初心者さん中心のプレイグループで SW2.0 のゲームマスターやっていたら、経験者の人に「こんなシナリオでよく事故らなかったもんだ。事故るの恐くない?」と言われて。
事故って放っておいても備えてても起こるモンでしょ? と(笑)
そのときのシナリオでは、あきらかに PC には勝ち目の無いモンスターの影をちらつかせてました。まあ PC がそっちに突っかかっていったらキツーいオシオキが待ってたわけで、たぶんそのことを「事故」と表現したんだと思うんですが。
いや、それはでも、やったらやったでしょ、と(笑)
ゲームマスターとして、諸方の端末(NPC 等)から「ヤバいよヤバいよー」言って警告はしているわけで。まあそれをネタ振りだと思ってつっこむ竜ちゃん(上島竜平)タイプのプレイヤーがいたら大変なことになったかもしれませんが。まあそれならそれで「ギャフンEND」でも別にいいか(笑)。ギニャー!
ページの内容
事故は予防するもの?
で、なんかこう事故への対応ってのも色々あるなぁ、と。
事故防止のために色々と考案されているのは知ってるんですが、それがゲームの幅を狭くしてしまっているという思いがあるので、自分がゲームマスターをするときは事故の原因を潰すことはあんまり考えないようにしてます。ただ、警告はする。それでも事故ルートを選ぶのであれば、それはプレイヤーが責任を取るべきだということで。(事故っても面白い展開になることもありますし)
PC のためにルートから危険な事故原因を取り除いて、テーマパークの中を快適に観光してもらうことがゲームマスターの仕事なのかっていうと、それはどうだろう? と。
……ということで、個人的には「事故には備えるんじゃない。対応するんだ」と思ってます。
事故る危険性に過剰反応して、電車も自動車も時速5kmしか出せないように規制されたら流通が麻痺してしまう。
ゲームのバランスに過剰反応したくない
僕がオフラインで GM やるときの手法として、「毎回複数のイベントが用意してあって、導入時のプレイヤーの行動でそのうちの1~2本が選定される」というものがあります。オンラインだと時間がかかるんで滅多に使わない手段なんですが。
なんでそんな面倒なことをするかって言うと、前エントリの注釈3(*3)で書いた
現行の「ゲームマスターは PC のデータを前提にシナリオの障害を設定する」というデファクトスタンダードが打倒されない限り、PC が強くなれば障害も相対的に強くなるのが道理であり、セッション中の障害との関係性において PC は実は全く成長しない。たとえば重要な行為判定において、ランダマイザに求められる値は一定になることが望ましい、とか。
この部分。これに反発してる。
「10レベル戦士がゴブリン退治しちゃイカンの?」という疑問があるわけです。たとえばこれが CDnD のあたりだと、立場上そんなことやらせてもらえなくなる、というのはありえるんですが(爵位も所領もある貴族が、自分でゴブリン退治に出かけるっても。ハンティング?)、たとえば SW の冒険者なんて高レベルになっても冒険してるのって居て、そういう連中はゴブリン退治もするんじゃない? とか思うわけです。
まあ現実的に、たとえば SW で 10レベル戦士にゴブリン退治をやってもらっても、ダイス振るまでもなく勝てるの当然ですから、そういう意味ではゲームにならない。でもまあ現実として、ゴブリン退治する10レベル戦士もいるだろうし、プレイヤーがそういう選択をするのもアリだろうと。
また逆に、勝てないと分かっているような相手に立ち向かおうとする PC もいるでしょう。なんとかして勝つための方策を探って、多大な犠牲を出してでも勝たなければならない戦いというものだってある。
ゲームとして考えると、これら両方ともナンセンスなんだよなと思うんです。
障害の大きさは、小さすぎても大きすぎてもいけない。それがゲームバランス。それは分かるんです。
でも同時に、ロールプレイを考えたときにそれはどうなんだろう? と。
「冒険者の店」なんてものがあって、依頼が壁に張り出されてたりするのなら、どれを選ぶも PC の自由じゃないですか。もちろん、斡旋してくれる冒険者の店の親父さんは適性レベルの依頼を選ぶでしょうが、PC がそれに乗らない可能性だってあるわけだし。
第一、「人助けがしたい」PC と「美少女とお近付きになりたい」PC がいたとしても、そう毎度毎度、「美少女を助ける」依頼ばっかなわけないじゃないですか(笑)。どっかでどっちかを優先することになるわけですが、それをゲームマスターが一方的に決めちゃってもいいのか? と。
