[chat] 20091103#4-大アルカナの解説・その1

大アルカナの解説・前半
オリハタさん(仮)
「タロットカード?」
玄兎
「そう。ユング、心理学者のね、あの人がこいつの中にライフサイクルを見出した。最初の方で話した、よくできたドラマと人生が同じモデルになってるってやつ、あれのベースになってる話」
オリハタさん(仮)
「タロットカードが人生って。占いの道具じゃないんだ」
玄兎
「いや、占いの道具だよ。長いこと遊び道具だったらしいけどね。いわゆるトランプの原形。でも占術道具としての資料の古さで言ったら、実はトランプ占いの方が古いらしいけどね。そのへんは良く知らない」
オリハタさん(仮)
「それで、これでドラマの構造を説明してくれるわけ?」
玄兎
「まあ、そういうこと。『ペルソナ3』で江戸川先生の講義を受けたり、最終戦闘までいきついた人なら分かると思うんだけど、これは愚者の旅なんて言われる人生モデル。これからの話は、タローの占いとか、オカルト関連の知識がある人には、ちげーよって笑われたり怒られたりする箇所もあるとは思うけど、あんまり神秘思想に寄らないで、敢えて表層的に読んでみます。ユングの解釈ともちょっとずれる部分があるような気もするけど、まああれだ、翻案だと思って聞いて。タローって色んな読み方が出来るようになってて、中には大アルカナを、22枚の小説なんていう人もいるくらいだからさあ」
オリハタさん(仮)
「小説。これが」
玄兎
「そう。先人たちの知恵の結晶でもあるし、経験的に収集された情報を分類したものでもある。個人的にはこれ、人間そのものについてまとめた最小単位のデータベースだと思ってる」
オリハタさん(仮)
「データベース? よく分からないかも」
玄兎
「まあ普通そうだと思う。さて、じゃあ順番にいこう。最初は、これ」
オリハタさん(仮)
「フール。これが愚者ね」
玄兎
「そう。こいつが旅をする。たとえばこいつは知恵の実を食べた人間と言われる。失楽園、アダムとイブだね。楽園から追い出されて、あてどない旅に出たわけだ」
オリハタさん(仮)
「ふんふん」
玄兎
「ライフサイクル解釈では、たとえば楽園を母体と読み替えると分かりやすい。絶対的に守られた環境。そこから追い出される。つまり生まれる」
オリハタさん(仮)
「いきなり生々しくなった(笑)」
玄兎
「(笑)オタク的に語るとハイバネレンメイの一つの解釈でもあるんだけど、まあそれはいいか。ちなみに魔術的解釈では、フールのカードナンバーはゼロ。ゼロはアインとも読む。アインとは無、無し、のことなんだけど、アインはアインソフを生む、ともされる。無限って意味。だからフールは無限の可能性を有している、と読む」
オリハタさん(仮)
「本当に赤ちゃんなのね」
玄兎
「そういうこと。さて次だ。カードナンバーワン、マジシャン。魔術師。魔術師の間では力の術者、マグス・オブ・パワーなんて呼ばれることもある。たとえば彼は、いつ頃からそう言われるようになったのか知らんけど、炎を操ると言われてる。操るっていうのはこの場合、作り出したり維持したり取り回したりって事で、西洋史的には炎の発明ってことになる。まあプロメーテウスの火ですわ」
オリハタさん(仮)
「原子力発電?」
玄兎
「そっちじゃなくて、大本の方」
オリハタさん(仮)
「じゃあギリシャ神話の」
玄兎
「お。そう、それ。先に考える者、先見の明のある者、プロメーテウス。火の発明により、人類は夜の暗がりの中でもあたりを見渡すことができるようになった」
オリハタさん(仮)
「ライフサイクルでは?」
玄兎
「赤ちゃんの薄目が開くってことだろうね。辺りを見回し、認識が可能になる。彼の人生の始まりだ」
オリハタさん(仮)
「なるほど」
玄兎
「続いてナンバーツー、ハイプリエステス。女司祭長。女教皇とも言うけど、まあどっちでもよしとしようか。彼女はトーラー、律法だね、それの書かれた書を持ってる。てか書が何なのかってのは実は決まってないんだけど、まあ通説ではトーラーの書と言われてる。それをこちら側に向けて、教えようとしている」
