[chat] 20090211

更新履歴

2009/03/02 : 誤字、未変換文字の修正、および注釈を追加しました。

2009/02/11

玄兎
「歓迎しますよ」
シノフサさん(仮)
「じゃあちょっと教えて欲しいんだけど」
玄兎
「僕に分かることなら」
シノフサさん(仮)
「『ガープス』ってどんなゲーム?」
玄兎
「おお、すばらしい。よくぞ聞いてくれた。ウェルカム。大歓迎。ここが病室でなかったらボトルの一本も出したいところだよ(笑)。ようこそガープスの世界へ。ところでなんでガープス?」
シノフサさん(仮)
「コノエが、旦那と遊んで面白かったって言ってて、またやりたいって」
玄兎
「なんという嬉しい話。コノエくんってと妖魔だね。退院後の楽しみが増えたなあ」
シノフサさん(仮)
「どんなゲームなの?」
玄兎
「ねえねえ。せっかく録音してるし、だらだら喋っていい?」
シノフサさん(仮)
「のりのりじゃん? いいよ、暇だし。今日」
玄兎
「げんこ。まあいいか。それじゃあお付き合い、よろしくお願いします」
シノフサさん(仮)
「こちらこそ。で『ガープス』ってなに?」
玄兎
「TRPG の汎用システム。現役のはずなのに方々から無視されまくってるタイトル。日本語環境は特に不遇で(笑)」
シノフサさん(仮)
「なんでまた(笑)」
玄兎
「なんでだろうねえ。たぶん売れないからだろうねえ」
シノフサさん(仮)
「売れないんだ」
玄兎
「売れない。商売として、ものすごく旨みが少ない」
シノフサさん(仮)
「なんで?」
玄兎
「『ガープス』ってシステムは、ものすごい整ったデザインをされとります。全ての現実的な事象を再現できるように、デザインが微に入り細に穿ってて、まあそのトータルで見ると、なんかちょっとパースが狂ってるようなところもあるんだけど」
シノフサさん(仮)
「整ってると、売れない? 細かすぎて面倒くさいとか?」
玄兎
「そういう部分もあると思うんだけどね。もっとシンプルな理由があると思ってる」
シノフサさん(仮)
「というと?」
玄兎
「『ガープス』は、馬鹿馬鹿しいくらいシンプルな三つの判定ルール*1[三つの判定ルール] = 行為判定、反応判定、ダメージ判定のこと。基本的にはこの三つの判定と、ダメージ管理のルールだけでGURPSは回せる。と、一つの原則*2[一つの原則] = これは「CPの価値は均等である」って原則のこと。同じCPなら常に同じだけの価値になる……ように心がけること(笑) をあわせた四原則が、まずあんのね。で、全てのデータ、全てのルールはそのシンプルな四原則を拡張していくものでしかないわけ」
シノフサさん(仮)
「ふんふん」
玄兎
「その四原則を土台にして、その上にデータを管理するルールがある。で、こいつが問題なんだな」
シノフサさん(仮)
「っていうと?」
玄兎
「データ管理のパートで、どうやってデータを作ればいいか、どういう風にバランスを取ることを考えるか、っていうことまで踏み込んで示されてるわけ。だからユーザは誰でもデータが作れちゃう」
シノフサさん(仮)
「データ自作できるんだ」
玄兎
「できる。とはいっても、もちろんプレイヤーが作るときは、最終的にはゲームマスターの許可が必要になるだろうけど、そこでさえ認められれば、データデザインは結構イージー。だからサプリメントが売れない(笑)」
シノフサさん(仮)
「あ、そこにつながるんだ」
玄兎
「考えてみるとね、日本ではほとんど全てのゲームシステムが、データを増やすことでサプリメントを売ってる部分があるわけ。もちろん舞台設定とかシナリオ集なんかもあるんだけど、海外ほどプレイヤーに前提知識を求めないで、ボードゲームっぽく遊べるように、多くのシステムが追加データで商売をしてる部分がある。あとはリプレイね」
シノフサさん(仮)
「それでその追加データが自作できるから、サプリメントが出せない?」
玄兎
「出せる。出せるんだけど、出してもあんまり売れない(笑)。『ガープス』のデータは、ほぼ全てがCP、関係する環境、判定の有無と方法、修正値の四要素に収まるようになってて。この四要素は、さっきの四原則に大筋で対応する形で組まれてるから、システムのコアを理解して、いくつかのデータのパターンを理解してれば、同じ記述式で簡単にデータを量産できちゃう。だから買わなくてもいい。売れるのは、この辺のテンプレートから外れる魔法くらいなんだよなあ(笑)」
シノフサさん(仮)
「じゃあ逆にそれを買う人はなんなの?」
玄兎
「うーん。僕は買う人だけど、なんで買ってるかって言ったら、公式がどうデータを表現してるかが見たいから、かなあ。あとは公式設定っていう対いちゃもんプレイヤー説得材料(笑)」
シノフサさん(仮)
「データの表現って?」
玄兎
「『ガープス』のデータって、つまるところがテクスチャでね。たとえば美形キャラがいるとする」
シノフサさん(仮)
「あくまで執事とか」
玄兎
「『黒執事』*3[黒執事] = 作・枢やな。月刊Gファンタジーに連載中のコミック。アニメ化もされ、その筋では人気らしい。ゴメンナサイよく知りません。ですか」
シノフサさん(仮)
「いかにも美形でしょ。好きじゃないけど」
玄兎
「まあ設定上、美形ってことだからそれでいいや」
シノフサさん(仮)
「なげやりじゃん?」
玄兎
