教条主義者(2006.10.31)

 例の「未履修問題」に関して、僕の中にある深淵から声がするわけですよ。
 なんというかまあ、自分でも鬱になってくるんですが、吐き出しておかないと面倒なんで、書くだけ書いておきます。
 どうか読まないで頂きたい。


 本当のところはどうだか知りませんが、世界史を省いた理由について

「生徒の要望で」

と言った学校がありましたね。
 それが事実かどうかは分かりませんが、事実だとすると何ともアホらしい事に。

 世界史が受験科目でない子供たちにとって、世界史を真面目に受けていた生徒たちは、省かれていた生徒たちに比べて何時間のタイムロスをしているのかって話ですよ。それで発覚した今になってから「このままじゃ卒業できないから免除案を」と大人が騒ぎ、子供らは高笑いするわけです。
 もしも生徒側の要望に端を発したものであれば――まあ生徒自身が実際に嘆願署名だの口頭で要望だのしたわけでなくとも、そういう学校を選択すること自体が無言の要望であるわけですが――それを受容し実施した学校側には相当する社会的制裁が加えられる(既に加えられている)のに対し、要望した生徒にゃなんのお咎めもないことに。

 実にスバラシイ。
 要するにやったモン勝ちってことです。それは社会の避けられない摂理の一つかもしれませんが、そんなコト学校教育の関わる領域で教えんな。
 むしろ法の精神を学ばせる良い機会だから、今からちゃんと履修させたらどうでしょう? 他の教科の単位計算して、履修完了してるものから全部世界史に入れ替えてでも。それでも卒業できないなら、させなきゃいい。もう一年、頑張んなさい。
 もしその決断を下したとしても、くれぐれも税金で授業料補填とか、アホなことを言い出しませんように。そんなの学校単位で賄ってください。なんで犯罪者に金くれてやらにゃいかんのか。
 該当保護者には「監護・教育権(民法820条)」があります。生憎と法律には詳しくないので、これに違反した際の罰則規定や判例については知りませんが、少なくとも法律上、監護権者(親権の一部)を有するのであれば、それに違反していることに違いはありません。リスクは負ってください。

 結局のところ、犯罪行為を受容する社会が罪人を大量生産したというのが今回の事件の核であって、直接的な責任を有するのは関係者に限られますが、広義的には社会の方向性が誤っている、と言われても仕方がないのではないかと。
 僕も積極的に改善を図らなかった時点で罪科を背負っているわけで、それが民主主義ってヤツです。すばらしい。

 そうしたことを棚上げにして言わせてもらいますと……
 そもそもが生徒も学校も要領悪すぎます。
 生徒たち。世界史の授業やってたって、受験に関係ないから受けたくないってんなら単位数計算してサボればよろしい。履修単位に必要な時間は出て、そんかし内職(別の教科の勉強)でもなんでもすれば良い。
 学校だって、予備校的指導を売りにしたいなら、世界史単位はあるけど実際にはオール自習とか、やりようはあります。まあ世界史の教材費は無駄になりますが、それくらい気にしないでしょう、受験勉強したいだけのヒトなら。
 やって欲しくはないですが、可能なはずです。とくに生徒たち。学校の方針次第では内申書が落ちる危険はありますが、その分だけ他で頑張ればいい。いくらでも方法はあります。

 まあ要領よく生きることが幸せかどうかは、個々人の判断によるところですが、そう生きることを選択するなら、その方法を考えればいい。今回の一件はまるで「皆で渡れば怖くない」を地雷原でやったようなものです。
 その結果が全滅。なんとも馬鹿馬鹿しい。
 お祭り騒ぎにゃ良いでしょうが、子供らのコト、国の未来のコト、少しは考えたらどうなのかと。教育は政治“百年の大計”の根幹をなすものです。それが単なる政争や票田確保に利用されてるようでは、国に未来なんてありゃしません。