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劇場版『BERSERK 黄金時代篇III 降臨』のBDが発売になりまして。
-[[映画 ベルセルク 黄金時代篇 公式サイト>http://www.berserkfilm.com/index.php]]
真夜中、徹夜して観てました。
このタイミング逃すと多分観ないだろうなと思ったので(笑)
今回は手短に……は、なりませんでしたが気楽に。
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***実は一回、見限りました
このプロジェクト、自分は一回見限ってまして。
最後のひと押しになったのは、『ゴティックメード』観ちゃったからなんですよね。あの映像表現を観たら、なんだか急に劇場版ベルセルクが色あせてしまった。
とはいえ実際にはもっと早い段階で、たとえば劇場版第一作のBDでかなり裏切られた感があって……まあそれは良いんですが。
それでも第2部までは合戦やらなにやら観たかったんで良かったんですが、第3部ってぶっちゃけ〈触〉でしょう。あれ表現どんだけエグくしたって「大画面ですごい事やりました」っていう虚仮威し以上のモンになるとは思えなかったんですね。CGであのガッツのブチキレた表情、スミの強い静止画ならではの説得力が出せるとは到底思えなかった。
キャスカが××されてるシーンがきっちり描かれたからといっても、自分にとってそれは大した感動じゃなかったんです。
なのでまあ、アッサリ手のひら返して「第3部はBDで観よう」ってコトにして、で、今に至ったわけです。
**最後まで誠実に作り上げられた作品
結論から言うと、これ劇場で観ておくべきでした。
正直、自分の判断ミスでした。
ホントにね、最期まで誠実に正直に、映像として「リアルに寄せたらこうなるよね」っていうモノを作ってくれた。
アニメとしては『剣風伝奇ベルセルク』がありますんで、別のアプローチという意味でもこの路線は良かったと思います。
さっき描いた「静止画ならではの説得力」ってのは剣風伝奇でまんま静止画でやってましたし(笑)
というわけで、まずは拍手。
もちろん不満の残る点が、無かったとは言いません。最後の締めの台詞だけは、そこは狼煙を上げて欲しかったとか。まあでもそれ以外の点については概ね及第点以上。
***お気に入りのシーン
特に気に入ったのが、救出後のグリフィスが、キャスカに覆いかぶさって何かしようとするのを、キャスカに拒絶されるシーン。
あの弱々しさ、「力が入らない」どころじゃない、動かそうとする意志と実際の動きが繋がってないあのカットは、本当に良かった。
本当にこれ以上ないくらい絶望的だった。
観る側としては、まあキャスカとガッツが仲良くしちゃうのも、それはそれで分かるわけです。そこにグリフィスが絶望する、というのは、まあ分かるんだけどイマイチ気分が乗っていかない。
でもそんな次元じゃなく、「もう自分には何も出来ないんだ」という証左としての、あの顛末、あの動きは、本当にどうしようもなく絶望的で、「そりゃグリフィスもああなるわ! 『……げる』だわ!」というのが。
うん。
あそこのカット動かした人。グッジョブ!
