[掌篇] 26 : 忘れな草

 春といえば、出会いと別れ。
 あわい想いは、時間の濁流に飲まれてしまう。
 それに逆らえるのは、ものに宿る記憶だけかもしれない。
 ある一組の男女は、それを知っていた。
 一人は地元の学校へ。一人は都会の看護学校。
 けれど二人のキーホルダーに、咲いた花は同じ姿。

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