[Column] 二つの演技

 『神曲奏界ポリフォニカRPG 基本ルール』を買いました。

 で、これ、特にフォーカスシステムを見ながらボンヤリ考えてたんですけど。
 ロールプレイ……というか狭義の「演技」ですか。
 その手法には二種類あるんだと考えると、いろいろ整理しやすくなるかなぁ、と。
(シンプルにすると、失われるものもあるんだけどさ)

二つの演技

 分かりきってる話っちゃ、それまでなんですが。
 RPG のプレー中に行われる演技には、二種類ある。

 一つは「行為判定のウォームアップとしての演技」。
 もう一つは「判定結果のクールダウンとしての演技」。

 昔は「演技の上手さ」ってのは前者、ウォームアップだったんですよね。
 行為判定のボーナスを稼ぐための演技。
 これは「ゲームボードにプレイヤーが歩み寄る」アプローチだと。

 それに対して「リプレイ – 読物」化が進展したことから後者、クールダウンの演技が評価されるようになってきて。
 判定の結果を演出することで、盛り上がりを補強する演技。
 これは「ゲームボードをプレイヤーが手繰り寄せる」アプローチなのかな。

データとフレーバー

 で、面白いのは技能や魔法、アイテムなどのデータとフレーバー。
 よく「F.E.A.R.ブランドのタイトルは、数理以外のデータが全部フレーバーだ」なんて話を聞くんですけど、フレーバーは昔から有ったと思うんですよ。むしろ昔の方がフレーバーの要素は大きかったとも。「火がつきます」といっても、火がついたときの処理がルール化されてないんだから。

 このフレーバーってのが、演技をフォローしていたわけです。
 判定とフレーバーの関係性を考えると、次のような感じじゃないですか?

ウォームアップ型演技
  • データ : クールダウン演技を支援するためにフレーバーを中心に作る。
  • 判定ルール : ウォームアップ演技を評価しやすいようアバウトが適性。
クールダウン型演技
  • データ : 判定結果を支援するため数理を中心に作りこむ。
  • 判定ルール : クールダウン演技を支援するために厳格なルールが適性。

 たぶん、この関係が良好な間は、システムとユーザは表現体として有効に機能すると思います。