[掌篇] 02 : 地図にない国

 ツーッ ツーッ ツーッ
 受話器から聞こえる、うつろな音。
「さよなら」
 耳の奥で、繰り返される声。
 想うだけで幸せだった、横顔が薄れていく。
 くず折れて見上げた空には、欠けた三日月。
 なにも考えられない。
 こころは今、地図にない国。

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