[memo][XF] なんちゃってゲーム作り:XF-夜鳥子(2)

 「サイコロ・フィクションで『鬼切り夜鳥子』を遊べるようにテキトーに作ってみよう」の巻。
 前回のエントリは、こちら。

 で、今回は「サイコロ・フィクションをベースにする際の注意点」みたいな話を。

 あくまで僕個人の経験則やポリシーであって、まったくの的外れってのも当然、あるかと思います。所詮は「仲間内でシステム組んで遊んで“あー面白かった”」が目標のちっさいオッサンですんで、不特定多数を相手にするようなモノは視野に入れておりません。

あるシステムを改造するときの注意

 今回の「XF-夜鳥子」はサイコロ・フィクションをベースに考えていますが、どんなシステムであれ既存のシステムを改造しながら組み上げていく場合の注意点というものがあります。特に「良く出来たシステムだ」と感じ、そうした評価に「自分の作りたいもの」を掛け合わせようという時に、見落としがちな、当たり前の問い。

「そのルールシステムが何故、好き(高評価に値する)なのか?」

 これ、ちゃんと理解してないとキツいです。
 特に近年のゲームシステムというのは、複数のルールやデータといった要素が絡み合った、その関係性の上に「良さ」が成立するような設計が多く見られます。たとえば「このルールが秀逸だよなー」と一つのルールの面白さダケに気を取られてしまうと、そのルールの面白さを下支えしていたその他のルールやデータに気が回らなくなって、結果としてダメな換骨奪胎になってしまう……といった風に。
 あとまあ単純にキャラデータとかイラストとか世界設定とかが好きで、そのプラスイメージが先行してゲームシステムを高く評価してる(下駄を履かせている)ダケだった……というコトもあったりするので、ちゃんと考えとかないと後で泣きを見ることになりかねません。無論コレは実体験による経験則です(笑)

余談 : 昔はサァー

 昔のゲームシステムってのは関係性については雑なものが多かったので、そうしたシステムについては換骨奪胎しても大して問題にならなかった……というか、そこで「面白く無くなった」場合は「ゲームマスターが悪い」「シナリオが悪い」でファイナルアンサー……というコトが結構あったんですね。
 当時はシナリオやゲームマスターが、ゲームシステムの陥穽を補填するのが当たり前だったので。
 もっとも、そうやって陥穽を補填するために細かなカスタマイズを繰り返して、自分のマスタリングに適したルールシステムのバランスを見出していった達人も多かったし、きっと今のシステムデザイナー諸兄もその手の経験を積んできた人たちだと思いますんで、必ずしも悪いワケじゃあないんですが。

 でもシステムデザイナーの立場から責任をなすりつけちゃあイカンよね(笑)

 ああ、もちろん「そもそもシステムが何によって構成されているのか?」っていう構成要素についてもキッチリ理解しとく必要はあるんだけど。それはでもまあ表面的に見えやすいから、あんまり見落とさない……と思うんです。たぶん(笑)

サイコロ・フィクションを使う時の注意点

 んで、具体的にサイコロ・フィクションを使う時にはどうしましょう? と言う話。
 実のところ「サイコロ・フィクション」といっても色々なタイトルがあって、それぞれが個性的な関係性によってゲームを面白くしているわけで。そいつをひとまとめに「コレだ!」と言い切るのはちょっと面倒くさいです。でもまあそれでも共通している部分というのは当然あります。
 まずは大原則となる構成要素として、キャラクターデータは――

  • 特技リスト : 6つのカテゴリ・各カテゴリ毎に11の特技・カテゴリ間に5つのギャップ
  • クラス : 6つの役割分類
  • スキル、アビリティ : クラス毎に用意されたリソースコントローラ

――これらによって構成されます。

 またゲームの基本ルールについては――

  • ゲームの進行 : フェイズ―サイクル制
  • 行為判定の基本 : 初期目標値を5とする「2D6+特技リスト+修正」の上方ロール
  • 行為判定における特技リスト : 習得特技と判定特技との距離によって目標値を修正
  • シーンの生成 : ランダムチャート(表)を用いる
  • ゲームの目的 : 特定リソースを目標値になるようコントロールする

――これらはサイコロ・フィクションの、ルールシステム上の大前提となるコア部分。

 それから大事な表現構造として――

  • フェイズの序列によってゲームシナリオの基本構造を記述する
  • フェイズ毎の行動(コマンド)によってPCの“リアリティ”を制限/記述する*1[リアリティ] = 言い換えるなら「らしさ」のこと。サイコロ・フィクションのキャラクターは必ず何らかの立場が特定されており、その立場にあるキャラクターが、それぞれのフェイズ(状況)において採るべき行動がある。その行動を採ることが「その立場にあるキャラクター」の表現、また物語としてのシナリオ記述につながっている。
  • ランダムチャートと特技リストの組み合わせによって、プレイヤーによるシーンの記述を励起する
  • リソース管理をゲームの中核にすることで異なるフェイズを連結し、PC毎の活躍の場面を提案する

――この辺が、既刊5タイトル*2[既刊5タイトル] =

  1. 『ご近所メルヒェンRPG ピーカーブー』
  2. 『現代忍者バトルRPG シノビガミ』
  3. 『ホラーアクションRPG ハンターズ・ムーン』
  4. 『魔導書大戦RPG マギカロギア』
  5. 『ヴァンパイア・ハントRPG ブラッド・クルセイド』

全てに共通しているポイントだと考えます。

 システムデザインをする上では、表現構造の要素から絞り込んでいくのがいいかなーと思います。
 ここの絞り込みについては、いくつかアプローチのラインがあるんだけど……
 まあ今回はシナリオフレームから攻めますか。

 ぶっちゃけキャラデータやコアルールについては、表現構造が出来上がらんことには手のつけようがないと思います(笑)

ということで……

 今回はここまで。
 次回は『鬼切り夜鳥子』のシナリオ構造から、ザクザク進めて……いけたらいいな?

References

References
1 [リアリティ] = 言い換えるなら「らしさ」のこと。サイコロ・フィクションのキャラクターは必ず何らかの立場が特定されており、その立場にあるキャラクターが、それぞれのフェイズ(状況)において採るべき行動がある。その行動を採ることが「その立場にあるキャラクター」の表現、また物語としてのシナリオ記述につながっている。
2 [既刊5タイトル] =

  1. 『ご近所メルヒェンRPG ピーカーブー』
  2. 『現代忍者バトルRPG シノビガミ』
  3. 『ホラーアクションRPG ハンターズ・ムーン』
  4. 『魔導書大戦RPG マギカロギア』
  5. 『ヴァンパイア・ハントRPG ブラッド・クルセイド』