オリハタさん(仮)
「西洋史の解釈だと、どうなるの?」
玄兎
「西洋史でも律法、モーセと神との契約、て解釈できないことは無いんだけど、この場合は言葉の発明って解釈するのが良いんじゃないかと思う」
オリハタさん(仮)
「じゃあライフサイクルでも同じだ。言葉を覚えるわけ」
玄兎
「言葉というか、意思疎通の方法というか、まあそんなところでいいと思う。またライフサイクルでは揺籃期、ゆりかごの中にいる間を表してると考える。変わりない景色、変わりない日常。そしてそこから出る準備」
オリハタさん(仮)
「なるほど。次は何?」
玄兎
「ナンバースリー。エンプレス。女帝。球体と十字の組み合わさった笏杖を掲げ、盾を持っている。球体と十字って、つまりこれね」
オリハタさん(仮)
「フェミニン」
玄兎
「そう。いわゆる女の子マーク。占星術では金星、ギリシャ神話では美の女神ウェヌスのシンボル。そういう意匠がイラストに入ってる。で、まあ盾の方についてはイラストレーターの解釈で変わるんだけど、古いマルセイユ版では王権の象徴としての鷲、現在占いによく使われてるウェイト版ではフェミニンが直接描かれてたりする。笏杖は指揮棒というか、目的と行動の関連付け、だから意思を表す」
オリハタさん(仮)
「盾は?」
玄兎
「盾はそのまんまで、守護。保護って言った方が良いかな。西洋史的には母系社会的な集落の形成。男が狩りをして、女が家を守る、とかそんな感じ。ライフサイクルでは、ゆりかごから出て自律、セルフコントロールによる運動が行われる時期だと思えば良いかな」
オリハタさん(仮)
「幼稚園くらい?」
玄兎
「大体それくらいだろうね。まあ、幼稚園っていう社会環境は、また別の話にするべきだろうけど。ゆりかごの外の世界には色んな刺激があって、それらにどう対応するかを学んだり、決めたりしていく。んじゃ、次。いい?」
オリハタさん(仮)
「はい」
玄兎
「次はナンバーフォー、エンペラー。皇帝。玉座に腰掛けた威厳ある男性も、やっぱり笏杖を持ってる。ただし今度は掲げないで、目の高さに持ってる」
オリハタさん(仮)
「盾は?」
玄兎
「マルセイユ版には同じように描かれてるんだけど、ウェイト版には無い」
オリハタさん(仮)
「無いんだ」
玄兎
「必要ないと判断したか、エンプレスとの差別化を図ったか。まあその辺は色々と考えがあってのことなんだろうけど」
オリハタさん(仮)
「さっきのが母系社会だったから、こっちは父系社会でいい?」
玄兎
「いい。すごくいい。西洋史的には、力による支配の始まり。ていうとイメージ悪いけど、母体数が増えたことによって人口が加速度的に増加していくようになって、それを養うために移動する必要が出来てきた時代。集団行動のオピニオンリーダーとしての皇帝」
オリハタさん(仮)
「ライフサイクル的には?」
玄兎
「行動能力が上がって、いろんな行動をとり始める頃。力を身につけて、行動する。家の中で色々と悪戯して、仮想敵としての親にはっきりと叱られるようになる時期かなあ」
オリハタさん(仮)
「まだ幼稚園児な感じ?」
玄兎
「年齢的には、その辺だね。小学校低学年くらいまでは入れても良いかな? でもまあ、社会装置が明確に登場するのは次なんだな」
オリハタさん(仮)
「次?」
玄兎
「そう、次。ナンバーファイブ、ハイエロファント。教皇だね。ここで家族以外の社会が明確に登場する。イラストを見ても分かるけど、複数の人間がいるでしょう。三重の冠をいただき、三重の十字の笏杖を携えた教皇が中心に、その手前には二人の信徒がいる」
オリハタさん(仮)
「三重って、意味あるんでしょ?」
玄兎
「もちろん。キリスト教で3って言ったら?」
オリハタさん(仮)
「父と子と聖霊。三位一体でしょ?」
玄兎