以前に書いた「プレイヤーに遊びたいシナリオを考えてもらう」なんかもこの一環で。
高レベルパーティが低レベルシナリオに当たったとき
内輪でやっていて面白かったのが、高レベルパーティにゴブリン退治の依頼があったときのこと。
PC たち、何を思ったのか隣町までひとっ走りすると低レベルの冒険者を連れてきてそいつらにゴブリン退治をさせようって言うんですよ。ゴブリン退治の依頼そのものは導入くらいの予定だった*1[ゴブリン退治の依頼そのものは導入くらいの予定だった] = 頼まれて村にいってみたら、そこは怪しげな奇祭を行ってる村で……となるはずだった。んですが、そこで急遽シナリオが変更されて、弱小冒険者のレベルアップツアーになっちゃった(笑)
その場でダイス振って低レベル冒険者を作って、そいつらを先頭にダンジョンハックし始めたんですね。プレイヤーは 1人で 2キャラ担当して。普段は低レベルの PC を使って、どうしようもないときだけ高レベルの PC を動かして、とか。
そうすると、自分の PC がどんだけ強くなったのかってのが目に見えて分かるわけです。「あー、こっちならもっと簡単に片付けられるのに」とか、ジレンマがあったり。でも必要以上に手を出すと、「こいつらのためにならん」とか「過保護すぎだ」とか他 PC からキツいこと言われたり。逆に低レベル PC がやたらヘタレで「た、助けて…!」と言ってたり、しっかり者(ちょっと空回り)が「もう! 私たちでやりますから引っ込んでてください!」と高レベル PC を突っぱねたり。
もう 10年以上も前のことだけど、あれは未だによく覚えてますね。面白かった。
もちろんこれはアクロバティックな遊び方であって、慣れる前からやってもしょーがないってのはあると思うんですが、あんまり「ゲームバランスをー」と考えすぎてもシナリオフックが硬直して、マンネリ化しちゃうんじゃないかと。
まとめというか、あとがきというか
自分の場合、カジュアルで簡単に遊べる環境があるせいで「事故を恐れる感覚」が麻痺してるのかもしれないんで、あんまり真に受けられても困るっちゃあ困るんですが、でもまあプレイヤーのゲームデザインに投げることがあっても良いんじゃない? とは思います。
切り回せる自信がないとダメなのかもですが、基本、楽天家なので(笑)
References
↩1 | [ゴブリン退治の依頼そのものは導入くらいの予定だった] = 頼まれて村にいってみたら、そこは怪しげな奇祭を行ってる村で……となるはずだった。 |
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【アホ話 : 10レベル戦士1人をゴブリン集団だけで倒すには?】
ちょっと計算してみると、ゴブリンが10レベル戦士(生命点16と仮定)を気絶させるには、最低でも命中クリティカル+防御ファンブル(確率 1/1,296)を 3回繰り返す必要がある(生命点:16 ÷ 打撃点:7 を端数切り上げで 3)わけで、その確率は 1/3,888 になります。
アホな話、3,888匹のゴブリンが一斉に先制攻撃できれば、10レベル戦士は 1ラウンドで殺せる計算です。これを現実化しようとすると、崖の下を歩いている10レベル戦士に、3,888匹のゴブリンが一度に石つぶてを投げたとか、そんな構図になるでしょうか。素直に崖を崩せ(笑)
まあ 2ラウンドかけるならゴブリンは 1,944匹で済み、3ラウンドかけるなら 1,296匹のゴブリンを集めればいい。10ラウンドかけるなら 389匹のゴブリン、100ラウンドかけるなら 39匹……となりますが、39匹のゴブリンが100ラウンド間、10レベル戦士の猛攻に耐えられるわけも無いのでこれは不可能。
……いやいや、そもそも白兵戦で一度に一人の目標に攻撃できる数には制限があると考えると?
たとえば 1ラウンドに受ける白兵攻撃数は 6 が限界とすると、ラウンドあたり消化できる攻撃回数は 6回ですから、100ラウンド殴り続けても、たった 600回にしかなりません。
確率的には 3,888回殴らなければいけないわけですから、これでは全然足りない。
そこで単純に 3,888 を 6 で割ると 648 になります。
単位数 6 の集団が 648 ラウンド維持されないと、確率的な 100% には到達できません。しかし最後の集団は 1匹ずつ打ち減らされていきますので、最後の集団に半減則が働いて、5 ÷ 2 = 2.5 切り上げて 3。
648匹のゴブリンが順繰りに 651ラウンドかけて殴り続けると、10レベル戦士が倒せます。
んなアホな状況がどこにあると(笑)