[BRP-FSS] ver.0.1.20130112

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例によって身内向けテキスト。

先日の試プレ会の感想戦で聞かれたんで、今回のテスト分に関係する話を晒しときます……遊んでないとワカンナイ話だと思います(笑)
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*BRP-FSS

**Design Concept

BRP-FSS では常に平等なパワーの PC が作成できるわけではなく、作成時のランダマイザの結果にかなり左右される部分があります。

まあ帰属組織(国家等)なんかは ROC*1ROC = ロール・オア・チョイスの略号。「ランダマイザで決めても、自由に選択しても良い」というルール。 なんですが、騎士としての能力や階級なんかは自由になりません。自由にならんところから始めて、自由にならん世界に振り回されながら、個人目標を達成する……というゲームとしてデザインです。それは自覚的にやってます。

**Designer’s note

そもそも原作の『ファイブスター物語』を読んでても、〈騎士〉たちってイマイチ目的が見えないんですよね。あいつら何したいのかは良く分かんない。

〈FSS世界〉は「社会があって>国家があって>個人がいて」……というトップダウンモデルになっている。そう見てます。

社会が国家より上に在るのは、国家の興亡が十分に有り得ること、また庶民と国家とのつながりが緩やかに見えることからそう判断しました。これは生活というモノが、ともすれば国家を超越する存在感を持っていることの証左でもあって、『ファイブスター物語』の緻密で広大な〈物語〉の根底に〈生活〉や〈日常〉が存在していることを表現する上で必要なものだと思っています。

〈FSS世界〉において、超然たる力を持った〈騎士〉たちと言えども、なかなか自儘にはなりません。*2グリーン・レフト(デモンズ・タワー)の連中とかは棚上げにしておく(笑) 国家の主であっても自儘に動けてるのってアマテラスくらいのもので、しかし光の神たる彼ですら(自身に「国王としての務め」を課している部分もあるんでしょうが)社会≒国民や議会の決議に対して“なるべく”その決定に従う方向で行動しています。この辺りの国家と個人の関係はとても近現代的で、永野護氏が――

>まず言っておきますが、私はノンポリです。特定の政治思想を持っていませんし、宗教にも入っていません。こんな私ですから、特定の思想を批判しているように見える作品にはしたくありませんでした。この物語を描く時に決めたのは、宗教や政治のことは一切無視しようということでした。ですから、ジョーカー太陽星団には、人種差別もありませんし、宗教戦争もないでしょう。戦争がおこるきっかけは、すべて領土と人民を手に入れようとする意思から始まるのです。(単行本 1巻 p.182)

――と解説している通りのデザインを企図しています。

しかもその世界の上に「運命あるいは歴史年表」なる流れがあって、世界そのものがそいつに翻弄されている中で、大切な何かを守る/得るために戦ってるのが〈騎士〉なのかなー? くらいの漠然とした認識なのです。

〈FSS世界〉の〈騎士〉って連中は一種の“種族”なんですよね。もちろん〈騎士〉の血が覚醒する必要はあって、それによって肉体が作り変えられるのは後天的なモノですが、そもそも〈騎士〉の血を持っている必要があり、また血の覚醒についても人間がどうこうできるモンではない。あくまで先天的なモノに左右された結果でしかない。しかも星団法とか色々とあって、否応なしに厄介極まりないシガラミを背負わされることになる。まあその代わりに一般人には望んでも得られない様々なモノが手に入るワケですが。

***Rule Concept

そうした〈騎士の人生〉というのは想像以上に“ままならないもの”であって、それは神≒プレイヤーの手にすら余るものだろうと考えました。その辺を支配しているのはあくまで「運命あるいは歴史年表」であって、そこに書かれていないモノですらジョーカー太陽星団の“在り方”によって振り回されることになる。そうしたものの表現として、ボドゲライクの「乱数―意思決定」ルールシステムを用意しました。

またそれらは〈物語〉の背骨として強い影響力を持ったまま、しかし〈物語〉のA面からは隠されていることの表現として、〈騎士の人生〉はセッション冒頭にセットアップとして処理し、今で言う「個別ハンドアウト」が自動生成されます。そうしたシガラミ(≒ハンドアウト)を背負った上で、「じゃあ〈物語〉を始めよう」という形でストーリーイベントを遊ぶ……というフレーム構造の重たさも、僕なりに考えた「『ファイブスター物語』らしさ」の表現ということです。

なお、ファティマの挙動がアレなのは仕様です(笑)
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References

References
1 ROC = ロール・オア・チョイスの略号。「ランダマイザで決めても、自由に選択しても良い」というルール。
2 グリーン・レフト(デモンズ・タワー)の連中とかは棚上げにしておく(笑)