■ゲームデータとして

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■ゲームデータとして

キャラクターの立ち居振る舞いについては、行動規則と性格設定があれば足りるだろう。しかし実際にそれをゲームに落としこむ際には、ゲームシステムによって定義されたデータに変換しなければならない。

PCであれば、作成ルールとレギュレーションに従って作成することとなる。シナリオハンドアウトなどで予め指示があるなら、それに従えば良い。だがNPCの場合は事情が異なってくる。

NPCの場合、作成ルールに従うかどうかはゲームシステムに依存する。ポイント配分や設計などの作成ルールであれば、ルールに従うことになる。しかしランダムやアーキタイプといった作成ルールの場合、こうしたルールには従わず、行動規則や性格設定、そしてシナリオにおける役割を果たすために必要なだけのデータを作成することとなる。

どのようにゲームデータに変換するかは、ゲームシステムごとに決められたデータの意味に依存することになる。ゲームシステムによっては、NPCの役割やゲーム世界における立場などで、サンプルとなるデータやアーキタイプが用意されているものもある。特にシナリオの要請がない場合、そうしたデータを利用すれば手間はかからずに済む。

NPCのデータを自作する際には、特に判定に関するデータ、そしてゲームに登場する上で必須となる資源については慎重な扱いが必要となる。これはNPCにゲームを壊させないためだ。

NPCにゲームを壊させないために

判定というルール処理は、プレイヤーにとって失敗のリスクがつきまとう行為だ。あるいは手番制のように、キャラクターが何らかの行動をとるために、資源を消費しなければならないこともある。こうしたリスクについて、可能な限りこれを回避しようとするのは、むしろ健全な心の働きといえる。その方法のひとつに、NPCに行動を代行させるというプレイングがある。

PCの代わりにNPCにリスクを負わせることは、そうしたプレイングを許容するゲームシステムであったり、ゲームマスターのマスタリングの指針として許容していたり、シナリオの段階で想定されているのならともかく、原則的には回避したいところだ。なぜなら多くのゲームシステムにおいて、そうしたリスク管理が、ゲームの大きな要素の一つとなっているのだから。

しかしゲームの舞台のリアリティを考えたとき、ルール的にこうした行為が排除されたゲームシステムでない限り、こうしたプレイングを完全に排除することは難しい。もちろんメタレベルでプレイヤーに要請すれば、その限りではないが。

そのため、こうしたプレイングを防ぐ方法として、協力的なNPCのデータを弱めに設計する、というアプローチがある。NPCに任せることが、PCが行うよりもリスクが高いとなれば、少なくとも重要な判定は任せにくくなる。また重要NPCの生存能力が低ければ、そもそも危険なエリアへ同行させること自体がPCたちのリスクとなりうる。NPC自身も危険な場所へと足を踏み入れることはためらうだろう。

そのゲーム世界におけるPCの強さは、ゲームシステムによって変化する。それでもPCは、PCの活躍する物語(=セッション)において、活発に行動することが求められる。それは充実したセッションを運営する上でも重要な事だ。NPCがこれを邪魔することがないよう気をつけたい。

重要度の低いNPCのゲームデータ

ゲームに落としこむために必要であるからといって、全てのNPCのゲームデータを用意しなければならないわけではない。シナリオ上、特に重要ではないNPC、判定などのゲームに関わらないNPCについてまで、データを用意しようとすれば、これは大変な労力となる。しかもその労が報いられることは極めて少ないのだ。

そうした重要度の低いNPCは、MOB(モブ)、雑魚、またはエキストラと称される。彼らについてはゲームシステムで定義されている場合もあれば、されていない場合もある。定義されているなら、そのルールに従えば良い。また定義されていなかったとしても、サンプルやアーキタイプといったデータがワールドガイドなどで用意されている場合、これを流用すればよいだろう。それもない場合は、自分でサンプルを自作することとなる。