[Consider] 話題としての本

 クローズアップ現代で、「ランキング依存が止まらない ~出版不況の裏側~」てのやってて。
 で、その中で

「ランキング上位の本はたいてい面白いし、まちがいがない」

 てコメントしてる女性がいたそうで。
 まあ本好きな人にとっては噴飯モノの意見なんでしょうが、分からないでもなくて。

カラオケ-ブログ文化?

 基本的に今の娯楽ってカラオケ的なのですよね、なんでも。
 まあどこぞのガクシャセンセーがこの手の話はとっくに書いてるだろうけど、現行、求められているエンターテイメントの性質は【内容】ではなく【話題】で。人と人とのつながりが希薄になって、極端な島宇宙化が進んでる状態にあって、求められてるのは「共有感覚」であって「自分がどう感じたか」ではないと思うんですよね。
 あるいは「自分がどう感じたか」という感情そのものが代替可能な【話題】であって、自分が属したいグループの総意(オピニオンリーダーの意見)と乖離していたら、そんなものはいつでも捨てて構わないものだと思ってるんじゃないかとか……いや、違うか。自分を書き換えちゃうんだ。オピニオンリーダーの意見に沿う形に。

 この、ブログってやつもソレに一役買っていて。
 大衆メディア作品という【話題】に、自分の感想という【話題】をくっつけて発表することで、どこかの誰かの共感を得ようとすることができる。オピニオンリーダーになろうとすることができる。そういう装置なわけで。
 オフライン環境においてモブ(末端構成員)である個人が、オンライン環境においては小規模であれオピニオンリーダーになれる、というのはブログの持っている一つの性質でしょう。もちろんそのためには最低限、読ませるだけのテキストを書く必要はあるんですが、その内容については直感的な、街角アンケートのサンプル程度のもので十分という手軽さもブログユーザ拡大の役に立ったわけで。

 ……ああ、脱線した。
 えーと、なんだっけ?
 そうだ本。ランキング。ランキング上位作品が面白いって話だ。

 ランキング上位の作品が必ず面白い、っていうのは「必ず話題になる/できる」ってことでしょう。またランキングという形で一つの権威付けがなされているので、知らない人に対して知っていることが優位に機能するということもあります。優越感という感情が人間にとって劇薬なのは言うまでも無いと思いますが、それを味わうためのツールになりうる。
 そう考えると、そうした【話題】のために本を買う、という人たちの層がどれくらいの規模かということを知らないといかんワケで。

 多いですよ。正直。

 あとは単純に、普段ほとんど本を読まない人にとって、本は常に斬新で刺激的なモノであるっていうのは実際でしょう。最初はネタ合わせのために、はたまた恥をかかないために読んでいても、新鮮な刺激に出合えば読み終えるまで頑張れるわけで。
 日常的に本を読んでる人は、その辺が麻痺しちゃってるから仕方無いんでしょうけど(笑)