[memo] 「なりきり」とPBM

上手くまとまらなかったのでそのまま放流。

先に断っときますと、自分は主に90年代のホビーデータ系のPBMを遊んでました。PBMについての評価はその経験に基づくもので、正確さについては特に保証できるものではありません。

「なりきり」とPBM

「ねとぽよ」さんとこで連載中のアレ。

読んでてふと「あ、PBMの視座が抜けてる」と思ったんですね。*1まあPBMを(T)RPGに含めるのかというと、個人的には「(T)RPGには含まれるけどTRPGには含まれない」みたいな感覚があって、まあこれは自分が勝手に考えてるだけなんでどーでもいいんですが(笑)

ただまあ、これについてはtricken氏の――

TRPGの立場から言うと、「なりきり」は、あくまでも純粋な意味での「キャラ描写」の実践という位置づけが適切でしょう。しかしTRPGで本当に重要なのは、ゲームの指し手として巧みに振る舞うことです。でもそれは「効率厨であれ」とか「データこそすべて」という話ではありません。それまでのキャラの設定や振る舞いからみて、一貫性の取れた行動宣言をしたり、仲間のアシストを上手にこなしてチーム内の義務を果たしたりという意味での、設定要素や役割分担も含めた上手な動きのことを指すんです。

――こうした評価からすると、PBMをTRPGの流れで扱うのは難しいかな、と。

PBMにおけるプレイング/ロールプレイ

これ、オープンワールド系の擬似MMOなキャンペーンやってみると分かるんですが、たとえばPC/NPCなど登場する〈ゲームトークン〉のスペックがバラバラで、それなのに同じゲーム盤の上で遊ぼうとすると、スペックの評価とそれによる最適なプレイングの抽出ってのが恐ろしく難しくなるんですね。たとえばPCよりも明らかに強力なNPCがいて、でも彼の目的や行動が分からないとき、自分の行動が彼とかぶってしまったり、あるいは彼に敵対するようなことになってしまったり、とかく失敗/無駄になる可能性が少なからずあるわけです。

TRPGの遊び方というのは大体その辺の問題に対して「シナリオ単位で目的を設定し、登場人物の数、レベルなどのスケールを狭める」ことで対処します。((だからちゃんと能力に合わせてゲームステージのスケールを調整しないと「成長してんだけどやってること同じじゃん」みたいな罠にハマる可能性もあるんですが。))

これがPBMになると、最初から目の前には広大な世界(オープンワールド)があって、様々なことに挑戦できるけど成功の保証はどこにもないし、放っておいても他のプレイヤーやゲームの都合によってゲーム内の状況はどんどん変化していく……という感じでした。

これは「ゲームの自由度の保証」であったり「規模の大きさによる特性を活かす」、また「楽しみを自分で創出する」といった理由のあるもので、一概に否定することは出来ないと思います。

しかしゲームプレイ(行動宣言)はラウンド制で毎ターン一発勝負だったので、自分より上手くプレイする人が出てくると、ターンまるまる無駄になる可能性も当然あるわけです。更には大多数のスペックを把握してるわけでもなければ、行動を相談できるプレイヤーもリアルな時/空間的に限られてしまいますから、上手く行動宣言がハマるかは半ば以上、運任せになります。

だからこそ集団でアクションを起こすことで成功率や影響度を上げようとしたり、また判断基準として提示されているリアクションから「常識」として不可視化されているリアルリアリティを抽出したり持ってきたりして、これを基準として採用するよう促すなどのプレイングもあったわけです。そうした交流や調査などを発掘/獲得する娯楽という側面があるんですが、これはTRPGにおける「ゲーム」の範囲からは逸脱していると見なすことも出来るわけで……

更にはPCのデータの信頼性も色々とビミョーだったりして(苦笑)

ランダマイザを目の前で扱うことの信頼性とか、逆にクローズドダイスは何のために必要とされるのか? 全部オープンでもいいんじゃね? とか(T)RPGやってりゃ考えることもあると思うんですが。これがPBMの場合、I/Oの距離が物理的にも心理的にもかなり離れているおかげで、基本的にクローズドだったりするわけです。((前にそれで「行動を送った時点でダイスロールの結果だけ見えるPBW」とか考えてたんですが、まあどうでもよろしい。))

そうした判断基準の希薄化や喪失によって、「上手な動き」「ゲームの指し手として巧みに振る舞うこと」が、プレイ時点どころかプレイ後になっても評価がとても難しくなってしまったりして。

そうした要因が絡んだ上で、PBMではキャラクターの行動理念に大きくウェイトを置いた「その舞台でPCは何をするのか/何を為すのか」という方向に進みやすくなったんじゃないか? と思ってるわけで。

  • 判断基準が希薄または皆無
  • 相互の自由度の保証
  • 規模の特性が活きる
  • 楽しみを自分で創出する

――こういう特性って「なりきり」と重ならんかな? とか。

「なりきり」との距離感で言うと、たぶんこれTRPGよりPBMの方が近いんですね。しかもその後の――

それに対して、なりチャの子たちは真逆で、むしろ嬉々としてリアルに持ち出そうとするわけですね。文通したり、オフ会をしたり。

――なんて、これ「まんまPBMじゃないっすか」とか(笑)

以上、投げっぱなしで終わり。

References

References
1 まあPBMを(T)RPGに含めるのかというと、個人的には「(T)RPGには含まれるけどTRPGには含まれない」みたいな感覚があって、まあこれは自分が勝手に考えてるだけなんでどーでもいいんですが(笑)

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