[review][comix] 『医龍』読了

 『医龍』25巻、読み終わりました。

 医療マンガって好きなんだけど、コレ読むようになったのは随分と後になってから。
 ドラマ化するよりかは前だと思ったけど。

 天才外科医・朝田龍太郎の選択がどういうものなのか。
 「医局改革」の物語として、既にひとつの終わりを迎えたその後の、「組織改革が行われるときに、天才の存在がどう機能するか」みたいな、まあ組織論みたいなモンを考えながら読んでたんだけど……やっぱりこの話、凡人の動きがものすごくイイ。伊集院登や木原毅彦、あるいは中田浩道の物語として読むと面白い。(木原の最後の手紙なんかは、「凡人」を「ファン」と読み替えると別のステージの人たちにグサグサ刺さったり)
 なんで彼らが消えた後の、さまざまな天才たちの結末については、『振り返れば奴がいる』のコミカライズを読んでるような気分で楽しんでました(笑)

 最終章のテーマはやっぱり「それぞれの卒業」だったのかな、という。
 一皮むけた後の彼らがどう歩んでいくのか、希望に満ちた爽やかなエンディングで、よかったですよ。

簡単な感想メモ

 こっからは、より個人的な読み。

 おい、朝田龍太郎。
 なんだその可愛い生物っぷり!(笑)

 ……というのが読後しょっぱなの感想。
 色々とヤキモキさせてきた理由がソレか! という(笑)
 途中からゲラゲラ笑いながら膝叩きながら読んでました。
 マジで。

 あたしゃてっきり『振り返れば奴がいる』的な、あるいはバチスタ手術を取り扱った『チーム・バチスタの栄光』の著者・海堂尊の『ジェネラル・ルージュの凱旋』あたりを引っ張ってくるのか? と思わせといて、おいおい、という(笑)
 まあ実際ソレは先にバウマンがやってたから、同じ顛末には出来ない部分もあったと思うけど。

 エンディングは、まあ、やりたいことやったな、という(笑)
 ぜひ「王様」に歌っていただきたい(笑)

 コミックのTVドラマ化例として、脚本から演出から解析してたシリーズなんで、色々と書きたいこともあるんだけど、まあそれは置いときます。ちなみに大学ノート B罫 11冊潰しました。

 最後にちょっと、バチスタチームのキャラについて。

藤吉圭介

 どんどん「人間」が顕になって、憑き物落としが進んでいく中、一番つまんなかったのが藤吉先生。
 完成しちゃってるキャラだから、いじれなかったんだろうなーと考えると……いや、でも完成させる必要があったのか? というのは、わりと分からない。
 彼のキャラクターが役立ったのって、伊集院の迷いに対する一度っきりのような気がするんですよね。
 まあ外科医の物語だから、内科医について語るのが難しいのも分かるんだけど。
 単なる便利キャラで終わっちゃった気がする。
 ぐぬぬ。

里原ミキ

 ミキについては……早い段階でドロップアウトした感が強いんで、藤吉先生同様、どうでもいい(笑)
 最初から龍太郎の側にいたせいで、最初っから憑き物が落ちてるんですよね、この子。
 「エロ担当」くらいのポジションで、まあオジサンたちのアイドルだよね。
 わりと可哀想。

荒瀬門次

 荒瀬だけは、意外でした。
 こいつは朝田サイドだと思ってたんだけどね。
 この物語の登場人物の中では、将来的に(死ななきゃ)たぶん最強になるよね、こいつ。
 穢れた天才として登場しときながら、彼自身のエピソードで憑き物を落として光にも影にも立てるようになり、天才バウマンのエピソードを経て更なる成長が見込めるようになり、朝田が育てたバチスタチームと、朝田に匹敵する鬼頭のERチームとの両方に属して、医局改革で主導権を握っていく加藤晶と、理事会との折衝能力を持った鬼頭直人、二人の教授のバックアップが期待できる。
 何この超恵まれキャラ(笑)
 麻酔医だからってのも、あるんだろうけどね。主役を邪魔しないから。

朝田龍太郎

 本編の主人公。
 全編通してきっちり「主人公」を貫きましたね、この男。
 なにこの可愛い生物(笑)
 コレ以外に言う事ないです。ホント。

伊集院登

 『医龍』もう一人の主人公。
 主人公って語ること無いんですよね。作品読めば全部書いてある(笑)
 それでも考えると、こいつのポジションって微妙にユリアン・ミンツの匂いがする。
 登場当時はただの研修医だし、自身では「凡人」の一人を自称するんだけど、朝田の下について急激に成長していった辺り、「謙遜する天才」ポジに座ってる。そして色んな先輩にいじられながら、教育され成長していくという。
 主人公になることで、キャラとしてはつまんなくなった部分は絶対あると思うんだけど、それは主人公の宿命です(笑)

加藤晶

 『医龍』における「本当の」裏の主人公。
 25巻冒頭の、加藤晶の宣誓。
 その前の(本当に随分と前の話になっちゃったけど)、朝田の「本当に残った方がいいのか?」という問い。
 最後のアナウンスは、あそこで済んでたんだな、と思うと色々と切なかったりもする。
 伊坂先生のエピソードをやっておいて、それでも加藤がああいう選択をしたことには……「それはどうよ?」って意見も聞いたんだけど、よかったと思うですよ。
 可愛いよね、この人。あのキャラ立てはズルいと思う。
 ぶっちゃけ好みです(笑)

総評というかまとめというか

 面白い作品です。
 100点満点で、80点は超えてると思う。
 たまに勢いのある画面で線が「ん?」って感じのこともあるんだけど、たぶんこれ、この作者のクセなんだと思うんで(笑)

 ……ということで、まあこのへんで。