†何を「認める」のか
本文では書かなかったが、キャラクターの魅力を引き出すために必要な基準が、実はもうひとつある。
それは「何を認めるのか」ということだ。
物語に登場するキャラクターたちは、それぞれ異なる背景を持ち、異なる境遇に置かれている。物語の鑑賞者としてのプレイヤーは、キャラクターのそれらの要素から共感できるものを見出したり、隔意を感じたりする。そうしてプレイヤーが共感を覚えたものへ理解を示すキャラクターは、好意的に受け入れられやすくなる。
彼らの、認める、理解を示す、あるいは逆に無視や無理解、拒絶するといった振る舞いは、そのキャラクターの背景にある「隠されたもの」を想像させるきっかけともなる。
また、ドラマには「説得力のゲーム」という性質がある。異なる複数の立場や意見に対して、どれが最も説得力があるのかを競う。そういうゲームだ。ある立場や意見を肯定するということは、その勢力に助勢し、説得力を強化することでもある。
物語のクライマックスに起こる対決は、物語の中で対立する勢力がそれぞれ力と仲間を糾合した、その臨界点に起こるのだと考えれば、NPCの「認める」「拒絶する」といった振る舞いは、そのゲームを円滑に進めるために必要となるだろう。