[dds-txs] 今回は抽象化方向で

 なんとなく『女神異聞録デビルサバイバー オーバークロック』をやり直し中。
 いやまあ「なんとなく」っちゅーか、自作のキャンペーン・ゲーム*1[自作のキャンペーン・ゲーム] = 内輪でテストプレイを始めた “Digital Devil Saga – Tribe Survive (DDS-TxS)” のこと。トライブごとに陣取り合戦をプレイする簡易作戦級ということで、戦闘フェイズは「デビサバOS」をベースに組んでいる。を組む上で、バランスどんなんだったか思い出すためにやってるんですが。

 うん、やっぱり良いシステムだ。
 そして悪魔合体がオモシロメンドクサイ(笑)

 ……という話とは関係ないところで、内輪向けに『DDS-TxS』のデザインノート的なものをちょろっと。
 戦闘関連の話になりま。

 なお、内輪向けの話なんで分からん人にはサッパリ分からんと思いますが、今後も TRPG 関連はそういうスタンスで書きますんで。

ターン制バトル

 プレスターンバトル以降に概ね共通する「相手の弱点を付けばワンモア!」ってのは、あれ気持ちいいんですよね。
 単にダメージが大きいだけでも悪かないんですが、更にもう一回行動できるってのは相当なお得感がある。
 リアルに描写しようとすると「いったいどーゆーコトになってんの?」というツッコミが入りそうなモンですが、この辺ちょっと「詳細な」描写に引きずられている部分もあったりして。*2[引きずられている] = 「強い影響下に置かれている」くらいのニュアンス。
 というのは「1回のコマンド=1回の行動」という読み方をしちゃってるから。

 たとえば「1回分のコマンド>攻撃」を「1回だけ殴った」と見たりする。実際、最近のゲームは CG で描かれた綺麗なキャラクターがモーションキャプチャでとられた動きをなぞって 1回だけ殴りかかり、その攻撃がヒットした瞬間にダメージが表示される……なんてエフェクトがあるわけで。
 だからこれは仕方がないことなんだけど、そもそもターン制の戦闘ってそこまでキッチリ描写されていたわけでもないんだよね。単に「○○の攻撃/××に5のダメージ」とかでしかなかった。それは実際には「○○はめちゃくちゃに剣を振り回して、何度も空振りしたけど3回は当たってトータル5のダメージを与えた」だったのかもしれないわけで、その余地がリアルリアリティ志向のユーザの揶揄「なんで御行儀よく1人1回ずつ殴りかかるんだよ?」に対して反論できるだけのスペースだった。

 で、そういう曖昧な関係であれば、デビサバの「EXTRA ターン」みたいなものも何とかこじつけることはできた。
 たとえば「普通なら相手の隙を窺うのに時間を食われるけど、弱点を突くときは相手が目に見えて体制を崩すからもう一つ行動をするだけの余裕ができる」とか言えたりする。これもまあ矛盾がないわけじゃないとは思うけど、それでもある程度の合理性さえあれば後は「そういうもんなんだから仕方がない」と言い張ることは可能だ。それでゲームが面白くなるなら、それが公平に運用されるのなら、ゲーマーはむしろ逆手に取ってやろうとアプローチをする。

 この辺のトンチ(?)をきかせた言い訳は、自分は『Tunnels&Trolls』*3[Tunnels&Trolls] = R&Rのサイトも見てみたけど、日本語版は品切れですか。なんてこった!で意識するようになった。
 あのゲームの戦闘は正にソレで、「なんでダメージがチームごとに合算されて均等に配分されるんだよ!?」というツッコミに、「だって1ラウンド3分でみんなドカバキ殴りあってんだから、なんかこうグチャグチャっとなって……とにかくそーなるんだよ。そーゆーもんなんだよ!」という強弁をかまされたりするわけです(笑)
 でもそういうルールだからこそ効果を発揮する戦術*4[だからこそ効果を発揮する戦術] = 内輪向けになるが、人類史キャンペーンに搭載している拙作 “GURPS SocialHistory” のダイナポリス型ゲームデザインは、『T&T』の集団戦ルールに大いに影響を受けている。たとえば乱戦のダメージ均質化や、狙撃による個人攻撃、《~の壁》による分断戦術などだ。ってのがあって、そのための別の手段ってのがちゃんと用意されてる。だからこそ、それを上手いこと実行するために頭をひねる。それがまたひとつの面白さとしてあるわけで、だからまあ『T&T』のそういう面白さに気付いた人にとって、そういうツッコミは共通認識でありギャグであり、「あるある」と頷いた上で「でもまあこれは大体こういうイメージなんだよ」と適当にそれらしいことを言って煙に巻いたりする。たとえばランチェスターの法則を持ってきたりして、本当は的はずれな解説なんだけど、なんとなく納得できてしまうような口上を述べたりして(笑)

