■判定

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■判定

判定とは、ある不確定な事柄に関する事実を決定するルールである。

このルールはテーブルトークRPGのゲームシステムの中核をなしている。これはテーブルトークRPGが、ゲーム世界の出来事についてコンセンサスをとりながら、ゲームの状況を生成し、プレイする遊びであるためだ。このコンセンサスをとる手段のひとつが判定である。

判定にはさまざまなものがあるが、ゲームシステムが定義するものは、大きく分けると「ある目的に対する成否を決める」ための判定(成功判定、行為判定、技能判定、受動判定など)、「リソースへの影響を直接決定する」ための判定(ダメージ判定)、「ゲームの状況を確定する」ための判定(遭遇判定、天候表や状況表などのランダムチャート、NPCの反応判定など)の三種類に分けられる。なお、最後の判定については搭載されていないゲームシステムも少なくない。

ゲームマスターとしてマスタリングを行う際には、これ以外にもさまざまな判定を行うのだが、ここでは割愛して、ゲームシステムの定義する判定について考えることにする。

ゲームマスターとして特に注視すべき判定は、最初の「ある目的に対する成否を決める」ための判定である。これは大きく手札型と乱数型に分類され、更に乱数型にはいくつかの分類方法がある。

判定の種別

判定方法:手札型
手札型とは、判定の際にルールまたはゲームマスターから条件を指定し、条件を満たす手札が出せれば成功、出せなければ失敗、という判定方法である。手札は通常、トランプカードや専用のカードを使用するが、「リソースを何点支払えば……」といった形の判定や、プレイヤーの提案が条件を満たしているかをゲームマスターが判定する方式についても手札型と分類する。
この判定方法は、手札の中から成功する札を切るか否かの判断をプレイヤーが行えるため、判定結果をプレイヤーが(ある程度)コントロールできるという性質がある。
単に成功か失敗かといったことから、結果をどのようなものにするのか、普通のやってのけただけなのか素晴らしい結果を出したのか、ちょっと足りなかっただけなのかまったく期待できなかったのか、といった量的な評価がある判定なら、そうした点でも選択できるわけだ。そのため、この判定方法はPCの活躍を描くヒーロー志向の〈世界観〉と相性が良いとされる。
もちろん手札に選べるだけの幅がなければ、判定結果を選ぶことはできないが、できる可能性がある、ということがこの場合、重要となる。
判定方法:乱数型
乱数型とはその名の通り、判定の際にはサイコロか、それに代わるランダマイザを使用して、その結果と判定の基準となる値と比べて判定する方法である。手札型を先に解説したが、テーブルトークRPGで「判定」といえば、オーソドックスなのは乱数型である。
乱数型は前述のとおり、基準値との比べ方、ランダマイザの扱いについて、いくつかのバリエーションが存在する。

乱数型の分類

乱数型:上方判定(ロール)
ランダマイザによる判定の結果が、判定の基準値以上であれば成功、未満であれば失敗とする判定方法は、上方判定(または上方ロール)と呼ばれる。
もっとも一般的な上方判定では、PCの能力値や技能レベルなどのデータから、その判定にふさわしいものを抽出し、その値とランダマイザの出目とを合計したものを「達成値」とみなす場合が多い。この達成値がゲームシステム(またはゲームマスター)が設定した基準値を上回っているか否かで判断するわけだ。
上方判定ではゲームシステム、またはゲームマスターの判断によって判定基準値が決定されることが多い。その判断基準がゲームシステムによって示されているものも多いが、具体的な指示があることは少ない。そのためゲームバランスがゲームマスターの裁量次第になってしまい、楽勝ムードから大苦戦まで簡単に変わってしまうことがある。特にゲームをドラマチックに演出しようと考えるなら、適切なバランス調整のために、簡単な確率の計算を覚えておくと良いだろう。
乱数型:下方判定(ロール)
ランダマイザによる判定の結果が、判定の基準値以下であれば成功、上回ってしまったら失敗とする判定方法は、下方判定(または下方ロール)と呼ばれる。
もっとも一般的な下方判定は、ゲームマスターによって判定の基準となる能力や技能などの項目を指示し、プレイヤーはPCのデータから該当する項目を基準値としてランダマイザを振る、という方法である。上方判定と異なり、判定の基準値はPCのデータに依存するわけだ。そのため行為の成功確率について、ある程度の目安をあらかじめプレイヤーが持ちうる点が、上方判定との大きな違いとなっている。(上方判定では得意不得意の基準にしかならない)
このことは、プレイヤーにも成功確率がある程度分かっている点で、基準値をゲームマスターが提示する方式の上方判定とは大きな違いとなる。それはプレイヤーの行動が予測しやすくなる(望んで自分が失敗する行動を選ぶプレイヤーは稀だ)という利点につながる。しかしPCの能力がまったく及ばない状況を、ゲームマスターの裁量でごまかすようなことも難しい。そのため想定外の展開から、うまく復旧できなくなってしまうケースも少なくない。

ランダマイザの扱い

ランダマイザの扱い:一個(1Dx)
ランダマイザを一個だけ使用し、その結果で判断する方式。確率は矩形分布。
ランダマイザの扱い:複数個の合計(nDx)
ランダマイザを複数使用して、その結果の合計によって判断する方式。確率は正規分布。
ランダマイザの扱い:ヒット数
複数のランダマイザを振り、個々の出目とゲームシステム(またはゲームマスター)の決めた基準値に対して上方判定または下方判定を行う方式。成功の度合いが必要なときは、成功したランダマイザの個数によって判断する。