「いや、お耽美系の美形っていまいち理解できなくて。山岸涼子*4[山岸涼子] = 少女漫画家。『青青の時代』や『日出処の天子』、また『アラベスク』などの代表作を持つ。個人評としては、オーブリー・ビアズリーの影響を強く受け、細い線だけで画面を作り出す作風のせいか、この時代の少女漫画に多く見られたクドさが薄く、非常に読みやすい印象がある。とか岡野玲子*5[岡野玲子] = 漫画家。夢枕獏原作の『陰陽師』でご存知の方も少なくなかろう。ファンタジー作品を多く手がけるが、『ファンシィダンス』や『両国花錦闘士』など現代モノもある。作品には独特のユーモアがあり、これが理解できるかどうかで評価が大きく分かれる様子。『陰陽師』後半のオリジナル展開が好きな人は、初期の連載『消え去りしもの -MissingLink-』も気に入るだろう。長らく絶版状態だったが、最近になって復刊したので興味のある方は、どうぞ。相当な剛速球ですが、オススメです。なら分かるんだけど」
シノフサさん(仮)
「旦那それ偏りすぎ(笑)」
玄兎
「(笑)偏ってますか。まあいいや。とにかく美形がいたとする」
シノフサさん(仮)
「うん」
玄兎
「で、美形キャラが聞き込みをした」
シノフサさん(仮)
「なんか情報収集してるわけね」
玄兎
「そう。なんか聞いてる。で、ここで相手がどんな態度を取るかってのを、反応判定ってので決定する。3D振って、この出目は高いほうがいい」
シノフサさん(仮)
「ふんふん」
玄兎
「美形とか魅力的とか、容姿がいいと3Dにプラスされる。声がいいとか、なんか分からんけどカリスマ性があるとかでもプラスになる」
シノフサさん(仮)
「ほうほう」
玄兎
「で、判定すると、出目は普通の、まあたとえば10とか11とか平均だったんだけど、その美形ボーナスのおかげで13になったとする。10なら平均的な反応だけど、13ならちょっと良い反応が返ってきます。反応表ってチャートがあって、こいつを参照すると、まあそういう結果になるんです」
シノフサさん(仮)
「それで?」
玄兎
「とするとね、出目は普通だったけど美形だったから口を利いてくれる、っていう結果が得られやすい。これは分かるでしょ?」
シノフサさん(仮)
「判定が底上げされてるってことでしょ」
玄兎
「そういうこと。で、このときGMは、このNPCの反応についても同じように、美形だから教えてくれた、っていう形で、NPCの反応に理由付けができるわけ」
シノフサさん(仮)
「うん。でもそれって当たり前じゃんか」
玄兎
「当たり前だよ。ただ同じ反応修正が得られるにしても、美形ボーナスなのか、美声、声が良いボーナスなのか、なんだかよく分からないカリスマのボーナスなのか、それとも地位か、名声か、とかまあ色々あるわけ」
シノフサさん(仮)
「地位か名声?」
玄兎
「地位は、社会的地位。名声はあれだね、有名人ってやつ。ま、ここだけちょっと問題があって、名声はプラスかマイナスの修正がない限りはCPに反映しづらいんだよなあ。たとえば、ただテレビに出て街頭インタビューされても、プラスにもマイナスにもならないでしょ」
シノフサさん(仮)
「でもジャイアンツファンだったら(笑)」
玄兎
「ああ、ジャイアンツファンからはプラスで、アンチジャイアンツからはマイナスとかか。そういうアレンジは可能だね」
シノフサさん(仮)
「えー。できちゃうんだー(笑)」
玄兎
「(笑)出来るよ。そういうアレンジを可能にしてるのが、さっき言ったデータを自分で作れるルールってやつでね」
シノフサさん(仮)
「なるほど。売れない原因(笑)」
玄兎
「売れねえんだよなあ(笑)。いいシステムなんだけどなあ、『ガープス』。そうやって数値に意味、テクスチャを貼り付けるのが、『ガープス』のデータのひとつの役割になってるわけ」
シノフサさん(仮)
「ふうん」
玄兎
「で、まあちょっとここからが『ガープス』の強みになるんだけどね」
シノフサさん(仮)
「うん」
玄兎
「普通、キャラクターの設定って、GMが採用しないとゲームに反映されなかったりするのね。美形だが断るとか、そういうことがまあ良くある。でも『ガープス』って、CPってポイントの下に全てのデータを平等に、まあなるべく、ではあるんだけど平等に扱うように規定されてる。だからGMはプレイヤーがキャラクターに託した設定を、拾わないといけない、っていう部分があるわけ」
シノフサさん(仮)
「はい質問」
玄兎
「はいはい、なあに?」
シノフサさん(仮)
「CPってなんですか?」
玄兎
「CPってのは、あ、説明してなかった。ごめんごめん。CPってのはキャラクター・ポイントの略で、キャラクターを構成するデータを買うための、お金みたいなもの」
シノフサさん(仮)
「たとえば?」
玄兎
「まずは能力値。腕力が強いキャラってことにするなら、体力をたとえばプラス3しようとする。そうするとそこで30CP支払うことになる。同じように、素早ければ敏捷力、賢ければ知力、スタミナが有ってしぶといなら生命力、とかそんな感じで能力値のボーナスが買える。これが一つ」
シノフサさん(仮)
「うん」
玄兎
「それから特徴。能力値とは別の、局地的な身体能力とか、社会的な地位とか、精神的な強みとか弱みとか、超常的なパワーなんかもここ。たとえば抜群の反射神経があるなら15CPとか、県議会の議員だったら地位2レベルで10CPとか、すごい勘が鋭いとか、口から火が吹けるとか、全身が硬いうろこで覆われてるとか、水中で呼吸できるとか」
シノフサさん(仮)
「ちょ(笑)、最後の方、人間じゃないじゃん(笑)」
玄兎
「うん。グラビモスとかガノトトスとか想像してた、今(笑)。『ガープス』は人間以外のキャラクターデータも普通に作れるんで(笑)」
