2009/05/06 [16]
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- 玄兎
- 「あとはルールとマナーの履き違えとか、キャラとプレイヤーを分けすぎるのも、僕個人としてはあんまり好ましくないと思ってる」
- シノフサさん(仮)
- 「それは趣味の話?」
- 玄兎
- 「趣味。まあ趣味ったら趣味なんだけど、もうちょっと踏み込んで信念の話かなあ。仕事の話にもつながってるし」
- シノフサさん(仮)
- 「創作に?」
- 玄兎
- 「もちろん創作で扱う世界でもそうなんだけど、実社会のマネジメントでも。マナー、まあ不文律だわな。それがルール、法律化するってことはまあ、実際に有るわけだけど、それだけで世が治まった例ってのは無いわけでさ。なぜかったら順法精神ってのもまた道徳、マナーだったり、あとはリスクマネジメントだったりするから。リスクを超えるリターンが得られることをね、躊躇しない人間なんてそこら中にいるっしょ」
- シノフサさん(仮)
- 「どういうことよ」
- 玄兎
- 「うーん。そうだな、たとえばTRPGは極めて自由度の高いゲームです。ゲーム世界であなたのPCは、あなたの思い通りの行動をすることができます。としたときに、殺人鬼のPCがやりたいって希望が出てもこれって拒否できないでしょ。このときこれまで実施されてきた施策は、大きく分けてふたつ有ると思う。ひとつはマナーで禁止するパターン。こっちを採用してるゲームが大半だと思う。なんかよく分からんマナーとか、ゴールデンルールとかで規制する。で、もうひとつはPCの設定上それが不可能ってパターン。たとえば人殺してるとカルマが溜まっていって怪物になっちゃうとか、そんな感じね」
- シノフサさん(仮)
- 「それじゃ足りないってこと?」
- 玄兎
- 「そう。あくまでTRPGが何でも出来るゲームだ、とするならの話なんだけどね。ちなみに第3の解法までは出てて、たとえばAマホで同じことをやったとしても、その行動はMの達成には関係ないから無意味で、っていうことは行動を1回無駄にするから損するだけ、っていう方法で無効化してるのは、ちょっと面白い」
- シノフサさん(仮)
- 「リスクが大きすぎるってこと?」
- 玄兎
- 「そゆこと。で、まあシステムデザイン側で考えられることって言ったら、あとは今のAマホの延長線上だけど、PCの行動をルールで制約しちゃうくらいかな。たとえばアクションをカード化して、手札の中にある行動しかとれないゲームにしちゃうとか」
- シノフサさん(仮)
- 「それTRPG?」
- 玄兎
- 「あんまりTRPGっぽくはないと思うねえ。もちろん定義次第なんだろうけど」
- シノフサさん(仮)
- 「で?」
- 玄兎
- 「ああ、うん。で、あくまでTRPGがゲーム内での行動に、道徳的な制限を持たないとするなら、PCが自分たちと同じような人間をベースにしてる、とするなら。これを何で規制すべきかって話でさ。今のところ、マナー、設定、リスク、ルール、っていう、まあマナーを除くとシステム内に放り込んでる。マナーについてもルールブックとかリプレイとかで、なんとなく止めとけって話になってる。でもそれじゃあ足りないだろうって話」
- シノフサさん(仮)
- 「それで、どうすればいいって?」
- 玄兎
- 「だから環境で縛っちゃうんよ。悪魔プレー大いに結構、ただしリスクは理解しとけよって話」
- シノフサさん(仮)
- 「PCが犯罪者になるとか?」
- 玄兎
- 「それは当然そうなるんだけど、それだけじゃ別に大したリスクじゃないでしょ。前にジェンダー問題の話で、あれ、あれはシノじゃないっけ」
- シノフサさん(仮)
- 「私それ知らない」
- 玄兎
- 「ああ、そうか先輩んとこだったっけか。あの、サークルで男女関係がトラブルの元になるって話で、じゃあどうしたらいいかって相談されて、サークル内での恋愛禁止にしたら? って話したんよ」
- シノフサさん(仮)
- 「それで解決するもんなの? なんか駄目なルールの典型みたいな感じだけど」
- 玄兎
- 「もちろん、そんなルール作ったところで問題が発生する時は発生するよ。人的トラブルをゼロにする方法なんてな、人間不在にするくらいしかないっしょ(笑)。ただそうなったとき、速やかに排除方向に話を進められるっていうのが強みのひとつ。これはウルティマラティオなんだけども。んでもうひとつが、環境で縛るための準備期間を作ろうって狙いもあって」
- シノフサさん(仮)
- 「準備期間?」
- 玄兎
- 「ああ、だからルールを破ると追い出されるんだよ」
- シノフサさん(仮)
- 「追い出される」
- 玄兎
- 「そう。追い出される。ゲーム環境から」
- シノフサさん(仮)
- 「ああ、そういうこと(笑)」
- 玄兎
- 「おう?」
- シノフサさん(仮)
- 「人質取るんでしょ?」
- 玄兎
- 「正解(笑)」
- シノフサさん(仮)
- 「悪党(笑)」
- 玄兎
- 「でも有効な手段っしょ?」
- シノフサさん(仮)
- 「うん」
- 玄兎
- 「ちょっとえーと、これだと音源聞いてる人に分からないと思うんで、簡単に説明を」
- シノフサさん(仮)
- 「うん」
- 玄兎
- 「シノフサから(笑)」
- シノフサさん(仮)
- 「えー」
- 玄兎
- 「いや、僕の考えよりえぐい発想があるかもしれないから、聞いてみたい」
- シノフサさん(仮)
- 「えぐい限定か(笑)」
