[chat] 20091103#8-描写について、まとめない

描写について
オリハタさん(仮)
「質問。ゲームって本業じゃないよね?」
玄兎
「まあ本業じゃないんだけどね。シミュレーションゲームは表現媒体の一つだし、体験型ストーリーというか、身体感覚と娯楽って切っても切れないわけで。の本質的には近接できそうだし。人のエゴを知らないと、作れないでしょう。遊びなんて」
オリハタさん(仮)
「モデルがあるだけじゃ作れない?」
玄兎
「大きな枠組はね。今回の話はストーリーテリングで言うと、ストーリーの部分だけだから。カタルシスの獲得、まあ浄化を獲得するってのも変な表現なんだけど、そうしたプロセスを発生させる条件として、カタルシスの発生モデルとしてのアイデンティティ確立。本来なら長期的に行われることを、ユーザーサイドの経験と想像によってダイナミックにショートカットすることで圧縮、低コストで安全に疑似体験する技術としてのストーリーモデル。そういうものの一形態を構築してみたわけだけど、実際にこれを成立させるためにはショートカットの条件になる、経験やら想像やらっていうものに働きかける要素が必要で、これはテリング、描写や表現っていう技術が大部分を担うことになる。大部分であって全てではないのは、後で話すキャラクターの役割配置もそうした描写の土台になる部分を請け負うからなんだけど、まあそれは置いとくとして、やっぱり大部分に関わるテリングの要素についてはタッチしてない。ストーリーの因果をつなげて崩さないこと、そのために必要なものの配置については構造的に話せるんだけど、その先は今回はノータッチ」
オリハタさん(仮)
「なんで? それはひとつのパッケージには出来ないものなの?」
玄兎
「そっちは今のところ、さっきのモデルみたいにはっきりした形には出来てないんだわ。誰に何をどう語らせるのか、で個別のパターンランゲージにはできるとは思うんだけど。特にTRPGのシナリオの構造論として扱うとね、実はテリングの部分にシステムごとに用意された独自言語と、一般的に使われる日常言語、まあこの場合は非日常と言うか、文芸的な表現なんかも含むんだけど、そんなわけで使用言語の選択幅が広い分、簡単にパパッと説明できるものではないんだわ。これが」
オリハタさん(仮)
「概要だけでも無理?」
玄兎
「いくつかのパターンはあるんだけどね。それはシステムごとの、なんだっけ、ポリシーだったかな? いやまあ人が定義した新しい言葉を無理解に使うと、意味が崩れる可能性があるんで触れない方が良いか。通じやすいのは、世界観かな? テリングモデルは基本的に、そのゲームシステムが志向する世界観に合わせて運用するもんだし、ゲームの状況、シナリオのベクトル、プレイヤーのメンタリティ、純粋に好み、あとプレイヤーに期待するプレースタイルなんかも鑑みて、状況に応じて語り口は変えられるものだから」
オリハタさん(仮)
「そこまで構造化してあるわけ?」
玄兎
「まだ要素分解の段階だね。語りの技術としては、TRPGってのは必ずメタフィクショナルな要素が絡んでくるわけだけど、それをどこまで抑えるか、また逆に表面化させるかっていうのが一つの肝になってね」
オリハタさん(仮)
「ゲームっぽさを出すか、お話っぽさを出すか、て話?」
玄兎
「そんな感じだね。その表現で行くと、ゲームっぽさっていうのは例えばシステムで扱ってる数字を文中に盛り込むとか、ゲームを意識させる方法ね。そうだな、たとえばこんな感じ。君たちの行く手はいかにも重そうな台座に塞がれている。その台座は、体力で-5の判定に成功しないと動かすことは出来ない。ゲームブックなんかでよく使われてた、二人称話法。この後、台座を動かそうとチャレンジするなら判定を行い、成功したらパラグラフいくつへ、失敗したらパラグラフいくつへ進め。また君がそうしたチャレンジをしないなら、別の行動を宣言せよ。もと来た道を引き返すならパラグラフなんぼへ、魔法の呪文を唱えるなら、呪文書に従って正しいパラグラフへ進め。いや、これじゃ完全にゲームブックだけど」
オリハタさん(仮)
「パラグラフって?」
玄兎
「段落。ゲームブックはパラグラフごとに物語が進むようになってて、ひとつのパラグラフが終わると、次のパラグラフナンバーを読むって形式で進行するわけ」
オリハタさん(仮)
「なるほどなー」
玄兎
「これがお話っぽくしようと思ったら、君たちの行く手には、いかにも重そうな台座がある。そいつを動かさないことには、その先の道へ進むことは難しいだろう。さてどうしよう? とか。要はルール用語とワールド用語ってのかな、システマティックな言葉、メタフィクショナル、ていうとまた意味違っちゃうか。とにかくキャラクターの認識レベルの言語と、プレイヤーの認識レベルの言語を、どう組み合わせるかの話で。レフリーサイドからの描写スキルは大雑把に線を引くと、自分でフィルタリングするか、相手、この場合はプレイヤーだね、そっちにフィルタリング作業を委ねるか、て話になる」
