[review] レッドドラゴン 第一夜(10~16幕)

 やー、面白い!
 最後の展開がもうね、大爆笑っすわ。
 声出さんと笑うのに苦労しました(笑)

 ということで今回も感想を。

欠くべからざるプレイヤー

 もうこれアレだよね、スアローというか「奈須きのこさんが凄い」としか。
 なにが凄いって、賑やかしが(笑)
 いや、「(笑)」なんて付けちゃったけど、ほんと凄いと思う。
 凄すぎて笑いしか出てこない感じ。

 プレイヤーとしての自分は、この中だとたぶん婁のスタイルなのね。
 で、こういうプレイングってのは、演出が入らないと周りはなんも面白く無いんです。
 それも自己演出では足りなくて、他の人にやってもらわなくちゃならない。
 「ボケ→ツッコミ」を成立させなきゃならない。

 実務型キャラクターって、性格的にはツッコミ側なんだけど、物語上はボケ側に立つ必要がある。
 実務って事実しかないから、その事実がどういった評価を受けるべきものか、価値観や世界観によってちゃんと解説してもらわないと分からないのね。
 淡々と問題をクリアするだけじゃ、ヒストリーにはなるけどドラマにはならない、というか。
 これ、スアローがオーバーリアクションで反応してくれるから、際立ってるんよね。

 ゲームマスターとしての自分を振り返ると、セッションをデザインするときに一番気にかけるのが、この「賑やかし」で。
 自分が描きたい物語の世界観にマッチした人選は誰か?
 あるいは予想だにしなかったような物語を見せてくれそうな人選は?
 プレイングやマスタリングに直接影響する部分なんで、かなり気を使うわけです。

 なんでまあ、前にちょっとセッション前だか休憩時間だかに『レッドドラゴン』の話題が出た時、「奈須きのこさんと同席したら超面白そう」とか「虚淵玄さんとプレイヤーとして組むのは大変そう」とかって話になったんよね。

 だからといって、今回の婁は随分と譲歩してましたな。
 というか、今回の更新分を見た限りでは「あ、やっぱ分かってやってたのか」って感じ。
 あるいはセッション中に気付いたのかもわかりませんが。
 っていうのは、メモを取り下げて陰謀をオープンにした時のこと。

PvPと情報の共有、賑やかし

 PvP。プレイヤー同士の対立や競争をプレイすること、またはそれを示唆・容認するシナリオ。
 古くはコンゲーム(騙し合い)なんて言い方もありましたが、どちらかといえばイレギュラー扱いの、敬遠され易かったシナリオモデルです。
 まあ敬遠されてたとはいえ、実際に遊んでる人はそれなりにいたと思いますが(笑)
 でも典型的なピクニックシナリオより扱いにくかったのは事実。

 「ご都合主義」って言葉があって、要するに「先々の予定に対して都合よく物事が運ぶ展開」とか、もっとぶっちゃければ「やらせ」くらいのニュアンスなんだけど、これが「リアルリアリティ」ってのとバッティングしてた。
 キャラクターが知らんはずの情報を元にキャラクターを動かすのはリアルリアリティに沿ってない。
 これはまあ正論だと思うんですね。(GM としても NPC はそう動かすし)
 だからキャラクターが知ることの出来ない情報群を扱うときは、席を外してもらうって手段があった。

 まあでもそれだとシナリオが上手く進まなくなることが多いんですわ。
 特にこう、シナリオが複雑な構造をしていたり、何らかの謎を取り扱うようなモノだと。
 シナリオデザイナーが考えるほどプレイヤーは勘が良くない、なんて言う人もいるわけで。
 これはまあ、各人が持つ物語データベースが違うせいなんでしょうけど。

 そこで隠されるべき情報をオープンにして共有しちゃえ! という遊び方が容認されるようになった。
 「リアルリアリティ志向じゃ上手くいかねーなー」っていう、トライ&エラーの結果ですね。
 僕なんか未だにリアルリアリティの徒なので、これは苦々しくもあるんですが(笑)
 まあでも実際にオープンロールは有用に機能するので仕方がない。

 でもこれ、下手に使うと PvP っていうストーリーに対して緊張感を欠くことにもつながるわけ。
 なんせ相手の手の内が分かってるわけだから、いくらでも卑怯な仕掛けを打てる。
 だからちゃんと PvP を成立させるために、「わからないふり」をしてプレイをする必要がある。
 これ、下手するとフラストレーション溜まるんですよね。

 そこで「賑やかし」の出番ってわけです。
 相手や自分のプレイに対して、キャラクターの価値観をベースに演出をしかける。
 そうやってテンションを盛り上げたり、面白おかしく仕上げて別の楽しみを作り出しちゃう。
 そうして空気を和ませたり、逆に緊張感を維持したりします。

 これを安定して行えるゲームマスターは、だいたい「上手い」と評されます。
 ところがプレイヤーの場合、あんまり評価されない場合があるんですよね。
 余計な茶々入れだとか、喋りすぎだとか。
 実際に同席してみれば、180度回頭しちゃったりするんですが(笑)

 ゲームマスターとしては、賑やかしの上手いプレイヤーってのは本当に助かるんです。
 ゲームマスターは先々の展開まで知ってる、あるいは容易く作ることが出来る。
 だからわざとらしくなっちゃうことがあるし、そういうことを気にして、ゲームマスターの時には賑やかしが上手く出来ないって人もいる。
 だからプレイヤー側でそれをやってくれるなら、それに越したことはないわけ。

 ……ということで、スアロー(ひいてはそのプレイヤーの奈須さん)凄いぞって話でした(笑)

 あと全国の TRPG プレイヤー諸兄。
 頑張って!
 超頑張って!!

 (冒頭で「大爆笑」とか書いときながら、その内容に触れないのはネタバレ防止の為でござんす)