***〈触〉はどうだったのさ?
で、まあ見どころとされる〈触〉のシーンはどうだったのか? 想像通り、大スクリーンでぶちかますだけの代物だったのか? というと。
ちょっと評価が難しい。
難しいんだけど、ただゴッドハンドの登場シーンについては、前述の絶望的なカットと同じく、原作を超えてたと思います。迫力もそうだし、「お前そんな動きだったんだ(笑)」と、そのコミカルさに笑ってしまうあたりも。
それ以外の要素については、やっぱりまあ、虚仮威しといってはナンですが、「ああデカいねーグロいねー」という予想通りの展開。
このシーンについては第1部をああいう構成にした段階で、もうどうしようもなかったと思うんです。
〈触〉の絶望って、つまりは〈鷹の団〉の団員たちに対する思い入れですから。ピピンやジュドー、そしてコルカスといった気のいい(?)奴らとの交流。群像劇としての黄金時代。夢の篝火としての〈鷹の団〉。その辺をガッツ、キャスカ、グリフィスの物語としてまとめた以上、〈触〉の絶望はそれほどではない。
コルカスが実にコルカスで、そこんとこは良かったと思いますが(笑)
ジュドーの最期とかね。原作でジュドー好きだったんで、あそこは本当にもう、原作読んだ時はすげぇ悔しくて泣いたんですが(笑)
彼の想い、もう少し音でも絵でも入れ込める場面はあったと思うんです。ただしそれ入れちゃってたら、ストーリーがブレちゃってたとも思うんですよね。ガッツがそれに気付いてた場合の、それでも連れて行こうとしてたガッツの判断はどうなんだよ? ということにもなりますし。そこは群像劇を切り捨てた時点でもう、描きようがなくなってた。
***生のまま見せつけられる居心地の悪さ
これ原作を読んで、そのまま丁寧に3部構成の劇場作品として編集した、という点ではこの上なく正しい作品だと思うんですね。
確かにあの長大でちょいちょいとっちらかってた黄金時代篇を、この時間の枠内にまとめようとしたとき、これ以上の方法というのはちょっと思い当たらない。
自分が想像力がないだけかもしれませんが。
ただね。
原作はかれこれ、えー、24年ですか。続いてるわけです。その間ずっと追いかけてきて、それだけの時間の中で育んできたモノ、ある意味では原作からはみ出してしまった想いというのがありまして。
そういう感情が思い描いている「『ベルセルク』らしさ」や「かくあるべし」的な画面は、もっとしっちゃかめっちゃかなんですね(笑)
もっとドカーンドバーンとズドーンでドキューンな感じなの(笑)
あるいはワクワクがジワーっとしながらズドキュっと来てホワ~な感じとか。
ワケ分かんないでしょう。
分かるわけがない(笑)
そのワケ分かんないイメージがあって、だから映画を観てると頭の中ではすっ飛んだ画面が予想されてるんだけど、実際には落ち着いて丁寧な画面が来る。
で、その落ち着いて丁寧な画面の方が、原作に近いわけ。
そうするとね。なんかこう、自分の中で燦然と屹立していた『ベルセルク』像が、しおしおと萎れていくというか、「あ、うんそう、そうなんだけど……いや合ってるんだよ。正しい。とても正しい……だけど」と微妙にモニョってしまうわけです(笑)
ああ、でも自分のイメージどおりに作ろうとしたら確実に支離滅裂なモンになったか、よくよく熟考したら結局劇場版と同じ解に至ったと思うんですが(笑)
***結局良かったのか? 悪かったのか?
良かったです。技巧点として。
ケチつけようとしたらもう、それこそ「映画化したのが間違っとる」と言うしか無い。
手間と時間のやたらとかかる群像劇は映画向きじゃないけど、合戦や〈触〉は間違い無く映画館の大スクリーン向きなんだよ! どっちもあるのが『ベルセルク』で、でもどっちかに絞ろうとすると、どっちかが犠牲になるんだよ! それはもうそういう作品だから仕方ないんだよ!
……という。
個人的には、実は断罪篇以降のストーリーの方が映画向きだと思ってますんで、この後の展開にこそ期待してるんです。
それぞれ登場人物が絞り込まれ、はっきりしたテーマを持ち、ストーリーの中で描かれるドラマでは、旅の仲間たちが丁寧にフォーカスされている。
実に映画向きだと思うんです。
ただ、そのためには黄金時代篇がどうしても必要だった。少なくとも〈触〉は必要だし、〈触〉には〈鷹の団〉が必要だし、〈鷹の団〉にはドルドレイ攻略も必須だし。
そんな感じかなァ。
***ボカされた性表現は結局なんだったのか
ひとつだけ謎が有りまして。
結局さ、ガッツの幼少期のエピソードとか、グリフィスとゲノンのアレとか、ボカして終わっちゃいましたね。
ほら、〈触〉でもキャスカが。あるじゃないですか。
だからあの辺の表現は、どっかしらでリンクするのかなーと思ってたんですよ。
でもそれは何もなくて。
そうするとあのグニャァ~と歪んだトリップ画面には、特に意味はなかったのかと。
そこは勝手に期待してた分、肩透かしでした。
誰も期待してねぇかそんな話(笑)
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