シノフサさん(仮)
「どんなのでも?」
玄兎
「どんなのでも。ロボットも作れればドラゴンも作れるし、宇宙船も作れる。ものすごい無茶をすれば耳掻きも作れる(笑)。まあ作ってどうするのか知らんけど」
シノフサさん(仮)
「耳掻きはウェポンでしょ(笑)」
玄兎
「(笑)それだと肩叩きは粉砕系になっちゃうんですけど(笑)」
シノフサさん(仮)
「ピアス狩りのお知らせ」
玄兎
「なんというゴーレム」
シノフサさん(仮)
「ごめんごめん。続けて?」
玄兎
「別にホリミヤの話でもよさそうなもんだけど。まあいいか。んじゃ続けます。えーと、であれだ、CPでしたな。CP。特徴は、そんな感じで色々ある。『ガープス』にはまったプレイヤーの半数は、キャラシーの特徴欄がとんでもないことになるという統計があったりなかったりします(笑)」
シノフサさん(仮)
「あと半数は?」
玄兎
「データッキーになって能力値と戦闘系技能ばっかりになったりします。過去、最強のデータッキーは、戦闘系の能力値を馬鹿高くして、戦闘系技能を3つだけとって、装備買っておしまいだったキャラ。知力が低すぎて一般生活にも支障があります(笑)」
シノフサさん(仮)
「(笑)」
玄兎
「まあそれは極端な話なんだけどね。あと、個人的には『ガープス』の戦闘ってあんまり面白くないから、バトルしたかったら他のシステムで遊んだほうが絶対良いと思う」
シノフサさん(仮)
「でもそれってTRPGの分かりやすい面白さが無いってことじゃないん?」
玄兎
「そうだねえ。戦闘が好きな人はやっぱり多いんで、そういう人には向いてないかもしんない。その辺も売れない要因の一つかなあ」
シノフサさん(仮)
「じゃあ『ガープス』? の面白さって、旦那はなんだと思ってる?」
玄兎
「端的に言えば、作る面白さ、かな。データを作る。キャラクターを作る。舞台を作る。ワールドサプリメントを作る。物語を作る。とにかくもう、ひたすら作ることの面白さだと僕は思ってる」
シノフサさん(仮)
「それは『ガープス』じゃないとできない?」
玄兎
「いや、そんなことはないよ。『ガープス』じゃなくても、作ろうと思えば何でも作れます。TRPGはその辺ものすごい緩いから。デジタルみたいな専門知識も、ボードゲームみたいなコンポーネントも必要ないし」
シノフサさん(仮)
「それでも『ガープス』を選ぶ理由は?」
玄兎
「『ガープス』は現実に近い虚構というか、現実との隔たりの小さいパラレルワールド系の世界を再現するには、必要なものがほとんど揃ってるから、あとは世界を再現するのに必要な要素を組み込めば、シームレスに遊べるもんなのよ。覚えることも、基本は四原則だけで、楽なんだよね。エピックファンタジーとか、アンサンブルプレーをやるときなんかは、キャラクターをいろんな方法で個性化できる部分で、絶対的なアドバンテージになるし」
シノフサさん(仮)
「もしかして、すごい地味?」
玄兎
「うん。『ガープス』は見た目ものすごい地味。さっきも出たけどあれだよ、花形の戦闘パートが地味だからね。ただ、これは数理ってか、数値の意味ってか、そういうものを戦闘と、戦闘じゃないパートで違いが出ないように、フラットにしたからなんだろうけど」
シノフサさん(仮)
「フラットな数値?」
玄兎
「一番分かりやすいところで言うと、ヒットポイントが独立してないこと。管理上は独立させるんだけど、生命力が、ああ四版だと体力なんだけど、とにかく能力値と同じ値が基準値になってるわけ。基準能力値が10だったら、ヒットポイントも10ね。これはマジックポイントというかメンタルポイントというか、そっちの魔法を使うためのリソースでも同じこと」
シノフサさん(仮)
「レベルアップとかで成長したりは?」
玄兎
「ああ、『ガープス』にはレベル無いです」
シノフサさん(仮)
「無いの?」
玄兎
「無いです。成長は、経験値としてCPを獲得して、そいつを使って成長させるだけで、レベルみたいな明確な基準はなし」
シノフサさん(仮)
「どれくらい強いのか、わかんないじゃん」
玄兎
「単純に戦闘力だけを測れる数値はないよ。同じ100CPでも、戦闘が強い人と、政治力がある人、陸上競技が得意な人も、チェスのトップランカーもいる。どんなキャラクターを作るのかは、作る人の自由なのが『ガープス』なんで」
シノフサさん(仮)
「それでゲームできるの?」
玄兎
「出来るよ。ステージセットさえしっかりできてれば」
シノフサさん(仮)
「ステージセットって?」
玄兎
「そのまんま。舞台設営。これはシステムに組み込まれてる場合もあれば、そうでない場合もある。こう、ゲームって何層にも重なったレイヤーになっててね。あんまり自覚されてない場合もあるんだけど、たとえばゲームシステムが土台にある。で、その上に舞台がある。舞台の上に大道具とかいわゆる美術がある。ここまでは、大体のシステムが支援してる」
シノフサさん(仮)
「うん」
玄兎
「で、次にシナリオがある。シナリオは、大雑把にまとめた全体のショートプロットがあって、ショートプロットを拡大したミドルプロットがある。一般的なシナリオっていうと、だいたいこのミドルプロットから、それをもっと細かくしたロングプロット、それか最終プレゼンで使えるフルプロットのレベルになるんだけど、ロングにせよフルにせよ、ショートプロットの筋からは外れちゃいけないわけ」
シノフサさん(仮)
「ふんふん」
玄兎
