[noize] グダグダと

 現場への正式復帰まで後二ヶ月を切って、最近よく悩むこと。
 読み返すとかなりミットモナイので、スルー推奨であります。
 だが晒す。
 スンマセン。

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若手を育てないと、なんだけど……

 基本的に自分の仕事のやり方、特に新人・若手クラスへの対応ってのがものすごく古い。職人肌といえば聞こえはいいけど単なる頑固親爺というか、根性論は唱えないけど雑草魂は要求するというか(何)。いや一応ちゃんと説明はするんだけど、最終的には「やってみ?」なので。
 でも若手を育てないと、そろそろヤバいぞって話になってんですよね。あちこちで。一応あの粗製乱造の狂乱は過ぎたんだけど、それはつまりバブルが弾けたってのと同じこと。その間、粗製乱造を容認してきたことで出来ちゃった、技術的な空洞化現象が、これから空洞化が拡大するのが分かってる状態で、少しでもその状態を回避するためにはどうしても必要な話。
 ……なんだけど、自分はまあ上に書いた通り、どうもやり方が雑なんじゃないかと。

 ずいぶんと前に書いた「見る/習う」話とかもそうだし、初めて一緒に仕事する人にはとりあえず NG 出してみるとかもそうだし。かといって最初から「褒めて伸ばす」っていうのは苦手というか、最初は良くても長い目で見ると伸びず仕舞いだった人ばっかりだし、逆に厳しくしていった人の中で現役続けてきた人は伸びたけど、一部現場で「使いづらい」*1[使いづらい] = 最初に打ち合わせ必須とか、飲み会でガッツリ質問攻めとか、週刊連載のノリで作ろりたい現場には鬼門(笑) とか言われちゃったりしてるらしい。その辺のバランス感覚というか、様子を見ながらうまいこと伸びるようにガイドするっていうのは、当たり前のことなんだろうけど、難しい。
 難しいからって投げ出すわけにもいかない。

 ちゃんと環境整備できたときに応えてくれた人、企画段階から当たれた人とはそれなりに仕事が出来るようになったと思う。まあこれは「育てた」とかいう話ではなくて、単純に「お互いにいい仕事ができる距離がわかった」とかそんな感じなんだろうけど。ただそれにしたって、その段階に到るまでに 3~4回かかる*2[3~4回かかる] = 1回あたり四半期使うから、ずっと組んで仕事してても 1年くらいはかかる計算。しかも周囲のフォロー必須とか。どんだけ。 とか、その間にどれだけの人が拒否っていったかを考えると、やっぱりあんまり上手くはないんだろうなァ。
 人付き合いは「スルメ型」とか言われるわけだ(笑)

技術職とアナウンス

 先輩方と仕事の今後について話してたときに、「今はまだ新人が入って来てるからいいけど、将来的に手が足りなくなる可能性は十分ありうるよなぁ」って話になって、思わずうなっちゃったり。
 いい仕事をしてる先輩方が居れば、憧れでもって新人さんが絶えることはない……っていうのは理想論で、実際にはいい仕事をしていても、消費されるコンテンツっていうのはあんまり重視されない。いい仕事をしてればそりゃ、ある程度までなら新人さんは入ってくると思うんだけど、必要十分な量がずっと補充されるかって言うと、やっぱりその辺もちょっと怪しい。
 そもそもそういう「いい仕事」が分かる人間っていうのはマニアックなタイプが多いわけだけど、そういう人たちが集まるとまあ、大抵が脱線する。どんどんマニアックな方向へ進んでいって、まず先細る。そうしたマニアックな価値観、製品本体からすれば付加価値、ニッチでしかないものが過剰にもてはやされれば、相対的に製品全体のバランスが失われるし、バランスが失われれば一層、市場規模は絞らざるを得なくなる。技術が先鋭化することで汎用性が失われ、技術力も生産力も低下する。それじゃあ困るわけで。

 いい仕事ができたら今度はそれを認知してもらうための、いわゆる宣伝活動っていうのはやっぱり必要。ポッドキャスティングより前、ストリーミング配信なんてのがちょっとだけ流行った頃、裏方さんたちだけで喋るネットラジオとかやってたんだけど、小さくても反響があると、やっぱりモチベーションが違うってのがある。
 ただまァこれも、ちゃんと話題をまとめたり進めたりしないとリスナーに通じないんで、ただ録音すればいいってものでもないのが難しかった。裏方さんって基本的に喋り慣れてない人が多いし。
 最近だと面白いアナウンスの例として、『シブすぎ技術に男泣き』なんてのがあって、これは読んでも面白かった。なんかものすごく「分かる!」感(笑)

