[Manual?] ドラマとしての NPC の数

 半年前に書いたまま放置していた下書きを発掘。
 ちょっと場つなぎにアップしときます。
(「わかる本」で、BF の代わりに SR が出てきたんで、そっちで書こうと思って読んでます。TnT の前に、富士見ドラゴンブック系を最低三冊は提示しておきたかったので。)

 うーん。
 たった半年前なのに、なんだか文章が“若い”気がする(笑)

ドラマとしての NPC の数

 シナリオに登場する NPC の数ってどれくらいが限界だ?
 ……というのを、

 こちらを読んで考えてたんですが、そしたらいつの間にかシナリオ単位じゃなくシーン単位の NPC 適正数に考えが飛躍してしまいまった。
 ここまでくるともう単純に脳内絵コンテの話になるんですが。

ドラマ表現としての 3人目

 のーない会議tatuya さんの

命題:
「3人以上キャストが登場すると画面が五月蠅くなるので避けるべき」

 目的の図式を単純化すれば良い。
 たとえば、一対一の対話(つまり、キャストふたりのケース)の一方に、三人目のキャストが従属(同行)するなど。こうすれば、四人目が登場しても大丈夫だ。つまり、一対一の対話に、さらに一人ずつキャストが同行するカタチにすればよい。

 また、紙魚砂日記さんの

1)NPCが3人以上登場するストーリーは、すでに難しすぎる
 依頼されて敵を倒す話だったら「依頼者」「敵」以外のNPCが登場した時点ですでにTRPGで扱うストーリーとして複雑すぎると判断します。

PCが個別に動く非パーティー制のシナリオの場合にはPC主観のNPCを立ち位置兼任させることで1PCあたりの認識するNPCを2.5人ずつにしたりすることもあります。

 これらの示唆は面白くて、実用的だと思います。
 ほとんどのドラマで、基本的に「二つの勢力の対話」を軸にして個々のシーンを構成します。そしてこの対話が対立となって話がこじれていったとき、それを解きほぐす“仲裁役”という第三者が登場します。そうしないと、双方がわめき疲れるまでどんどん低レベルになっていく泥沼の痴話喧嘩を、ただ延々と見せ付けられるようなものになってしまうので。*1 余談ですが、ドラマ表現としては物語を客観視させるための第三者、いわゆる「ツッコミ役」というポジションを割り振られるキャラクターもいます。彼らは「仲裁する意思の無い介入者」に相当し、観客に冷や水を浴びせて冷静にドラマを追いかけることに集中するように、と呼びかけます。
 しかしこれは介入能力のない観客に、舞台側がよりそう手法であって、介入能力を与えられた TRPG の PC たちにとっては役に立たないノイズにしかならないことが非常に多いので注意が必要です。

第三者として PC が関わるドラマ

 かつて多くの TRPG では、こうした仲裁役を PC が請け負うことが基本になっていたように思います。
 文字通りの「第三者」です。
 PC が「通りすがりの善人」「物語の傍観者」と考えられていたのは、そうした「第三者」の位置にあって対立を仲裁することが冒険のタネ(シナリオ)になっていたから、という要素が非常に大きい。
 そういう意味では「勢力A」+「勢力B」+「仲裁役(PC)」の、3勢力までは許容できたわけです。

関係者として PC が関わるドラマ

 ところが第三世代で爆発的に増えた「PC が最初からドラマの主軸に据えられている」シナリオでは、PC 自身が対立する勢力の一方に属し、ある種の勢力争いに参加することになります。
 もしシナリオに乗ってプレイするのであれば、積極的にもう一方の勢力と対話の機会を設け、あるいはその隙を突くなりして自勢力の拡大を画策しなければなりません。
 このとき PC には明確な目的意識がありますから、NPC を「敵」と「味方」に判別するのは有効な手段です。

