買いました。
読みました。
もーね。もーね。
どうしてこうなった(笑)
快作というか怪作というか。
圧倒されます。
「ひょうげ者」爆誕
……“ばくたん”で“爆誕”って一発変換できる IME ってどうなの?
まァそれは置いといて。
『へうげもの』の第13服です。
あの、さ……
もうコレあれだよ。
ひとキャラずつ、ひとコマずつ語りたいくらい濃厚だよ。
超濃茶で奮い立っちゃうよ。
面白かったです。
……としか言いようがないくらい良かった。
マンガ表現としては、どうなんだろう?
古いのか、新しいのか、判断に迷うんだけど。
たぶん今の小奇麗なマンガと比べると「下手」って言われる部類になるんだろうけど、その実ものすごく上手い。
そしてソレ自体が、織部と重なって二度美味しいという。
よくこの奇人を見つけてきて、ここまで育てたなァ、と思います。
三成と刑部の、いわゆる「美談」なんかも斜めに見ていて、斜めに愉快。
家康と北政所(ねね)とのシーンなんかもう爆笑もの。
このシーンの最後のカット。この画面がものすごくイイ。
乙なんだ。
……とまあ、色々と語りたいことはあるんだけど、今回はこのキャラクターにスポットを当てたいと思う。
前田利家。
甲乙つけがたい大人物。
前田利家に感服
なにより前田利家ってキャラクターが、あそこまで一貫しているのには感服した。
瓜畑遊びなんかでは、あれだけ美味しくキャラを立てていたわけで。
下手な人に描かせたら、ただのギャグキャラにしちゃったところだろう。
天性のひょうげ者として、織部の「斜めに見る」感性との対比、またその「斜めに見る」ことでユニークに描かれる利家だけど、発言を追ってみるとこのキャラクター、とにかく鋭い。
のらりくらりと言を左右にするようでいて、個々の判断はまったく正鵠を射て外さない。
謹慎中だった伊達を呼びに行った時も、死の床で利長に語るときも。
高山右近の助命嘆願に行って、そのまま古織を残して帰ったときも。
あの「美談」を破壊した行動にしたって、全くブレがない。
状況や環境によって面白く「見える」キャラクターなんですね。
この人物の経歴を考えてみると、意外とこのキャラ立てがしっくり来るんですよ。
すごく理解できる。
死の床で、利長の問に応える利家の台詞。
利長は「叩きたい」って思ってるあのシーンも、別段おかしくないんですよね。
石田三成は「豊臣を悪いようにはせん」
徳川家康は「世を悪い方へは導かぬ」
――で、お前はどうする?
言葉には出さずとも、そういう問いが立っている。
そう読んでみると、この人物の死は、利休と同じく時代のターニングポイントになってる。
古織の関われないところで進んだ時代の変化。
古織の届かなかった天性。そのシンボル。
でも「叩きたい」のモノローグで、あの間が一気に笑いに変わっちゃう。
そういう「見方」の妙味がね、ズルいんだ。上手い。
一般的な史実としては、利家は道義を貫こうとする武断派のトップとして、家康と権力争いで真っ向対立するわけで、だからまあ「利家こんなキャラかよ!」って笑ってたんだけど、物語の筋として、歴史の流れとして、ポイント・オブ・ノーリターンの道標となった人物としては、全く正しく描かれているように思うわけ。
『花の慶次』で、そろばん抱えた小狡い利家を印象づけられた人は、よっぽど驚いたんじゃないかと。
同時に「前田慶次郎利益が登場したら、どう描かれるんだろう?」とも思う。
たぶん、直球勝負なキャラクターになって、斜めに見ても面白くなさそうだけど(笑)
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