[chat] 20090506-12

2009/05/06 [12]

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シノフサさん(仮)
「でもTRPGってまとめる遊びじゃん? 脱線していいの?」
玄兎
「その辺が難しいところなんだけどね。属人的にマスターの技量に頼らないでもいいように、って方向で進んでるのが今の流れだと思うんだけど、この流れだとTRPGのシステムはルールの運用を厳密化していって、ゲーム世界の具体的な情報と、プレーのための抽象的な情報とに扱う情報の分割化が進むだろうと思うわけ。前にちょっと試したMORみたい感じね」
シノフサさん(仮)
「カードゲームみたいなやつ?」
玄兎
「そ。まああれは最終的にボードゲームになったんだけど。で、そうするとゲームシステムはカードゲームの方向に進んでいくと思う。ゲーム世界の具体的表現がある程度までアブストラクトされたキーワードになって、そこの具体化はプレイヤーが自由にやっていいけど、どう具体化してもゲームにはほとんど影響しないような形で」
シノフサさん(仮)
「カードゲームじゃんそれ」
玄兎
「まあそうなんだけど、カード使ったらTRPGじゃないって決まりはないんだし、別にいいでしょ。それに君の好きな、だと思うんだけど、戦闘パートなんかはもう、昔からこういう方法で処理されてきてるんだし。それを戦闘以外の部分に適用して悪いなんて法はどこにもないっしょ」
シノフサさん(仮)
「それはそうかもだけど」
玄兎
「シミュレーションゲームの、特にストラテジーの世界では、長いことコンクリートな、具体的なプレイングはなるべく具体的なまま扱わないと、シミュレーション性が失われるっていう信仰があってね。お陰で20年くらい停滞してたんだけど。ここ最近、10年くらいかな、カードドリブンの面白い使い方としてカードでイベントを発生させるアプローチがとられて、統治者の思惑と内政、周辺国の外圧とがナチュラルに表現される形を作ってきた」
シノフサさん(仮)
「そういうのって昔はなかったの? カードでイベントって、モノポリーとか」
玄兎
「ああ、なるほど。確かにモノポリーもコミュニティーチェストとチャンスカードはあるか。ただあれは手札にして自分で使うタイプじゃないでしょ」
シノフサさん(仮)
「そっか」
玄兎
「でも自分で手札切るタイプのモノポリーも面白そうだなあ。今度作ってみよう」
シノフサさん(仮)
「ネタ提供しちゃった?(笑)」
玄兎
「ごちそうさま(笑)」
シノフサさん(仮)
「まいどあり(笑)」
玄兎
「まあとにかくあれだ、モノポリーでは無いんだけど、そういう初歩的なイベントカードモデルは20年以上前にもあった。確かにあった。ただ知る限りでは、ほとんど評価されてなかったりすんだよね。この辺がまあボードゲームとかコンポーネントが多いゲームの欠点だったりするんだけどまあそれはいいか。とにかくカードドリブンが評価されて一定の価値を得たことで、ストラテジーも新しいゾーンに突入したってわけ。これと同じことをTRPGがやって悪いわけがない」
シノフサさん(仮)
「うーん。でもなんか納得したくない」
玄兎
「たぶん気持ちは分かると思う。僕もレトロゲーマーとして、第三世代のアプローチは何かと反発したくなることが多いし」
シノフサさん(仮)
「したくなるじゃなくてしてんじゃん。反発(笑)」
玄兎
「(笑)悲鳴を上げたくなることもあるんだよ。でもまあやりたくなければやらなければいいし、古いシステムも既に100やそこらじゃきかないくらいあって、そいつらが遊べなくなるわけじゃないんだし。古いシステムで新しいネタを扱うゲーム、くらいだったら簡単に作れるしね」
シノフサさん(仮)
「そんな簡単に。旦那が作れても他の人が作れるとは限らないじゃん」
玄兎
「いやあ、わりと作れるんじゃないかと思うんだけどね。そういうファンジン的なゲームってのは別に完成度が問題じゃなくて、その場のノリで遊んで消費するようなもので十分だし。うちのチビの友だちが、MOR持ってってソウルイーターっぽいゲーム作ろうとしてるし」
シノフサさん(仮)
「どんなの?」
玄兎
「協調ゲームってか、○×ゲームってか。敵勢力がスパイダーダイアグラムを埋めるのを、カードで邪魔しながらキャラとアイテムを揃えてラスボスと戦うもの、らしいよ。まだ出来上がってないみたいだけど」
シノフサさん(仮)
「でもそれTRPG?」
玄兎
「どうだろうねえ。基本的にはカードゲームだと思うけど。イベントカードの内容が抽象的なら、具体化のプロセスで対話が発生するし、それがゲームに影響するなら立派にTRPGになるような気もするし」
シノフサさん(仮)
「MORはTRPGではない?」
玄兎
「汎用化途中のバージョン2ならTRPGかなあ。バージョン1は単なる陣取りゲームだし、3は抽象化を進めてCDSになったんでTRPGじゃあないわな。TRPGっぽく遊ぶにはプレイヤーに抽象化の目が要求されるし」
シノフサさん(仮)
「抽象化の目って?」
玄兎
「シノもあんなモン書いてんだから分かってると思うけど、活字メディアってのは書き手と受け手の双方にコーディングの脳味噌を要求するところがあるっしょ。人間って情報を理解するために連想記憶を使うけど、そのプロセスで情報の分解再構築を行ってて。まあこの分解再構築による理解ってのはあれだ、人間は分からないことに恐怖するって俗説にもあるように、分からんことは分かる形に整形しようとするのが人間の脳味噌で」