 「具体的にどういった行動をとっているのか?」というのは、あるルールシステムに沿って遊ばれている限り、どこかで抽象化が行われる。そこでどの程度まで抽象化を行い、逆にどの程度まで具体的に決定するのか? というのはゲームシステムの代行者としてのゲームマスターと、ゲーム参加者としてのゲームプレイヤー、最低でもこの二者間の共通認識から構築され出力されることになります。
 ゲームシステムが抽象的であればあるほど、そのアウトプットを受けて「どこまで具体的にするのか?」についての裁量権はプレイヤーにある。またどれだけ具体的な事柄を決定したところで、ゲームシステムがその具体性を受け止めるだけの細密さを持たなければ、再び抽象化されたルールシステム内での処理に還元されることになるわけで。

 で、まあデジタルゲームはグラフィックの処理能力が向上したことで描写力がアップして、それによってシステム側から結構具体的なデータをアウトプットすることになったんだけど、そうするとまあ、ターン制のごまかしなんてのは通用しなくなってきちゃうんだよね。まさに「なんで御行儀よく1ラウンドに1回ずつ殴りあってんだよお前ら」というツッコミに、反論のしようがなくなってくる。
 ……そりゃまあオープンワールド系の FPS や TPS に持っていかれるわさ。
 説得力が違うもの(苦笑)

 で。でだよ。
 そういう具体化の方向性ってのを、かつて TRPG は追求してたんだ時代があったんだ――GURPSなんかもその時代のシステムなんだ――けど、一時期から投げ捨てるようになったのね。サイコロ・フィクションの投げっぷりなんかはもう爽快この上ないくらいダイナミックなモンなんだけど、あそこまでいかなくとも結構な割合で投げちゃってるなーと思うことが多い。
 なんでかっちゅーたら、まあ他の人がナニ考えてたかなんてことは分からないけど、自分でデザインする限りでは「敵うわけないじゃん」ということ。
 誰に? デジタルゲームに。
 わかりやすく言えば「リアルタイム描写の細かさにおいて TRPG が『モンスターハンターポータブル 3rd』に敵うか?」という話。

 敵わないよ。敵うわけないじゃん(笑)
 で、まあ具体性を捨てて抽象的なゲームの面白いところを追求する。勝ち目のある分野で勝負をしようという話になる。
 ……この辺まあ好みの差ってのもあると思うんですが。僕も「GURPS 好きだけど GURPS の戦闘は one of them」というスタンスなので、そういう考えになったってのも否定できるものではないし。

 だからまあ、今回『DDS-TxS』ではダイナミックに抽象化しました。
 故に「1more!」も搭載できました。
 ぶっちゃけカードゲームのノリです(笑)

 ただまあ打ち合わせの結果として周知のことなんだけど、このゲームは「単に戦闘による陣取り合戦を描くこと」を目的とはしておらず、むしろ「新しい神話を作って次のキャンペーンの土台にする」ことが目的なわけで、そのために「1more!」の方向性をちょっといじってます。「決められたパターンのコンボが成立するとエピソードが描ける」とか「エピソードの結果を覆すためには上書きできる強力なスキルかイベントカードが必要」とかそんな感じに。
 まあヘクスマップ出してカード配ってサイコロ投げて、だから最初から TRPG っぽくは見えんと思うし、その辺はそれなりに気を配ったツモリではあるんだけど、普段の「具体的な記述をする」→「結果を判定する」ではなく、「抽象的なゲームをプレイする」→「結果を具体化する」の流れなんで、その辺はちょっと分かんないと戸惑うかもしれません。

 ……って、結局なにが書きたかったんだろーか自分?
 よくわからんようになってもーた。

 まあいいか。

References

References
1 [自作のキャンペーン・ゲーム] = 内輪でテストプレイを始めた “Digital Devil Saga – Tribe Survive (DDS-TxS)” のこと。トライブごとに陣取り合戦をプレイする簡易作戦級ということで、戦闘フェイズは「デビサバOS」をベースに組んでいる。
2 [引きずられている] = 「強い影響下に置かれている」くらいのニュアンス。
3 [Tunnels&Trolls] = R&Rのサイトも見てみたけど、日本語版は品切れですか。なんてこった!
4 [だからこそ効果を発揮する戦術] = 内輪向けになるが、人類史キャンペーンに搭載している拙作 “GURPS SocialHistory” のダイナポリス型ゲームデザインは、『T&T』の集団戦ルールに大いに影響を受けている。たとえば乱戦のダメージ均質化や、狙撃による個人攻撃、《~の壁》による分断戦術などだ。