[掌篇] 24 : タイムカプセル

 ずっと昔のこと。
 祖父はよく私のことを話してくれた。
「まだこんなに小さかった頃は」
 私の知らない私のことも知っていた。
「お前が生まれたときはね」
 忘れてしまったたくさんの話。
 祖父の中には息づいていた時間。
 亡くしてしまった。
 私のタイムカプセル。

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[掌篇] 23 : 二人だけの秘密

 午後三時、賑やかなテラス。
 そこには人気のおばあちゃまがいて、
 みんなが彼女の話を楽しんだ。
 彼女はたくさんの話をして、
 みんなが彼女を知っている。
 だけど彼女が首から下げたペンダント、
 小さな鍵型のヘッドのことは、誰も知らない。
 ずっと昔の、秘密の約束。

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