ゲームの話はしていません。
- shino
- 最近読んで面白かった本は?
- otneg
- またぶっ込んできたなあ。最近は留学の絡みであんまり娯楽本は読んでないんだけど。
- shino
- 少しは読んでるでしょ。息抜きとか。
- otneg
- そりゃまあ。そうだなあ、そこから引っ張ると『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』あたりかなあ。積読だったの崩して。
- shino
- どうだった?
- otneg
- 京極堂だった。
- shino
- そらまた。
- otneg
- いや悪い意味じゃなくてね。京極堂ってあれ、ミステリーの構造使って読者に問いかけながら、最後にはリペアするわけじゃない。誰にでも訪れるかも知れない通り物があって、それに対して赦免、赦しを与えるというか。いや文章量で疲れさせてる部分はあるんだけど。
- shino
- 鈍器だからねえ(笑)
- otneg
- 情報構造って深掘りすれば外とつながってる部分が必ずあって、それはまあ情報を構造化したのが人間だから当然なんだけど、そういう外の一部に対して高密度の情報構造をかぶせてミラーを作って、一緒に解きほぐしていく。元々、妖怪ってものにそういう性質があって、というか遡れば名付けの魔法とかルーマー、都市伝説とかの話になるんだけど。水木さんが漫画家だったことと妖怪を扱えたことの関係とか。読売、貸本から雑誌、新聞ときてラジオ、テレビは二十世紀の魔術だとか。
- shino
- どういう話?
- otneg
- 情報の距離と具体性、抽象性とか、仮託される言説とか。新聞で妖怪を扱ってた時代とか。今だとマックの女子高生って妖怪だよねとか。
- shino
- 妖魔夜行的な。
- otneg
- そうそう。で、それを古典的な情報構造である妖怪に仮託して、蘊蓄の形で引っ張り出しながら時代を飛び越えて普遍的なモデルに落とし込んでいくっていう。まあそういう見方もあるってだけなんだけど。
- shino
- うん。
- otneg
- 京極堂の後のティーンズというかラノベへの流れとしては、そこにジュブナイルと美少女動物園を直球でぶっ込んで『化物語』が出来たり、富樫とかジョジョのメソッドで蘊蓄バトルする『カンピオーネ』みたいなのとかがあって。たぶんもっと色々あったと思うんだけど、ラノベはあんまり読んでないんで。
- shino
- 現代魔法とか、なんか色々無かったっけ。
- otneg
- 名前は聞いたことありそうだけど多分読んでないんで。で、ウェイバー君は妖怪の代わりに魔術を持ってきた感じ。魔術も妖怪と同じで文化に深く根ざしてるんで、その辺の感覚は近いかなあ、とか。でも京極堂と並べたら蘊蓄少なめでサクサク進んじゃうし、本筋と関係ないミスリードだらけで、ミステリーテイスト、くらいのソフトタッチだけど。
- shino
- 謎解きじゃないの?
- otneg
- ぶっちゃけ語り手があんまり謎解きに興味がないもんだから、謎を解いてやるぞって気にはならないというか、謎に関心が持てないというか。まだ一巻しか読んでないんだけど、ミステルはわりと腕力で片付けられた感もあって。個人的には読み終わってからもう一度冒頭を読んだらいいんじゃないかなと思います。魔術師小説か魔術小説だよね。三田さんだなあっていう。
- shino
- ああ、だから京極堂。妖怪小説。
- otneg
- そうそう。オカルト、箱を開けて中を垣間見るのと同時に、箱にしまうこともする。そこに人の営みが有る。突発的に差し込まれる機械仕掛けの神さまはまあ、ご愛嬌ってことで。最近『Fate』の同人始めた人的には、あ、これアリなんだ、くらいの衝撃だと思うけど。で、これがグレートビッグ・ベン☆ロンドンスターがどうして育成の化物かってのにもつながる。あいつほんと碌でもねえ(笑)
- shino
- そんなにか(笑)
- otneg
- そういう意味では面白かったというか、まあ『Fate』のスピンオフとして楽しかったっていう評価になるのかなあ。原作知らないとどうなんだろうこれ? でもまあウェイバー超かっこいいんでFGOやってる人は是非。孔明引いた人は特に。ZEROでウェイバー好きになった人、は、どうだろう?
- shino
- イメージつながってない?
- otneg
- いや、めっちゃつながってるんだけど、イスカンダルとのバディが好きな人にとっては切なすぎて毒かもしんないなあって。
- shino
- そんなに(笑)
- otneg
- だっていちいち引っかかるからなあ。どでかい山場も有るし。いやそれくらいしかウェイバーの背骨を見せるところが無いってのもあるんだけどさ。大英雄だからなあウェイバー・ベルベット。