オリハタさん(仮)
「ふんふん」
玄兎
「イニシアティブをどう知覚させるか、とかまあ話術のレベルになるんだけど。ストーリーテリングと言ってもTRPGはダイアローグだから、GMが無敵モードでマシンガン乱射しちゃ意味がない。掛け合ってなんぼだからさ、TRPGって」
まとめない
玄兎
「そろそろ時間だから、まとめないで終わろう」
オリハタさん(仮)
「まとめないんだ(笑)」
玄兎
「関連して言っときたいことが残ってるんで。なにかってと、最終的にはこの手のストーリーモデルも単方向で終わったら意味が無いんだよね、て話」
オリハタさん(仮)
「どういうこと?」
玄兎
「今日の話の一番最初に言ったことだけど、このモデルはシナリオデザイナーが、セッション前にシナリオを用意するためにも使うけど、同じレベルでゲームマスターがセッションハンドリングにも使用するものなわけ。セッションハンドリングがどこで発生するかって言うと、それはプレイヤーとの掛け合いであって、またそれはゲームの状況の変化っていう結果を出力するものでもあって。まあ状況が変化するからハンドリングする必要が出てくるわけど、とにかくそれをするのはテリング、描写技術なわけでさ」
オリハタさん(仮)
「シナリオを用意しても、それはテリングで容易に変化する?」
玄兎
「YES」
オリハタさん(仮)
「だからセッション中にもシナリオをデザインし続けないといけない」
玄兎
「YESだね」
オリハタさん(仮)
「じゃあこのモデルでセッション前にシナリオを用意することの意味は?」
玄兎
「ストーリーモデルを持つことの意義、その最たるものは応用力にある。ゲームマスターがシナリオデザイナーを兼任する場合、用意されたシナリオと、ハンドリング、この二つが同じモデルから生じたものであるなら、ブレを最小限に抑えられるってこと。同じモデル、同じフレームを使っていれば、応用するのも同じ枠組みで修正すれば良いから」
オリハタさん(仮)
「つまり、イレギュラーが起こった時の、リペアにこそ力を発揮するってことね」
玄兎
「そう。もちろん、この辺の技術は標準化に通じるものだから、余裕ができたら逸脱することを頭の片隅に置いとかないといかんのだけど。ただ、最初のうちはとにかくシナリオがちゃんと終わるように、終わらせるようにハンドリングできなきゃ話にならないし、終わらせたセッションは自信につながるし、自信があれば逸脱させることもできるようになるし。実際、セッションを面白くする方法は、用意されたシナリオ通りに進めること、ではなくて、プレイヤーが繰り出してくるアイディア、ネタと準備してきたシナリオソースとを絡め合って、ライブパフォーマンス的に場を形成して行くことだと思う」
オリハタさん(仮)
「(笑)やっぱりそうなんだ」
玄兎
「やっぱり?」
オリハタさん(仮)
「何回か参加してみて、絶対これ準備してなかったんだろうなあって思ったの。ピーカブー、だっけ?(笑)」
玄兎
「ああ(笑)。あれはアドリブ全開で遊んでたからなあ。あれはもう、ギミックの勝利なんだよ。子供時代って誰にでもあるし、ある意味ものすごい卑怯なシステム(笑)」
オリハタさん(仮)
「あれが遊んでる時に一番面白かったなあ。笑いっぱなしだったじゃない(笑)」
玄兎
「お化け屋敷はホラーなんだけどねえ。まあクトゥルーとかもそうだし、その辺がちょうどいい距離感なんだろうな。他に印象が強いのって、あった?」
オリハタさん(仮)
「みんな面白かったけど、遊んでる時はあんまり分からなかったのは、シャドウラン、だっけ? あれ」
玄兎
「だと思った。顔に出てたし(笑)」
オリハタさん(仮)
「そうだったと思う(笑)。あれはリプレイもらってから、面白さが分かった感じかなあ」
玄兎
「なるほどなるほど。たぶん描写されたシーンの脳内再生がネックになったんだろうな。シャドウランは特に処理する情報量が多いから。しかもヘビーゲーマー混じってたし。簡易翻訳じゃ追いつかなかったでしょう」
オリハタさん(仮)
「専門用語が分からないものだらけだったから」
玄兎
「たぶん遊びこんでワールドセットに慣れれば、めっちゃ楽しんでもらえるようになると思う」
オリハタさん(仮)
「勉強しておくから、またやるときは誘って」
玄兎
「言われるまでもなく」
オリハタさん(仮)
「よろしく」
玄兎
「うん、了解。正直、オリに勉強されたら僕の方がボケ連発して大変な事になりそうだけど(笑)。まあその専門用語っていうのも、テリングパターンに関係してくるんだけど。同じ情報を伝えるんでも、使える単語のセレクションが限られてくるから。と、容量もうギリギリだな。じゃあ今日もお相手ありがとうございました、てことで」
オリハタさん(仮)
「お疲れ様でした」
玄兎
「はい、お疲れ様でした」

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