前向きにあることが、より良いものを招く。
……といってもよく分からん精神論とかブラック社訓とか、そういう話ではなくて。
ボードゲーム市場についてのボンヤリした感想。
どの件についても特にデータをとったわけでもない、ほんと感覚的な話でしかないんで、与太話として。
ページの内容
より良いものが増えていく感覚
昨今のボードゲーム市場って、どんどん良い物が出てきてる感覚があって。
ソレがいつ頃からかなーって考えると、ちゃんとした年は分かんないんだけど、たぶん「ドイツゲーム」が話題に上がるようになってからじゃないかと思ってて。
『カタン』のヒットから始まるとは思うんだけど、最初は『カタン』だけが拾われて「ドイツゲーム」って括りで見られて無くて、それがどっかで崩れて一気に「ドイツゲーム」の面白さについての言及が増えてきたように覚えてるんだけど……いつ、どのへんのタイトルがキッカケだったかまでは覚えてないですゴメンナサイ。
あるいはその頃からボードゲームの見方が変わったというか。
僕は元々エキスパート級が好きで(まあそれはずっと昔に刷り込まれたものだったりするんだけど)、ドイツゲームの話が出てきたあたりから「こういう(軽い)のも有りなんだ」って思うようになってきたというか。
で、その頃からネットでも新しいデザインへの挑戦について前向きに評価されることが増えたというか、そこから一気に色んなゲームが「こういうのもあるぞ」「これだって面白いぞ」って紹介されることが増えた気がするのね。
(や、もちろん自分がそういう風に見られるようになった、あるいはそういう記事を検索するようになったってのはあると思うんだけど)
それがデザイナーたちを刺激して、「自分ならこういう方法で考える」とか「その挑戦がありならこういうのも良いんじゃないか?」なんて風にどんどん新作が考えられて、それについてまた前向きな評価があって、また新しいチャレンジが出てきて……みたいな。
挑戦を理解される喜び
んでまたちょっと個人的な話になるんだけども。
自分は子供の頃から、それこそ小学生の頃(思いっきしヘボだけど)ポストカードゲーム作ってたような人間なんだけどさ。
自分でゲーム作ってテストプレイして……ってやってる時、一番嬉しいのって「デザインの狙いを看破された時」なのね。「たぶんこういうことがやりたいんだろう」っていう、アレ。
その後の感想・評価まできちんと言語化できてなかったとしても、まずそこまで辿り着いてもらえたっていうのが嬉しいの。
まず「ちゃんと遊んでもらえた」ってのが一つ。
それに「ちゃんと読み取れるゲームモデル(ロジックとか勝ち筋とか)がある」ってのがもう一つ。
デザインする時、一番アタマ使うのってそこでさ。特にボドゲ、マルチゲームって、モデルを理解してからが本番というか、そこでやっと勝つための条件が見えてきて、その条件を目標とするゲーム編制が始まるわけで。*1この辺、デジタルゲームの大半はソリテア中心なんで、負け筋を潰すインタラクティブムービー側に進んだのかなーとか思ってるけどまあソレは置いといて。そこでやっと「どうやってジレンマを生むのか?」「どうやって最後まで緊張を保つのか?」なんて、それこそ神の宿る細部にまで目が届くようになるんで。
「やりたいことが分かってもらえる」ってのは、デザイナーとして本望だと思うのね。
もちろん的外れな読みとかもあって、デザイナーからしたら「そこじゃねーよ」ってのもあるんだけど、それがたとえ誤読であっても「そういう風にも読めちゃうのか。ならその線で面白くするにはどうしたらいいだろう?」って考えに繋げられれば、それもまた新しい挑戦への一歩になるわけで。
ちょっとだけ脱線。
四半世紀も前のこと。恩師が「デザインってのは人の欲を作ることだ」って言ってて。
「ンなコト小学生に言っても分かんねーよ!」と思わなくもないけどまあ、そういう人だったの(笑)
それが活況につながった
勿論デザイナー皆がそうかは分からんけど、少なくない数の人間が「こういう楽しみがあるんだ」とか「◯◯ってこういう描き方(デザインの仕方)があるんだ」とか、デザインする上でプレイヤーに気付いて欲しいことってあると思うのね。そこをキチンと言及してくれると、その後に続く言葉が「ちゃんとできてない」っていうマイナス評価でも、虚心坦懐に受け入れやすくなって。
そうしてマイナス評価でも受け入れられるようになると、発表する上での過剰な恐怖心/警戒心が薄れて、リメイクしたり、新しいデザインに挑戦したりっていうモチベーションが生まれて、プラスの再生産につながる……というか実際につながったんじゃないかなァ、と。
何より認められたり褒められたりってのは嬉しいモンだし(笑)
もちろん今の活況はそれだけが理由じゃなくて、もっと色んな複雑な事情とか、ゲーム研究そのものが勢いづいてることとか、あるいはそれ以外の社会的な偶然とかアレコレ絡んでるとは思うんだけど、少なくともエンドユーザとしての自分がボードゲーム全般を楽しいもの、良いものとして肯定的に見て、新作買って遊ぼうぜって誘えるようになったのって、そういう言説が増えてからなのよ。*2またゲームマーケット行きてぇなぁ。なんかここ数年、縁がないっつーか、タイミング悪く休日が潰れるんだよなァ…orz
なんでまあ、まずデザイナーの挑戦に対して前向きに捉えて、その上で「もっとやれ」でも「アカンやろ」でも言えた、言ってもらえたら良いと思うのです。
余談
なんかまあ――
――この辺とか考えると、購買層の偏りというか、同じ人がたくさん買ってるだけで、広がりはそれほどではないのかな? なんて危惧が浮かんだりもするんだけど。
いや「そもそもアンケート回答者がヘビーユーザだけだから」とか、案外その程度の話かもしんないしなァ。