はるか海を臨んで、廃線の脇に、痩せた古木。
かつては旅客を休めた木陰に、今は年寄り一人ばかり。
黒い老犬が、枯れた右手に鼻を寄せ、吠えた。
ばう。
「そっちはだめ。こっちへおいで」
億劫そうに身を揺すり、左手を少しだけ上げた。
「今までありがとう。もうお行き」
ばう。
お題提供ページ:小説書きさんに50のお題
「正しさ」なんて知らん
はるか海を臨んで、廃線の脇に、痩せた古木。
かつては旅客を休めた木陰に、今は年寄り一人ばかり。
黒い老犬が、枯れた右手に鼻を寄せ、吠えた。
ばう。
「そっちはだめ。こっちへおいで」
億劫そうに身を揺すり、左手を少しだけ上げた。
「今までありがとう。もうお行き」
ばう。
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