シノフサさん(仮)
「うぶめだ」
玄兎
「そうそう。今のプロセスも情報をエンコード化してうぶめと言ったり、うぶめをデコードして元の話と照合したりしてるわけで」
シノフサさん(仮)
「TRPGに当てはめると、具体的な行動宣言をボーナスに抽象化したり、ただの攻撃って単語を具体的に切りつけてどこがどうなったとかの文章に広げたりするってことでしょう?」
玄兎
「そうそう。で、それをやりとりするのがTRPGのプレースタイルで、ゲームデザインとか言われる領分は、だいたいこの作業に相当してると思うんよ」
シノフサさん(仮)
「そうそう、そのゲームデザインってのもちょっと混乱の元だったりするじゃん?」
玄兎
「はえ?」
シノフサさん(仮)
「ゲームデザイナーって言ったらルールとかデータとか作る人のイメージがあるんだけど」
玄兎
「ああ、うん。よく勘違いされるってか、たぶんジャーゴンなんだと思う。ゲームデザインとシステムデザインが別だったり、ゲームって言葉が物体じゃなくて概念だったりってのは一般にはちょっと分かりにくいと思うし」
シノフサさん(仮)
「旦那のゲーム編制も、なんか言葉としては伝わりにくいし」
玄兎
「うん。まあミリオタの誤訳だから(笑)」
シノフサさん(仮)
「誤訳(笑)」
玄兎
「ゲーム構築とかってのが意図してたらしいんだけど、気取って英語にしたときに編制になっちゃったらしい(笑)」
シノフサさん(仮)
「そんなオチが(笑)」
玄兎
「10年以上騙されてた(笑)。でもまあゲーム構築でも分かりにくいけどね。その辺はなんか言葉を考えるかした方がいいかもしんないけど、まあ内輪で使うくらいだし今更だよなあとか思ったりはしてる」
シノフサさん(仮)
「まあねえ。内輪では定着してきてるし」
玄兎
「アカデミズムとパブリックの寸断を解消するには、なんか別の造語でも持ってきたほうがいいかもしんないってそうじゃねえや。えーとあれだ、話を戻そう」
シノフサさん(仮)
「逃げた」
玄兎
「うっせ」
シノフサさん(仮)
「それでTRPGのシナリオはばらけていいの?」
玄兎
「アプローチ次第だと思う。たとえば僕が好きなレフリー方式だと、コアはゲーム世界のシミュレーションなんで、キャラがどんな行動をとっても関係ない。プレイヤーは一人一人がやりたいことをやって楽しめばそれでいいってことで、この場合はばらけても構わない」
シノフサさん(仮)
「ふんふん」
玄兎
「で、もう一方の雄であるストーリーテラー方式だと、ストーリードラマを描くことがコアになるんで、こっちの場合はキャラはドラマに絡んでくれないと難しい。限られた時間で描けるドラマは柱が多すぎても駄目だから、まあ1本か2本か、それくらいの柱にキャラが絡んでこってり濃厚なストーリーを組み上げてくれるのがいいってことで、こっちではばらけられると困ったことになる」
シノフサさん(仮)
「でもそのシミュレーションの方でもばらばらに動いたらあんまり面白くないんじゃん?」
玄兎
「俺もそう思う。用意されたシナリオに乗っかる必要は無いんだけど、プレイヤー同士で絡まないのはもったいないっつか、TRPGやる意味が無いっつか」
シノフサさん(仮)
「そこまで言っちゃう」
玄兎
「まあ意味が無いってのは言いすぎかもしんないけど、ソリティアならコンシューマーでいくらでも遊べるし。オブリとかFO3とかシミュレーションタイプのゲームもあるし、俺マンセーだけなら観客の少ないTRPGなんかより、もっと広い世界がいくらでもあるんだし」
シノフサさん(仮)
「意味もなく遊んじゃだめなの?」
玄兎
「全然。楽しめるならそれで構わないと思うよ」
シノフサさん(仮)
「だよねえ」
玄兎
「なんだろな。意味なんかは別に必要ないんだけど、自分だけが楽しむためにプレーされると、他の参加者はどうなのって話になっちゃうから。お前の楽しみのためだけに俺は睡眠時間削ってやりくりしてきたんじゃねえんだよとか思うし」
シノフサさん(仮)
「それは分かるけど」
玄兎
「TRPGのプレイヤーの資質で最上のものがあるとすると、それってたぶん人が楽しそうにしてるの見て、自分まで楽しくなっちゃうようなハッピーな人だろうと思うわけ」
シノフサさん(仮)
「自分が楽しむために人を楽しませる人?」
玄兎
「そうそう。それも1人だけだと大変だけど、2人いれば相乗効果で一度ハイになればテンション上がりっぱなしになってなおハッピー(笑)」
シノフサさん(仮)
「おかもっちゃんとノリさんみたいな(笑)」
玄兎
「ああ、あの2人は凄いやねえ。悪のりすると止めるの大変だけど(笑)」
シノフサさん(仮)
「ああいうのが最上?」
玄兎
「だと思うよ。ゲーム巧者も必要だけど、上手い人より楽しい人の方が重要。上手い人もいないと話がまとまらなくなったりするけど、まとまらなくても楽しければいいと思うし。まとまったけど楽しくないのとどっちがいいかって話ですよ」
シノフサさん(仮)
「それってペテンじゃないの?」
玄兎
「いやあ、システムデザインの方でもわりと大事な話なんで。この辺」
シノフサさん(仮)
「ってと?」

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