「で、まあそのショートかミドルくらいのプロットっていうのは、ステージセットと密接にかかわってくるっていうか、まあ要するに、ほとんどのシステムが、どういうプロットの話を遊ぶのかっていうことを、ある程度まで想定して作られてるわけ。例えばダンジョンハックするとか、エイリアンと戦うとか」
シノフサさん(仮)
「うん」
玄兎
「『ガープス』にはそれが無い」
シノフサさん(仮)
「無いの?」
玄兎
「正確には基本システムの、『ガープス』ベーシックには無い、なんだけどね。ワールドサプリメントとかワールドモジュールなんて形で、後から追加できるようになってるわけ。ソードアンドソーサリーとか、サイバーパンクとか、スペースオペラとか、クトゥルフホラーとか、ウェスタンとか、そういうステージセットを変えることで、いろんな世界で遊べるようになってんのね」
シノフサさん(仮)
「それは売れないの?」
玄兎
「たぶん安ければ売れるんだと思うんだけどなあ。値段がハードルになってると思う。たしか版権が富士見に移ってからなんだけど、大判ムックになって、一気に値上がりしたのが致命的だった。昔は文庫で一冊800円くらいのを何冊も出してたんだけど、今はベーシックだけで5000円が二冊とかだからなあ。どう考えても無茶でしょ(笑)」
シノフサさん(仮)
「今は基本セットだけで10000円ってこと? 文庫十二冊分?」
玄兎
「だいたいそういう計算になるよねえ」
シノフサさん(仮)
「十二冊分の価値あるの?」
玄兎
「うん。まあ有ると言えば有る。無いといえば無い」
シノフサさん(仮)
「どっち」
玄兎
「正直、旧版でも十分すぎるくらい遊べるわけですよ。新版にグレードアップする必要があるか? っていうのが、最初の課題でね。ぶっちゃけて言うと、アップグレードしなくても遊べる。もともとが自作を推奨するようなつくりだから、三版を遊びこんだ人はそのまま遊び続けちゃうと思うんだよね。僕も三版でやってたキャンペーン終わってないんで、そっちはまだ三版でやってるし」
シノフサさん(仮)
「それじゃ価値ないじゃん?」
玄兎
「いやあ、四版は綺麗に整備されてて、三版よりベーシックの表現力が上がってるのは、ちゃんと価値はあると思うんだけどね。文庫で出たベーシックとサプリメントが、全部まとめて入ってるくらいの迫力はあるし。ただねえ」
シノフサさん(仮)
「なに?」
玄兎
「カスタマイズ機能が拡張されたお陰で、データの単純数が減ってるように見えるのが難点でね。自分でカスタマイズしないといけないから、そういうのが好きな人でないと、たぶん価値は認められないと思う」
シノフサさん(仮)
「ひと手間必要になるんだ」
玄兎
「そゆこと」
シノフサさん(仮)
「ああ。なんかそれで分かった気がする」
玄兎
「うん?」
シノフサさん(仮)
「売れない理由。今って色んなゲームが出てるし、わざわざ作らなくても遊べるのいっぱいあるじゃん。そういう面倒なのって、今は嫌がられるでしょ」
玄兎
「まあ、そうだわなあ。ただまあなんて言うか、エピックファンタジーとか、アンサンブルプレーを、ちゃんとシステムでフォローしてるのは、『ガープス』くらいなんじゃないかと今でも思っててね。他のシステムではあんまり見られないようなゲームが遊べるのは、やっぱり強みだと思うよ」
シノフサさん(仮)
「あんまり見られないゲームって、どんな?」
玄兎
「キャラクターに振り回されるゲーム」
シノフサさん(仮)
「なにそれ(笑)」
玄兎
「『ガープス』のキャラクターって、CP使って強くなるだけじゃなくて、CPもらって弱くなることもできるんよ。たとえば、隻眼なんで遠近感が分かりませんとか、好奇心旺盛で罠がありそうでも覗き込んじゃいますとか」
シノフサさん(仮)
「なにそのギャグキャラ(笑)」
玄兎
「まあ、そういうのもあるんよ。で、そういう欠点をとると、CPがもらえるわけ。マイナス特徴ってやつでね、まあこれでCPを稼いで他の部分を強くするのが、『ガープス』のキャラの基本パターンなんだけど。こいつがゲーム中に、よく悪さをする(笑)」
シノフサさん(仮)
「罠に突っ込んだり?」
玄兎
「そう(笑)」
シノフサさん(仮)
「死ぬじゃん(笑)」
玄兎
「死ぬような罠だったらね(笑)。精神的なマイナス特徴は、抑制判定ってのがあって、それで抑えられるんだけど、失敗すると暴走するんだわ。プレイヤーはやりたくねえなあと思ってるようなことでも、キャラクターはやっちゃう(笑)」
シノフサさん(仮)
「(笑)ひど」
玄兎
「昔、『ワープス』*6[ワープス] = 国産の汎用システム『ワープス(WARPS)』。プロデューサーは『ダブルムーン・コンパニオン』の故・大貫昌幸氏。モジュール、サプリメントによってゲームを切り替える汎用TRPGシステムとして登場した。これは当時アメリカで話題になっていた『ガープス』を意識したものと思われる。『ワープス』は早い段階から原作モノの再現を企図しており、『ルパン三世・カリオストロの城』や『機動戦士ガンダム・逆襲のシャア』、『アップルシード』などが発表されている。現在ではGMのセッションハンドリングをブレイクスルーする強力なリソースとして『トーキョーN◎VA』の「神業」があげられるが、その源流ともいえる「ヒーロー効果」は、この『ワープス』が初出だったと記憶している。ってゲームでも、プレイヤーが冗談で言ったことを判定して、失敗すると本当にやっちゃう、なんてルールがあったんだけどね。名前が似てるけど、あんまし関係ないんだけど」
