思考の迷宮に落ち込んじゃった人の、薬になるんじゃないかコレ。
哲学の性質については、東京大学 大学院総合文化研究科助教授の野矢先生が語っていたことが、しっくりきます。「哲学のゴールは、誰もが持っている常識的な考え方」という話です。
科学者は、人が思っても見なかった結論を出して、皆を吃驚させてくれます。しかし、哲学者は、普段普通の人が何気なくいるところがスタート地点であり、ゴールでもあります。常識と言い換えることのできるスタート地点から、何故そのように言えるのか?と疑問を持つところから始め、そう言える、そうは言えない、といった極まで振れて行って、議論を尽くし、考え抜いて、元いたところに戻ることが結論になります。科学者の出す結論と違って、誰も関心しない、ありがたみの無い結論であり、常識の外に零れ落ちて戻れなくなっている一部の人に対してのみ、ありがたみの有る結論です。
逆説的に、“当たり前のことに理屈をつけて考えようとする”行為は、“常識の外に零れ落ちて戻れなくならないように”バランスを取ろうとする行為なのではないかと。
そういう性質の論考は、だから同じ場所に落ちそうになってる、ないし落ちている人にしか効果がなくて、基本的には自分のために書いているモノなんじゃあないかと。
少なくとも僕の論考(与太話)はそうです。
自慢にゃなりませんが。