- 玄兎
- 「いいじゃん。どうぞ」
- シノフサさん(仮)
- 「えー。もう。えー、だから恋愛禁止っていうことで、新しく入った人は、最初はおとなしくしてんじゃん? それで、その間にルールを意識させておいて。それとは別に、ゲームで楽しい経験をさせておいて。それで遊んでる間に、誰かに恋愛感情が芽生えても、そのときには遊ぶ環境と、友だちが別に出来てるし、ルール破ったらその辺無くなっちゃうから、破るに破れない?」
- 玄兎
- 「なんだ同じだった。つまらん(笑)」
- シノフサさん(仮)
- 「でもこれ一目惚れとかだったらどうするの?」
- 玄兎
- 「確率の話なんだけどね、新入部員が、部員っていうのかな、まあいいか。とにかく新入りが誰かに一目惚れしたとしても、サークル内の一目惚れされた人が、そいつとくっ付くかって言ったらまあ、確率的にそういうことは少ないっしょ。両方一目惚れとかのミラクルは諦める(笑)」
- シノフサさん(仮)
- 「あとさ、それ賭けに出て告白して振られて追放とかだったら、泣くに泣けなくない? 友だちとしてなら、サークル続けてれば会えるし遊べるじゃん?」
- 玄兎
- 「ああ、そうか。やっぱりえぐい(笑)」
- シノフサさん(仮)
- 「(笑)でもそれ開き直られたら効果ないよね」
- 玄兎
- 「ないよ。つか本音を言えば、そんなもんで惚れた子のこと諦められるんなら、大したことないからやめとけとか思うけど(笑)。別のコミュニティ作るでも何でも、回避方法なんざいくらでもあるんだから」
- シノフサさん(仮)
- 「下準備に時間かける人だっけ、旦那」
- 玄兎
- 「かけるよー。てか一目惚れファンタジーの経験がたぶん無い。一目惚れした相手に本気になったことがないってか。たいがい友だちの延長線上で、こう、なだらかなスロープ? て、そんなことはいいんだよこの際(笑)」
- シノフサさん(仮)
- 「ちっ(笑)」
- 玄兎
- 「うん、疲れてきたならこの辺で終わろうか?」
- シノフサさん(仮)
- 「大丈夫。もうちょっと」
- 玄兎
- 「うん。じゃあもうちょっとお付き合いいただきましょう。手間かけて悪いね」
- シノフサさん(仮)
- 「面白いから気にしない」
- 玄兎
- 「ラジャ。で、えーと、なんだっけ」
- シノフサさん(仮)
- 「なんだっけ。マナーとルールとなんか」
- 玄兎
- 「ああ、社会の目か。まずこの話はプレー環境に左右されるってことは押さえといて。カジュアル環境でないと使えません。だからコンベンションスタイルの場合は別の方法論が必要になると思うんだけど」
- シノフサさん(仮)
- 「あい」
- 玄兎
- 「更にTRPGが、想像力の及ぶ限り何でもチャレンジできるゲームだ、とする場合の話だってことも押さえておいて。んで、えーと社会の目だ。人間、やるなと言われるとやりたくなることがある(笑)」
- シノフサさん(仮)
- 「いきなりそんなところから?」
- 玄兎
- 「そんなところから。あのね、この世に生きてる大多数の人間は、凶悪犯罪なんて犯さないでしょ。なんでかっつったら、割に合わないからですよ。誰かをぶっ殺してやりたいと思ったとしても、それを実行にうつさないのは、実際やっちゃったら最後、その後の人生を棒に振るくらいのペナルティが待ってるから、っていうのはあるわけで。それは刑罰だけじゃ足りなくて、まあそれだけだと50点くらいの話。実際は社会の目、周辺環境の自分に対する評価、社会的制裁ってリスクも頭に入れておかないといかんわけで」
- シノフサさん(仮)
- 「前にワークショップに参加したときの」
- 玄兎
- 「そうそう。その前にも取材であちこち歩き回ったけど、見つからなければ犯罪者じゃない、って考えはそれほど珍しくは無くって。おかげで被害者が毎年絶えないわけだけど、それもまあ社会の目の希薄さってか、人とのつながりの欠如っていうのは少なからずあると思った」
- シノフサさん(仮)
- 「人と触れ合いたい願望とかってやつ?」
- 玄兎
- 「いやあ、そんなん人殺しといて何言ってやがんだって話っすよ。そうじゃなくて、なんてのかな、赤の他人にどう思われても構わないって開き直りは人間、結構簡単に出来るもんだと思うんよ。買い物でも何でもシステマティックに取引できるから、どう思われてても生きる上では大した問題にならないし。だけど親しい間柄の人間の評価ってのはさ、すっげえ気になるでしょ」
- シノフサさん(仮)
- 「そういうこと」
- 玄兎
- 「そういうこと。さっきのシノのえぐい物言いを借りると」
- シノフサさん(仮)
- 「同じこと考えてたくせに(笑)」
- 玄兎
- 「(笑)お互いがお互いを人質にする関係ってのかな。そういうのが築ければ抑止力になる、と思う」
- シノフサさん(仮)
- 「それ理想論じゃんって言われない?」
- 玄兎
- 「言われるよ。ただまあTRPGってのは突き詰めれば、人と人とのコミュニケーションでしょ。その中で事故率ゼロを目指す方が、夢物語だと思うけどね。まあコンベンションの一期一会フィールドでは使えないし、安直に考えると閉鎖性を良しとするような話なんで、オフィシャルが発信できることではないとも思うけど」
- シノフサさん(仮)
- 「トラブルを吸収する関係が作れればいいってことでいい?」
- 玄兎
- 「そうだね。それでいいと思う」
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