シノフサさん(仮)
「前にちょっと聞いた気がする」
玄兎
「話したかも。あとは、そうだなあ。ファーローズ*7[ファー・ローズ] = 門倉直人氏のデザインによる『ローズ・トゥ・ロード』シリーズの三作目で、『ファー・ローズ・トゥ・ロード』の略称。「Fローズ」とも。シリーズは幻想的な『指輪物語』世界の影響を強く受けており、個人的には国産システムでほぼ唯一、『ウォーハンマー』と渡り合える世界構築型ファンタジーではないかと思っている。「マジックイメージ」、「感情ポイント」などの個性的で豊かな表現力を持ったルールを搭載する。なんてゲームでも、こっちは感情値ってパラメータがあって、生き物を殺したり、なんか飲んだり食ったり、あとは寝たり、まあ色々行動をするたんびに変動するんだけどね。これもプレイヤーの意図とは関わりなく、キャラが暴走する(笑)」
シノフサさん(仮)
「好きでしょ、それ(笑)」
玄兎
「(笑)大好物(笑)」
シノフサさん(仮)
「やっぱり(笑)」
玄兎
「この辺はシステムの方で、プレイヤーとキャラクターを分けちゃってる例かな。今はプレイヤーの側からキャラクターを遠ざけるような流れがあるみたいなんだけど、『ガープス』とかファーローズとかはキャラクターの側からプレイヤーを遠ざけるような構造になってる、って考えればいいのかもしれない」
シノフサさん(仮)
「そうすると、どうなる?」
玄兎
「暴れ馬をなだめながら、どうにか目的地に向かわせるような、荒れ狂う大海原を、うさんくさい海図に従って進んでいくような、そういうゲームになる(笑)」
シノフサさん(仮)
「言ってることは冒険っぽいけど、なんかちょっと罰ゲームくさいのは気のせい?」
玄兎
「どうだろ? 好み次第なんだろうけどね。面白い対比ができるのがあったな、そういや」
シノフサさん(仮)
「なに?」
玄兎
「『トーグ』*8[TORG] = West End Games社の発表したシステム。シリーズ自体は1997年に終結しているものの、2005年にルールを改訂した『TORG1.5』が再版されるなど、現在でも根強いファンに支持されているタイトル。対数評価による特異点問題への挑戦や、ゲームプレイのシーン管理、ロールプレイ支援、レルムのアクシオムによるキャラクターの能力変化など、ルール的にも野心的なものが数多く見られ、現在でもTRPGシステムに多大な影響を与え続けている。詳細は本文参照。ってシステム。こっちも汎用ではあるんだけど、ポシビリティ戦争っていうでかいテーマが最初からあって、キャラクターは侵略者たちと戦うストームナイトって設定が最初からあるんで、そういう意味では『ガープス』の方向性とは違った汎用だね」
シノフサさん(仮)
「それで?」
玄兎
「こっちでは、まずコアアースっていう地球そっくりの惑星が、いろんな世界の侵略を受けて、エリアごとに別の原理が働くようになっちゃってるわけ。さっき話したステージセットで、『トーグ』ではレルムってんだけど、たとえばファンタジーの魔法と怪物がいるアイルとか、スチームパンクっぽいうさんくさいガジェットとアメコミヒーローのスーパーパワーが出てくるナイルとか、恐竜たちが暴れてるジュラシックパークみたいなリビングランドとか、そういうのがあるわけ」
シノフサさん(仮)
「なんか面白そうじゃん」
玄兎
「うん。実際面白いゲームです。あれは。で、そこではたとえばリビングランドだと、石器時代の原理が機能してるから、電気エネルギーで動く機械が動かない(笑)」
シノフサさん(仮)
「どういうこと?」
玄兎
「ストームナイトって、いろんなレルムの出身者たちなわけですよ。剣と魔法の世界から来た騎士だったり、こんなこともあろうかとっつって何でも作っちゃうマッドサイエンティストだったり、オフィス街を暗躍する企業忍者だったり」
シノフサさん(仮)
「企業忍者ってなに(笑)」
玄兎
「ニッポンテックってレルムでは、企業戦士が武士道と言ったり、産業スパイが忍者だったりする(笑)」
シノフサさん(仮)
「すご(笑)」
玄兎
「で、そういう色んなレルムのストームナイトは、それぞれのレルムの技術で戦うわけなんだけど、現在地のレルムの法則より進んだ技術ってのは、普通は機能しないようになってるわけ。それぞれのレルムが、そういうことになってる」
シノフサさん(仮)
「ふんふん」
玄兎
「で、ストームナイトはこの普通は出来ないことを、やってのけちゃうんですな。ポシビリティ判定ってのがあって、こいつに成功すると、動かないはずの機械が動いちゃうわけ。使えないはずの魔法が使えたりね」
シノフサさん(仮)
「派手だねえ。でもそんな技術越境したらまずいんじゃないの?」
玄兎
「うん。まあポシビリティ判定は、技術の差が大きいほど厳しくなるから、あんまし派手にずれこんだ世界では、そうそう何度も成功しないんよ。だからまあ、ただの奇跡に見える」
シノフサさん(仮)
「なるほど」
玄兎
「でね、この『トーグ』と『ガープス』、面白いくらい逆ベクトルなわけ」
シノフサさん(仮)
「どういうこと? あ、判定?」
玄兎
「そう、判定。『ガープス』の抑止判定は、失敗しないためにする判定。『トーグ』のポシビリティ判定は、成功させるための判定。結果も、『ガープス』の場合は成功しても水平飛行、失敗すると操縦不能なのに対して、『トーグ』は成功すると急発進、失敗しても現状維持」
シノフサさん(仮)
「正反対じゃん」
玄兎
