しないNPC、それまでの行動規則から外れてしまったNPCは、その魅力が半減すると言っても過言ではない。

では実際にどのように行動規則を定めればよいのか。これにはいくつかの方法がある。ここでは簡易な基準として目的型、模倣型、役割型について紹介しよう。

簡易な行動規則

目的型
NPC個々人の目的を設定し、その目的達成に適うものであるか否かを判断基準とする。目的型の行動規則を持ったNPCは、その目的達成のために有効と判断される行動をとり、推奨する。逆に目的達成のために不適切な行動を避けたり、妨害したりする。
目的型の行動規則は、NPCをゲーム世界の独立した一個人として、PCと同格に見なすことで成立する。また、NPCの生活環境や背景設定に適した目的を設定することで、そのキャラクターにリアリティを与えることができる。
ただし目的をシナリオの内容とは関係のないものに設定した場合、シナリオから逸脱した行動をとることも少なくない。そうしたNPCは他のプレイヤーから行動規則が理解されにくく、魅力あるキャラクターどころか厄介者として扱われやすいので注意が必要である。
模倣型(属性型)
既存の作品に見られるキャラクターを模倣し、そのキャラクターに適したものか否かを判断基準とする。模倣するのは特定のキャラクターではなく、よく似たキャラクターたちに見られる共通点(属性)を模倣対象とすることも多い。
模倣型の行動規則は、特にNPCの魅力を分かりやすく表現する手法としてよく利用される。模倣型は、どのキャラクター(または属性)を模倣しているのかが共通認識となった時点で成立する。この条件が満たせる限り、模倣元のキャラクターの魅力をそのまま利用できる点で、模倣型の行動規則は即効性がある。
ただし模倣元のキャラクター(または属性)に関する知識がない相手には通じにくいという欠点もある。またサンプルが具体的であり予測しやすいという利点は、意外性を必要とする場面ではむしろ予測が容易すぎるという欠点になりやすい。特にこの予測のしやすさが、PCに対する何らかのアクションに直結している場合、マンネリ化につながりやすいので注意が必要となる。
役割型
NPCそれぞれに物語上の役割を割り振り、それに適うものか否かを判断基準とする。役割型の行動規則を持ったNPCは、物語上の役割を果たす上で、正しいと考えられる行動をとり、そうでない行動を避けようとする。役割型は、物語上の役割を果たすことを目的とした変則的な目的型とも言える。
役割型の行動規則はNPCを、シナリオに用意された物語を成立させるための構成要素と見なすことで成立する。役割型の行動規則を持ったNPCを運用することは、NPC自身の魅力ではなく、シナリオに用意された物語の魅力を表現することを目的とする。
役割型の行動規則は、常に用意された物語に沿った行動となるため、プレイヤーを惑わせる情報ノイズとなりにくい。ただし物語のパターンに忠実であるが故に、そのパターンを知っているプレイヤーにとっては予測が立てやすく、意外性を損ないやすい。模倣型と同じ注意が必要となる。