[review] 少女ファイト(7)

 この構成の妙は堪らんなァ、という『少女ファイト』の最新刊について、軽くレビュー。
 ほんとは『群青学舎』の 4巻についても今更ながら書こうかと思ったんだけど、軽く書くはずだった『少女ファイト』のレビューが思わず長くなってきちゃったんで断念。
 あと『猫物語(黒)』も手元にあるんだけど、こっちは僕が書いたらイカンだろう(笑)

『少女ファイト』 7巻

少女ファイト(7) (イブニングKCDX)

 文字リンクは通常版、書影付きのやつは特装版です。ちなみに僕が本屋に行ったら通常版しか無かったので悔しい思いをしたりしております。特装版、注文しようかしらん(笑)

 まあそれは置いといて、『少女ファイト』です。
 鏡子さんがエロいです……って、そうじゃない。
 いや鏡子さんのバスローブ姿はエロいけど、そういう話じゃなくて。

構成および日本橋ヨヲコの作風について

 相変わらず構成が泣きたくなるほど上手い。
 作中のイメージで言えば「欲しいところにボールが来る」って感じで、計算し尽くされたタイミングで欲しいコマ、欲しいセリフが、期待よりもちょっとずつ大きなボリュームで来てくれる。それは意外性で言ったら弱くて、インパクト勝負の少年漫画に慣れた人にとっては退屈かもしれないけど、矛盾も破綻もなく、といって小さくまとまるわけでもなく、ちゃんと少年漫画らしい読後の爽快感がある。
 きっと作中の「エドガワ排球団」もこんな作品なんじゃないかな、と思ったり。

 たぶん『少女ファイト』で目指してるスタイルは、『G戦場ヘヴンズドア』の中で、境田大蔵と阿久田鉄人が映画館で交わした会話の中の「奇跡のような作品」なんじゃないかと。だから「意外性がない」とか「王道」とか「パターン」とかって言葉は、この作品に対してはまったくネガティブなものとして機能しない。
 『G戦場ヘヴンズドア』自体は、たしか「大御所でもなく素人でもない、中間にいる今だから描けた作品」のようなコメントが有りましたが、あの作品の中で、自信の立ち位置とか、本当にやりたいことが決まったのかなー……とか妄想してみたり。ご本人に聞いたわけでもないし、ファンの勝手な妄想なんですけどね(笑)
 セリフ回しの巧みさやドラマ構成、キャラクターの立て方など自分の器(あるいは武器)を知った人間が、それをフル活用するために選んだ方法論なんだろうな、と思うと、この人ほんとに漫画が好きなんだなぁ……と嬉しくなります。

7巻について

 で、えーと、レビューつってんのにファンレター晒しアゲしても仕方が無いんでこの辺にしといて。
 7巻について。

 今回ちょっと今までに比べてページ数が少なくて、アレ? と思ったんだけど、これは連載誌の関係なのか、体力的なものなのか、なんかあったのかな。まあシナリオ的に溜めたい部分でもあろうし、読んでてページ数の少なさはあんまり気になりません。まあコミックスを読むとき、支えの左手が「あれー?」って違和感を感じるくらいで(笑)
 連載の方を追っかけてないんで分からないんですが、漫画って恐ろしく体力勝負なところがあるんで、日本橋先生がお元気でいてくれることを祈ります。何にもなければ、それが一番なのです。

 で、えーと。
 ファンとしてはちょっとだけ残念なことにページ数はちょっと減ってるんだけど、ちゃんと話数は同じで、ストーリーも中途半端にはならずにいつもどおりキッチリ仕上げてきてくれてます。今回は白雲山の話がちょっとだけだけど出てきてるんで、隠れ千代ファンとしてはハッピーでした。
 いいよね、千代。すげえ好き。でも身近にいたら「ウザい」と思う(笑)

ストーリー

 いい加減ストーリーに触れろって?
 うん。なんか軽く書くつもりだったのが長くなってきててヤバいかなーとか思ってんですよね。実は(笑)

 ストーリーとしては、鏡子さん(犬神部長)のエピソード。
 これまでとは少しだけ違って、大人の世界が混じってきました。
 この人の場合、自己解決だけで話が終わるものではないんで、これまでの一年生チームの話とはだいぶ流れが違います。ただ、作中でもキャラクター自身が言ってますが、大石練と大神鏡子って「似てる」んですよね。
 対比としては、鎌倉沙羅が小雪、蜂谷由佳が千代(これはまんま)と置き換えてみると、わりと分かりやすいかも? 今の黒曜谷チームの中で分類してもいいんだけど、そうするとエピソードによってポジション変わってくるキャラがいるんで、ちょっと説明が難しいのです(笑)
 それに千石雲海と式島滋。
 これについては今までもチョコチョコ書かれてたけど、7巻でハッキリします。
 そのへんを踏まえておくと、これまでの犬神キャプテンと練の関わり、また今後どういう成長が求められるのかとか、何が期待されてるのかとか、キャラ同士の中にある色んな心理が楽しく読めるんじゃないかと。

 ちなみに次は、サラ先輩の話のようです。
 犬神家周りの話が、また違った視点で語られて、7~8巻でワンセットみたいな感じになるんでしょう。ブルジョワジーな犬神家、マンガ的な設定からどこまで肺腑に斬りつけてくるセリフが生まれるのか、今から楽しみです。

 で、毎度のことながら 7話目に未散視点の話が入ってます。
 相変わらず 7話はホッコリしますな。
 なんか隆子が可愛いし(笑)
 そして練の人を見る眼、判断基準に思わず吹き出しました(笑)
 いいなぁ、こいつら。ほんと幸せになってもらいたい。