「正反対なんだよ。これが、えーと記憶が確かなら、わりと近い時期に発表されてたシステムだと思ったんだけど。*9[わりと近い時期に発表されてたシステム] = これは日本国内の話。『ガープス』は1992年に角川スニーカー文庫から、『トーグ』は1993年に新紀元社からそれぞれ発表されている。キャラに振り回される感、思い通りにならない感に加えて、この安定志向も『ガープス』が地味な印象を受ける、要因の一つなんだろうなあと思うんだけどね」
シノフサさん(仮)
「聞いてる感じ、すっごい地味じゃん」
玄兎
「うん。まあ地味なんだよな。それにたぶんだけど、『ガープス』の遊び方ってのは、ものすごい古臭いんだな。ものすごいユーザー頼みなんだよ。他のシステムに比べて、プレイヤーもGMも、前のめりにゲームに参加していかないと、あんまし楽しめないし」
シノフサさん(仮)
「(笑)旦那、それ全然面白そうじゃないじゃん」
玄兎
「そうなんだよなあ。いやあ面白いんだよ? 今度やろうよ。俺GMやっから」
シノフサさん(仮)
「えー。地味なんでしょ?」
玄兎
「地味なんだよねえ。この辺はベーシックロールプレイングなんかも同じようなもんだと思うけど。昔の汎用システムってなんでこう社会派ぞろいなんだろう」
シノフサさん(仮)
「社会派って(笑)」
玄兎
「社会というか、現実の再現装置として設計されてるからなんだけどね。理由もまあ、虚構のほとんどは現実を足場に、一部だけ虚構に書き換えるものだから、土台になるのは現実寄りのものの方が、後で加工する汎用志向としては都合がいいんだと思う。かくして汎用システムってのは、どうしても地味な設計になって、ユニークな独立ゲームに遅れをとることになる」
シノフサさん(仮)
「なんでそこまで汎用システムにこだわるわけ?」
玄兎
「何でも出来るから」
シノフサさん(仮)
「汎用じゃないと出来ないことがやりたいってこと?」
玄兎
「まあ、そういうことかなあ。ゲームの中にも日常が無いと、ゆきて帰りし物語ってやつがプレイヤーだけのものになっちゃう、っていうのも少しひっかかってる部分ではあるんだけど」
シノフサさん(仮)
「ゆきて帰りし物語って、日常と非日常を往復するやつでしょ?」
玄兎
「そう、それ。冒険譚の基本軸で、まあ昔話ですよ。桃太郎とか、浦島太郎とか」
シノフサさん(仮)
「プレイヤーだけのものになっちゃうってのは? キャラクターは非日常に行ってないってこと?」
玄兎
「この辺は、ちょっとまあ見方にもよるんだけどね。冒険者っていう職業があるとして、まあ何でも屋だわな。こいつらにとっての日常は、冒険してるときなのか、それとも酒場で飲んだくれてるときなのか、っていうのは見解の相違があると思うんだけど。僕は後者だと思うわけね」
シノフサさん(仮)
「でも職業だったらどっちも日常なんじゃ?」
玄兎
「そういう風に考える人も当然いると思うし、それはそれでいいと思う。冒険のスリルに溺れたジャンキーにとっては、酒場でどんだけ飲んだくれてても生きた心地がしない、なんてキャラもありっしょ。ただまあ何だろ、冒険者ってそんなに年がら年中冒険してるもんなんか? って疑問はわりとあって」
シノフサさん(仮)
「それは分かる。日帰りバスツアーみたいな冒険って多いよねえ」
玄兎
「もちろんゲームだし、時間にも限りがあるからスピーディーに話を進めるには、そんな日常の風景なんかはいらないのかもしれない。ただそうすると、キャラの設定を生かせる場面が限られてきちゃうってのは、あると思うんね。どうしても」
シノフサさん(仮)
「はい質問」
玄兎
「うん?」
シノフサさん(仮)
「そこまでする必要ある?」
玄兎
「やりたい人がやればいいって話で、別にみんながやんなきゃいけない事じゃあない、とは思う。ただ僕はGMやるときは、できるだけ設定を拾いたいし、プレイヤーやるときも、自分がやりたいことを設定に仮託してるんで、拾ってもらいたいと思ってる、っていう話」
シノフサさん(仮)
「ある程度遊んでからは、あんまり設定にこだわらなくてもいいじゃんって、思えるようになったけど、最初のうちは設定使いまくってた(笑)」
玄兎
「遊び慣れてくると使える設定、使えない設定の見分けが付くようになるんだよねえ」
シノフサさん(仮)
「力を封じられた破壊神の転生でーとか(笑)」
玄兎
「それ前になんかで拾ったことある。たしかセブンフォートレスかなんかで(笑)」
シノフサさん(仮)
「どうやった?」
玄兎
「破壊神まつりにした(笑)」
シノフサさん(仮)
「ぶ。なにそれ(笑)」
玄兎
「破壊神を崇めてる村がいくつかあって、それぞれの村で崇めてる破壊神が違うわけさ。で、どの破壊神が一番偉いかっていうので、子供の喧嘩から始まった争いが、いつの間にか村同士の戦争にまでなっちゃってる、ってシナリオ」
シノフサさん(仮)
「(笑)破壊神がいっぱい(笑)」
玄兎
「破壊神の転生PCも参戦して、もう何が何やらっていう(笑)」
シノフサさん(仮)
「どうなった?」
玄兎
「全部の村の破壊神を倒して、その転生PCを新たな破壊神として崇めさせて終わった」
シノフサさん(仮)
「倒せるんだ、破壊神」
玄兎
「うん。だってローカル破壊神だから(笑)」
シノフサさん(仮)
「ローカル破壊神(笑)」
玄兎
「いや実はみんな、都で魔術師の勉強からドロップアウトした、三流魔術師の怨霊でね。自称破壊神だったわけ(笑)」
シノフサさん(仮)
「なんてあてつけ(笑)」
玄兎
「ちゃんとフォローもしたよ? 転生PCは、新たな破壊神として村で崇められるようになって、その村に残留したから」
