[chat] 20090506-4

2009/05/06 [4]

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シノフサさん(仮)
「だから古典は若い人に嫌われるんだ(笑)」
玄兎
「そのわりに時代物とか今いろいろ出てるよね。まあ御時世なんだろうけど」
シノフサさん(仮)
「あんなのただのブームじゃん」
玄兎
「まあ、ブームでもカンフル入れてもらわないと。市場体力が」
シノフサさん(仮)
「ネタ元としてはどんな心境?」
玄兎
「江戸時代に置き換えると、今の歴女ブームって歌舞伎と似たようなもんだと思うんよ」
シノフサさん(仮)
「そうなの?」
玄兎
「今では歌舞伎ってご立派な古典芸能だけど、元をただせば大衆芸能でさ。わりと無茶なこともしてるわけですよ。根っこに遡ればまず阿国歌舞伎で、まあこれは歌舞いた衣装、きわどい衣装で男のエロ視線を釘付けにするわけです。阿国歌舞伎を真似て遊女歌舞伎なんてのが出てきたり、若衆歌舞伎なんてのも出てきたりするんだけど、まあどっちもエロですよ。それまで渡り巫女だの白拍子だの言ってたのが、素性あらたかでなくても商売できるようにしたのか、アイデア商売だったのかもしんないけど」
シノフサさん(仮)
「話が戻った(笑)」
玄兎
「あ、そうかメイド喫茶(笑)」
シノフサさん(仮)
「(笑)メイド喫茶」
玄兎
「とにかくそういうのがあったわけ。んでまあこれが風紀を乱していかんってことで禁止されると、今の野郎歌舞伎にシフトしていく」
シノフサさん(仮)
「うん」
玄兎
「野郎歌舞伎はまあ、野郎がやってるわけで、女形の二枚目の言ってもやってるのはオッサンですよ。んでまあその二枚目ってのも、今で言えばイケメンですな。それに町娘やらがきゃーきゃー言ってた」
シノフサさん(仮)
「同じだ(笑)」
玄兎
「同じでしょ?(笑) そもそも二枚目って言葉自体が芝居興行が元なんだし。それに歌舞伎の方も、読み解きとか新解釈とか翻案とか色々やってたわけでさ。まあ流石に戦国時代を扱うと、反徳川として戦った勢力とか扱うのも色々とやばいわけで、もっと遡って源平合戦とか平安京エイリアン(笑)だったりってのはご愛嬌」
シノフサさん(仮)
「義経とか?」
玄兎
「そうそう。九郎判官義経がやたら美形になったのも、義経千本桜の興行が大きいんじゃないかとか。荒事の弁慶に対する二枚目の義経って感じで。もしかすると弁慶と義経のカップリングとかも有ったかもしんない(笑)」
シノフサさん(仮)
「江戸時代にも腐女子がいたかもしれない?」
玄兎
「いてもおかしくないとは思うけどね。男色大鑑なんつー怪しい本だってある時代だし。あれ一冊とっても、前半で武家の男色話をやって、後半で歌舞伎の若衆の話をしてってことだから、都合よく解釈すればキャラクターと中の人として読むことも、出来るかもしんない。こんなとこ穿っても仕方ないし、そもそもこの辺はちゃんと調べたわけじゃないんだけど、妄想する分には面白い。あとはあれかな、なんつっても曲亭馬琴」
シノフサさん(仮)
「出た。ラノベの開祖(笑)」
玄兎
「(笑)そういう覚え方か」
シノフサさん(仮)
「ゆとーり(笑)」
玄兎
「キャラを絞って話をぎゅっと凝縮した南総里見八犬伝より、書き終える前に死んじゃった傾城水滸伝の方がお好みか(笑)。まあそんなわけで、古典芸能とか偉ぶってる歌舞伎にしても、元はそんなもんだったりするわけですよ。もっと言えば、テレビ時代劇だってそうでさ」
シノフサさん(仮)
「そうなの?」
玄兎
「歴史は何度でも繰り返すのですよ。ただメディアが変わっただけで」
シノフサさん(仮)
「実際どんな?」
玄兎
「かなり馬鹿なチラリズムだったりすんだけどさ。こう、着流しをまくっておみ足がチラリとか」
シノフサさん(仮)
「マジ話?」
玄兎
「マジ。古い時代劇なんか見ると、着流しの合わせが小さかったり、ちょっと短かったりすんの。時代劇のお色気はなにもシルバーだけではないのでございますよ?(笑)」
シノフサさん(仮)
「手鎖ごめんでもないんですね(笑)」
玄兎
「レオタードくのいち(笑)」
シノフサさん(仮)
「あれってやっぱり珍しいの?」
玄兎
「まあ特撮の世界だったら巨大ロボを召喚するヘルメット忍者とかいたけど(笑)。テレビ時代劇では珍しいと思うよ。日活ロマンポルノとか、いかがわしい方ではまあ、容赦ないコスチュームとかもありそうだけどよく知らない。あれたぶん山田風太郎のせいなんだろうなあ(笑)」
シノフサさん(仮)
「エロエロ忍者小説の大家(笑)」
玄兎
「(笑)だからあんたは何でそういう覚え方をしてるのかと。風太郎先生はあれですよ、忍法を流布した偉い人なのですじょ?」
シノフサさん(仮)
「忍法を流布って?」
玄兎
「忍法って言葉を広めたのが、風太郎先生なんよ。それより前から忍術は有ったんだけど、忍法ってのは無かった。吉川英治が使ったとかいう話もあるけど、山田風太郎の忍法帖が無かったら立ち消えてたかもしんないくらいの存在感だったみたいで。まあ風太郎先生がいなくても杉浦茂の少年児雷也は出てるし、忍者ものなら白土三平もいるし。もっと遡れば尾上松之介の豪傑児雷也もあるし、それを遡ったら歌舞伎の演目になるわけで、風太郎先生だけがすごいわけじゃないんだけど。ただ、忍法なんたらの術、っていうフレーズが出来たのは風太郎先生のお陰ってことらしい」
シノフサさん(仮)
「じゃあ必殺技の名前を叫ぶ演出は、山田風太郎が元だったり?」
玄兎
「どうなんだろう? 必殺なんたらかんたら、っていうのは有ったかもしれない。たぶん白土三平あたりがやってるんじゃないかな。まあでも型としてはあれも見得切りなんだろうし、そうすっとまあまた歌舞伎の話になっちゃうんでまあそれは置くとして。忍法ってギミックの面白いところは、使用範囲を拡張してくれたところだろうなあと思うんね。お陰でギャグ化もしやすくなった」
シノフサさん(仮)
「どういうこと?」
玄兎
「必殺まるまるでもいいんだけど、必殺まるまるの場合は基本的にバトルもののキーワードっしょ。でもまあ忍法だったら別にバトルでなくても使えるわけで、その辺ボケとして使える場面が増えたわけさね」
シノフサさん(仮)
「あとあれもない?」
玄兎
「ほい?」
シノフサさん(仮)
「必殺技は目的が決まってるからツッコミ場所は過大広告ってことでしょ?」
玄兎
「うんうん」
シノフサさん(仮)
「だけど忍法だったら目的は決まってないから、ツッコミ型もシュールさとか色々アレンジできるとか」
玄兎
「ボケだけじゃなくツッコミにも幅が出来たと」
シノフサさん(仮)
「そうそれ」
玄兎
「なるほど、いいね。まあとにかくそんなわけで、山田風太郎は偉人なのです」
シノフサさん(仮)
「むりやり(笑)」
玄兎
「うっせ(笑)」

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