 目的意識を持って一つの勢力として活動するとき、他者に接する際に考えることは「選択」ではなく「判別」になります。
 彼が敵であるのか味方であるのか。
 彼に利用価値が有るのか無いのか。
 シナリオを一種の勢力争いとして捉えたとき、関係者にそうした判別(ラベル貼り)を行って線を引き、戦況を把握することは目的を達するために実用的な手法となります。
 ここでの対話は NPC と PC の間で行われ、それは敵対するにせよ協調するにせよ目的を明確にするための行動です。そこに介入する第三者は“仲裁者”ということになります。

 PC が仲裁者となるとき、PC は積極的に行動し、問題を解決します。
 しかし多くの NPC 仲裁者は、その場限りの仲裁しかしないため問題の解決には何ら寄与しません。
 彼らは基本的に、対話が脱線してしまったときに話を本題に戻すための冷水、それだけの存在です。それがでしゃばって介入してきたら、そりゃあ邪魔になって当然でしょう。混乱のタネにしかならないのですから。

まとめ

 あまり明確に線引きをしていませんが、すみません。まとめます。

 大雑把に線を引くと、以下の通りです。

【セッションハンドリング時の注意】

  • PC が第三者のときは対立する 2勢力の NPC を同時に出しても良い
  • PC が関係者のときは 1カット*2[1カット] = シーンの分割単位。一般的にはシーン単位までしか管理対象とならないが、シーン内の行動ごとにカット単位で割る、という概念が有ってもいいように思う。たとえば三角関係の A, B, C が一堂に会して喧嘩別れするシーンも
    1. 「A と B の会話」
    2. →「C が登場」
    3. →「A と C の対立」
    4. →「B の葛藤」
    5. →「B が仲裁する」
    6. →「A と C が B に攻撃」
    7. →「B がギャフン」
    8. →「B が逆ギレ」
    9. →「B が退場」
    10. →「A と C がそれぞれ別方向に退場」

    ……といった具合に割っておけば、個々のカットでの関係図は明確になる。
     これは紙魚砂氏の手法の、特に

    4)NPC交代
     登場NPCを逐次交代させてPCが同時に認識すべきNPCを2人以下になるよう常に維持する。

    に関係する。
    あたり 1勢力の NPC にまとめるべき
【PC と NPC の「第三者」枠の違い】

  • PC の「第三者」は積極的介入による「仲裁者」になりやすい。
  • NPC の「第三者」は消極的介入による「ツッコミ役」になりやすい。

 念頭に置いておくと、ちょっとは役に立つかなァ、という。

References

References
1 余談ですが、ドラマ表現としては物語を客観視させるための第三者、いわゆる「ツッコミ役」というポジションを割り振られるキャラクターもいます。彼らは「仲裁する意思の無い介入者」に相当し、観客に冷や水を浴びせて冷静にドラマを追いかけることに集中するように、と呼びかけます。
 しかしこれは介入能力のない観客に、舞台側がよりそう手法であって、介入能力を与えられた TRPG の PC たちにとっては役に立たないノイズにしかならないことが非常に多いので注意が必要です。
2 [1カット] = シーンの分割単位。一般的にはシーン単位までしか管理対象とならないが、シーン内の行動ごとにカット単位で割る、という概念が有ってもいいように思う。たとえば三角関係の A, B, C が一堂に会して喧嘩別れするシーンも
  1. 「A と B の会話」
  2. →「C が登場」
  3. →「A と C の対立」
  4. →「B の葛藤」
  5. →「B が仲裁する」
  6. →「A と C が B に攻撃」
  7. →「B がギャフン」
  8. →「B が逆ギレ」
  9. →「B が退場」
  10. →「A と C がそれぞれ別方向に退場」

……といった具合に割っておけば、個々のカットでの関係図は明確になる。
 これは紙魚砂氏の手法の、特に

4)NPC交代
 登場NPCを逐次交代させてPCが同時に認識すべきNPCを2人以下になるよう常に維持する。

に関係する。