シノフサさん(仮)
「それで終わりじゃないんでしょ?」
玄兎
「もちろん。新たな自称破壊神の暴虐に困った村の若者たちが、封印してくれって頼みに来た。倒された破壊神の末裔を自称するキャラが(笑)」
シノフサさん(仮)
「(笑)破壊神がインフレしてる(笑)」
玄兎
「まあ裏読みすると、えらいえぐい話なんだけどね。みんなして破壊神破壊神言いまくってたお陰で、なんか妙なテンションになっちゃって。ゲラゲラ笑いながらやりました(笑)」
シノフサさん(仮)
「えぐい?」
玄兎
「まあ考えない方がいいよ」
シノフサさん(仮)
「そう?」
玄兎
「でなんだっけ。破壊神(笑)、じゃなくて。設定か」
シノフサさん(仮)
「『ガープス』は」
玄兎
「そうだ『ガープス』だ。『GURPS』やろうよ『ガープス』」
シノフサさん(仮)
「うん」
玄兎
「『ガープス』はあれですよ、慣れるとじゃじゃ馬を暴れさせたまんま、目的地まで行くのが面白くなるのですよ」
シノフサさん(仮)
「なにそれ」
玄兎
「マイナス特徴でやばいところに突っ込みそうになるのを、判定で止めないで突っ込んじゃうの。判定で止めるとそこで終わっちゃうけど、判定しなければ周りのPCが止めてくれるでしょ。そこで掛け合いが生まれる。それも面白い」
シノフサさん(仮)
「マイナス特徴は掛け合いのネタってこと?」
玄兎
「うん。実はそんな気がする。マイナス特徴は引力かなあ。ゲームマスターの運用次第だと思うんだけど、僕は抑止判定をするタイミングを、プレイヤー側に任せててね。キャラクターの行動が、マイナス特徴にふさわしくなさすぎる場合は、判定を要求するんだけど、マイナス特徴のガイドラインに沿ってる間は任せとくわけ。で、そうすると、たとえば好奇心旺盛なキャラやってるプレイヤーが上手くて、かつ他のプレイヤーを信頼している場合、好奇心旺盛なままロールして、やばいところに突っ込みそうになったら周りが止めてくれるから、周りが止めてくれてから、そこでようやく抑止判定を行うわけ」
シノフサさん(仮)
「結局は判定するんじゃん。なにが上手いの?」
玄兎
「一つには、キャラクターをちゃんと表現してるところ。『ガープス』のルールでは、経験値は成し遂げたことよりも、キャラクター表現を上手くやることに重点が置かれててね。マイナス特徴を片っ端から判定で封殺していくプレイングより、周りに止められてしぶしぶ、みたいな表現をする方が、キャラクターのらしさが出ていい、と僕は思う。これはまあ主観的なものだけど」
シノフサさん(仮)
「キャラを演じた方が経験値が高いの? それって珍しいんじゃない?」
玄兎
「いやあ、『アドバンスド・ファイティング・ファンタジー』*10[アドバンスド・ファイティング・ファンタジー] = 通称『AFF』。ゲームブックの基本システムであった『ファイティング・ファンタジー』を、TRPG向けに拡張したもの。AFFではGMのことをディレクターと呼び、ゲームを映画のように表現する。システム自体は簡潔で、データの自作もわりと簡単。自作のオリジナル世界で遊んでみたい人に、個人的にこっそりオススメする一品。物足りないときは『ガープス』の世界へようこそ(笑) ってシステムも、同じ方式を取ってるんだけどね。まあでも珍しいかな? とかいって、うちではローカルルールで、経験値の算定ガイドラインを作ってるから、経験値が演技評価だけってこともないんだけど」
シノフサさん(仮)
「じゃあ関係ないじゃん」
玄兎
「まあ経験値については。でもまあCPもらって欠点を背負ってるわけだから、なんでもかんでも判定で片付けて、無敵キャラをプレーするより、駄目な部分を笑いに変えて遊んだ方が、楽しいと思うんだけどね。まあこの辺は個人の判断で良いと思う」
シノフサさん(仮)
「それはなんとなく分かる。ヴァンパイアが、日の光を完全遮断するマジックアイテムがあるから平気だ、とか言われると萎えるし(笑)」
玄兎
「なにそのズル設定(笑)」
シノフサさん(仮)
「そういうのがいたの。昔。中学のとき」
玄兎
「まあ中学じゃあ仕方がない。リアル中二病だ(笑)」
シノフサさん(仮)
「それで、演技以外の上手さって?」
玄兎
「ボーナス稼ぎ」
シノフサさん(仮)
「なんの?」
玄兎
「抑止判定の。一人で我慢するより、周りに止めろって制止された方が、あきらめやすいでしょ?」
シノフサさん(仮)
「うん」
玄兎
「ルール的にはどうなのか、本当はどう処理すべきかは悩むところなんだけどね。CPの平等で言ったらボーナスつけるべきじゃないかもしれない。でもまあ僕としては、やっぱりそういう周辺環境のボーナスっていうのは入れたいんで、入れてるわけ。入れないとプレーが味気なくなっちゃうし。で、そうすると、最初から一人で我慢するより、周りに止められて諦めるパターンの方が、判定にボーナスを出しやすいわけね」
シノフサさん(仮)
「それちょっとせこくない?(笑)」
玄兎
「(笑)いやいや立派な技術ですよご主人。ルールから逸脱しないで、誰も彼もが困らない。なんて素晴らしいテクニックだこんちくしょう」
シノフサさん(仮)
「(笑)逆ギレすんな」
玄兎
「(笑)すんません」
シノフサさん(仮)
「結局、『ガープス』の魅力って、まとめると何?」
玄兎
「とにかく皆で作る遊びだってことだなあ。ゲームマスターの用意したシナリオに乗っかるだけじゃなくて、プレイヤーの用意したキャラ設定データが、実際のシナリオと結びつくことで化学反応を起こして、ゲームマスターにとっても予想外の展開を、わりと簡単に作り出してくれたりすんのが面白い」