 技術職の難しさっていうのは「認められにくい」ということにあって。だからアナウンスされることで「認めてくれる人がいる」ってことを分かってもらうことが、新しい人を増やすためにはどうしても必要な事になってくる。裏方にスポットをあてた記事とか、製品には興味があっても裏方には興味の無かった人が読むと、「こんなことが認められるんだ」っていう、ちょっとしたカルチャーショックになるらしいので。
 いわゆる「業界紙/誌」の存在意義の一端もそんなところでした、とか。(経験則)
 でもまあそれだけで成立するものでもないというか、どんだけ褒めそやしたところで製品のレベルが低ければ、入ってくるのもそこそこのレベル止まりだから、やっぱり育てないといけない。天才待ちなんて悠長なことをしてる余裕は、たぶんどの業界にも存在しない。(底辺の母数が膨大であっても、中から天才を拾い上げる労力ってバカにならないからねー)

技術職と切磋琢磨

 「一番じゃなきゃ駄目なんですか? 二番じゃ駄目なんですか?」とか、どっかのエライヒト(笑)が言ったみたいけど、少なくとも先進技術を売る商売だったら一番目指さなきゃ嘘だろうと思う。「一番美味しいレストラン」と「(一番美味しいレストランより)美味しくないレストラン」だったら、どっちが選ばれるかって話で。レストランならまだ「気分」とか「席数」とか「シチュエーション」とかいった理由で二番以降が相手にされることもあるけど、それって食事っていう刹那的で何度も繰り返される消費活動だから有ることで、もっと頻度の低いもの――たとえば家買うときに、わざわざ「一番イイ!」と思ったモノを選択肢から外したりはしないでしょ。家を買うときの価値基準を「信頼性」に置いて、上記の喩えを考えれば、実感が持てるんじゃないかと思う。(もっとも信頼性の高い家と、それより信頼性の劣る家、どちらがいい?)
 それでも研究開発してる技術、またはその製品を売らなくていいなら別なんだけど。売らないのに作るってことは、単純に金をドブに捨て続けるってことのような気が。誰も食べない料理をただ作り続けるなんて食材への冒涜でしょうに。いや別にそんな話がしたかったわけじゃあないんだけど。

 とにかくそのレストランの喩えでいくなら、「開店したばっかりだから」ってマズい飯出す料理屋に誰が行くかって話。まあ開店当初はそれでも一見さんとか物珍しさでお客さんくるけど、そういうのが一巡しちゃったらもう駄目だ。一巡してる間にちゃんと研究して下調べして、最低限できるようになったり、出来るようになりそうな伸びシロを作っておいて下さいと言いたい。労働力が売り物のサラリーマンならまだしも、能力が売り物の自営業主ならちゃんと勉強して下さい。分からないことがあったら聞きに行く。方針に意見があったら相談に行く。少しでも参考になりそうだったら何でもやってみる。体を通してから判断して下さい。
 オンリーワンてな「特定の価値基準におけるナンバーワン」です。その価値基準が認められるよう努力しなくちゃいけないわけで、そういう意味では既存の評価基準に依存するより大変な可能性だって十分ある。価値観ってのは簡単には変わらないものなんだから。肩の力を抜くどころか、よっぽど怒り肩にでもなろうかって話で。

で、結局

 ……とかいう考えそのものを変える気がないコトなんかを考えてみると、やっぱり自分にはあんまり教育ってのは向いてないんだろうなぁと思ったり。でも立場的にも年齢的にもそろそろ出来るようになっておかないと、先が苦しくなる一方だからなぁ。
 またトレーニング用の環境から始めなきゃいけないのか。
 でもあれコストかかるからなぁ……
 トレーニング中に収益上げられるような、いい素材があればいいんだけど。

References

References
1 [使いづらい] = 最初に打ち合わせ必須とか、飲み会でガッツリ質問攻めとか、週刊連載のノリで作ろりたい現場には鬼門(笑)
2 [3~4回かかる] = 1回あたり四半期使うから、ずっと組んで仕事してても 1年くらいはかかる計算。しかも周囲のフォロー必須とか。どんだけ。