「おお、正解。すんなり出てくるとは思わなかった。凄いな」
オリハタさん(仮)
「教会建築で3って重要なの」
玄兎
「ああ、そうか。とことん建築で来るなあ。いいなあ。うーん」
オリハタさん(仮)
「先、先」
玄兎
「ああ、ごめん。教皇は聖なるもの、父と子と聖霊のシンボルだね。画面内にいるのが三人っていうのも、同じような意味がある。三位一体のイコンって、三角形の頂点を結ぶように三人の像を配置したイコンもある」
オリハタさん(仮)
「アンドレイ・ルブリョフの聖三位一体でしょ」
玄兎
「そう、まさにそれ。あのイコンもシンボルだらけで、読み解いていくと色々面白いんだけど、まあそれはいいか。西洋史的には、父系社会としての集団が移動することで、相対的に発生する力による衝突、まあ戦闘だね。それを収めたり、そもそも発生させないための規範を作ったり、直接的には規範としての宗教が生まれたりした時代だと思えばいいかな」
オリハタさん(仮)
「ポリス文化ってこと?」
玄兎
「まあ、そんな感じかな。歴史的に見ても、人類ってそんなに画一的に文明レベルを上げていったわけでもないし、宗教が出来たって戦争はするし、まあその辺は解釈次第なんだろうけどさ。ライフサイクル解釈では、さっきも話したけど家庭から外に出て、社会装置に組み込まれる頃。社会人教育、ていうと現代のイメージからは離れちゃうか」
オリハタさん(仮)
「義務教育でいい?」
玄兎
「いい。社会のルールに沿って家庭から外に出ることで、具体的に行動範囲が広がっていくわけだ。で、次。次も人がたくさんいる」
オリハタさん(仮)
「ラヴァーズ? 恋人たち?」
玄兎
「そう。ナンバーシックス、ラヴァーズ。一組の男女が、ていうのは実はウェイト版の話で、マルセイユ版では一人の男と二人の女、なんて構図だったりする」
オリハタさん(仮)
「二股?」
玄兎
「これも聖三位一体と同じ、三位一体の合一を表してるのかもしれないけどね。そうするとまあ、頭上のクピドが邪魔になるんだよなあ。4てのも魔法数ではあるんだけど。それはいいや。さっさと進めよう。二股というか、これは試練の象徴と考えられる」
オリハタさん(仮)
「試練」
玄兎
「そう、試練。男性的でかなり身勝手な話なんだけど、これね、マルセイユ版だと真ん中に男がいて、頭は左の女を見てるんだけど、身体は右の女に向いてる。左が理性、右を感情とする人もいるし、左を道徳、右を肉欲とする人もいる。どっちにしても右の女はなんかひどい扱いなんだけど」
オリハタさん(仮)
「そんな話なわけ?」
玄兎
「いろんな解釈があるんだけどね。まあさっきの二股説と三位一体を結びつけると、右下って聖霊の位置だから、そうすると聖霊ってそんなんかい、とかとんでもない話になっちゃう(笑)」
オリハタさん(仮)
「悪魔の間違いじゃないの?(笑)」
玄兎
「そういうことになっちゃうんだよなあ。だからまあ、一緒に考えるのはやめといたほうが良いんだろうね。ああ、そうじゃない。かなり脱線したけど、とにかくこれは名前どおり、恋人、恋愛、愛し愛されることの喜び、とかまあそんな感じのカードになる」
オリハタさん(仮)
「急に生々しくなってない?」
玄兎
「前のハイエロファントが潔癖なくらいだから、反動もあるんだろうけど。西洋史としては、都市間の連合とか、都市国家から連合国家への発展、あたりかな」
オリハタさん(仮)
「ライフサイクルは、そのまんま?」
玄兎
「だね。人との触れ合いと、それに伴う衝突。それを乗り越えることで、より深く理解し合えるようになる。自分自身の行動によって小さな社会を形成する、そんな頃」
オリハタさん(仮)
「ただ幸せなだけじゃないのね」
玄兎
「まあライバルと丁々発止もあるでしょう。あったんじゃない?(笑)」
オリハタさん(仮)
「どうかなー(笑)」

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