シノフサさん(仮)
「それがじゃじゃ馬ってやつ?」
玄兎
「そう。全員でよってたかって取り押さえる。学園祭の準備みたいな気分なんだよねえ、『ガープス』やるときっていつも。なんかもう身勝手で無責任な連中をこう、半ば無理矢理に役割分担して、んで理想とかけ離れたカオスな環境で頭かきむしりつつ、皆でぎゃーすか騒ぎながら、どうにか学園祭当日にこぎつけるっていうか」
シノフサさん(仮)
「(笑)だからなんで例えがいちいち罰ゲームくさいの」
玄兎
「えー? 学園祭の準備ってむちゃくちゃ楽しくなかった?」
シノフサさん(仮)
「分かるけど。あ」
セキグチ先生(仮)
「や。お、シノフサくんもいたのか」
シノフサさん(仮)
「ご無沙汰してます先生」
玄兎
「どうしました?」
セキグチ先生(仮)
「どうもね。ああ、ちょっと相談があるんだけどね。ああ、プライバシー保護の関係で、録音は控えてもらいたい」
玄兎
「はあ。分かりました。シノさんレコーダ止め」

References

References
1 [三つの判定ルール] = 行為判定、反応判定、ダメージ判定のこと。基本的にはこの三つの判定と、ダメージ管理のルールだけでGURPSは回せる。
2 [一つの原則] = これは「CPの価値は均等である」って原則のこと。同じCPなら常に同じだけの価値になる……ように心がけること(笑)
3 [黒執事] = 作・枢やな。月刊Gファンタジーに連載中のコミック。アニメ化もされ、その筋では人気らしい。ゴメンナサイよく知りません。
4 [山岸涼子] = 少女漫画家。『青青の時代』や『日出処の天子』、また『アラベスク』などの代表作を持つ。個人評としては、オーブリー・ビアズリーの影響を強く受け、細い線だけで画面を作り出す作風のせいか、この時代の少女漫画に多く見られたクドさが薄く、非常に読みやすい印象がある。
5 [岡野玲子] = 漫画家。夢枕獏原作の『陰陽師』でご存知の方も少なくなかろう。ファンタジー作品を多く手がけるが、『ファンシィダンス』や『両国花錦闘士』など現代モノもある。作品には独特のユーモアがあり、これが理解できるかどうかで評価が大きく分かれる様子。『陰陽師』後半のオリジナル展開が好きな人は、初期の連載『消え去りしもの -MissingLink-』も気に入るだろう。長らく絶版状態だったが、最近になって復刊したので興味のある方は、どうぞ。相当な剛速球ですが、オススメです。
6 [ワープス] = 国産の汎用システム『ワープス(WARPS)』。プロデューサーは『ダブルムーン・コンパニオン』の故・大貫昌幸氏。モジュール、サプリメントによってゲームを切り替える汎用TRPGシステムとして登場した。これは当時アメリカで話題になっていた『ガープス』を意識したものと思われる。『ワープス』は早い段階から原作モノの再現を企図しており、『ルパン三世・カリオストロの城』や『機動戦士ガンダム・逆襲のシャア』、『アップルシード』などが発表されている。現在ではGMのセッションハンドリングをブレイクスルーする強力なリソースとして『トーキョーN◎VA』の「神業」があげられるが、その源流ともいえる「ヒーロー効果」は、この『ワープス』が初出だったと記憶している。
7 [ファー・ローズ] = 門倉直人氏のデザインによる『ローズ・トゥ・ロード』シリーズの三作目で、『ファー・ローズ・トゥ・ロード』の略称。「Fローズ」とも。シリーズは幻想的な『指輪物語』世界の影響を強く受けており、個人的には国産システムでほぼ唯一、『ウォーハンマー』と渡り合える世界構築型ファンタジーではないかと思っている。「マジックイメージ」、「感情ポイント」などの個性的で豊かな表現力を持ったルールを搭載する。
8 [TORG] = West End Games社の発表したシステム。シリーズ自体は1997年に終結しているものの、2005年にルールを改訂した『TORG1.5』が再版されるなど、現在でも根強いファンに支持されているタイトル。対数評価による特異点問題への挑戦や、ゲームプレイのシーン管理、ロールプレイ支援、レルムのアクシオムによるキャラクターの能力変化など、ルール的にも野心的なものが数多く見られ、現在でもTRPGシステムに多大な影響を与え続けている。詳細は本文参照。
9 [わりと近い時期に発表されてたシステム] = これは日本国内の話。『ガープス』は1992年に角川スニーカー文庫から、『トーグ』は1993年に新紀元社からそれぞれ発表されている。
10 [アドバンスド・ファイティング・ファンタジー] = 通称『AFF』。ゲームブックの基本システムであった『ファイティング・ファンタジー』を、TRPG向けに拡張したもの。AFFではGMのことをディレクターと呼び、ゲームを映画のように表現する。システム自体は簡潔で、データの自作もわりと簡単。自作のオリジナル世界で遊んでみたい人に、個人的にこっそりオススメする一品。物足りないときは『ガープス』の世界へようこそ(笑)

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  1. ピンバック: ペテン師の戯言。 :: [self][memo] 20090317
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