まあそんなことはおいといて、『TRPGシナリオ作成大全 Vol.4』のレビューとも感想とも付かないシリーズ、ひとまず記事紹介はこれで最後になります。
最後は「シナリオ作成・実践編」となる 3 本になります。
ページの内容
未経験からの『艦これRPG』GM
筆者はファイアドレイク氏。
記事の副題は「艦これRPG未経験でも提督になれる方法を完全解説!」ということで、『艦これRPG』でゲームマスターを務める際に押さえておきたい注意点が解説されています。
未経験からのゲームマスターがターゲットということで、マスタリングの方法に踏み込んでから逆算する形で「こういうことをするのは難しいからこれは避けたほうがいいよ」という、バッドノウハウがベースになっています。
フワッとした話があっても、ちゃんと「◯◯や◯◯あたりがいいんじゃないですかね」と具体例を出してくれているあたり、初心者/未経験者の不安を取り除くようになってて、かなり「あ、これなら確かにできそう」って思えてくるのがナイス。
ということでゲーム仲間にさっそく渡してゲームマスターやってもらうことにします(笑)
またサイコロ・フィクションのちょっと梃子摺るところとして、ランダムチャートを使うためにどうしても即興で状況を作り上げる必要があるんですが、その辺についてのケアにも触れているのはポイント高かったです。
『インセイン』シナリオ作成実録
筆者は本書編集長の氷川霧霞氏。
いきなり元ネタとして今市子『百鬼夜行抄』が選ばれたりして個人的に「おぉ!」と反応しちゃったりもしましたが(笑)
この記事、元ネタになるコンテンツを解体して、ゲームシナリオとして再構築する手順の解説なんですよね。前回分から個人的に懐かしさを感じるテーマが続いてるんですが、これもまたその懐かしい手法の一つで。
こう、個人的に実践してるシナリオライティングのステップアップ・モデルというか、習熟プロセスってのがありましてね。大雑把に追っていくと――
- 最初にサンプルシナリオを遊び、
- 次にサンプルシナリオを遊びやすいように手直しをし、
- 更に自分の遊びたいようにサンプルシナリオを改造し、
- 他メディアのシナリオをゲームシナリオとして再構築し、
- 自分の考えたシナリオをゲームシナリオとして作成する。
――こんな段階ですね。
で、氷川霧霞氏の記事はこれにほぼ正対していて――
- (流石にこれは各自で終わらせておくしか無いのでパス)
- 「クトゥルフシナリオ改造の手引」(Vol.2掲載)
- 「TRPGシナリオ作成入門」(Vol.2掲載)
- 「『インセイン』シナリオ作成実録」(Vol.4掲載)
- 「TRPGシナリオ作成入門」
――こんな感じで、順を追ってるんじゃないかなーと。
作成入門が 2 回入ってるのはミスでも手抜きでもなく、これは [3] の段階と [5] の段階で読解能力の性質が変わっているから。
でまあ、初学の段階は以上で終わっていて、ここからはより広く個性にそって技巧を磨いていくステップに展開するかとも思うんですが、そこで Vol.5 の馬場講座特集。
こうなってくると Vol.5 掲載の記事「意思決定について」がどういったモノなのかも俄然、興味の湧いてくるところで。
ああ、記事紹介からちょっと脱線しちゃってますが、そんな感じです。
PBW 連動 TRPG を遊ぶ方へ
筆者はサークル「オニオンワークス」の喙淙濤氏。オニオンワークスっていうと、面白いオンリーコンやったり『聖珠伝説パールシード』の復刻したりと活発に活動してるサークルさんってイメージですが。
まさか PBW の話まで出てくるとは思ってませんでした(笑)
まあその TRPG と PBW ……というか PBM ですね、その辺の話となるとまた文化史がごりごりと掘り下げられていっちゃう話題なんですが*1たとえば「ネットゲーム」という言葉に関する偉大な先人の話があったり、あるいは巨大学園者として伝説的なタイトルとなり一部界隈では(もちろんジョークとして)学閥まであるという『蓬莱学園』、『ビヨンド・ローズ・トゥ・ロード』や国産汎用システム「ASURAシステム」と PBM の関係……また 21 世紀に入ってからも、国産タイトルの中では稀有なフルカラーのルールブックを展開した『無限のファンタジア』、専用オンラインセッション用ツール「メガリスドライブ」をサポートした『シルバーレイン』など枚挙に暇がない。、それは置いといて。
お互いに隣接する PBW と TRPG という二つの遊び。隣接してはいるんですが、同じではなく。その辺ちゃんと踏まえておかないと、 PBW のノリで TRPG のシナリオ書くと、思ってたのと全然違ったゲームになっちゃいますよ。という話です。
昔はこそこそ同人規模で遊んだりもしてたんですが、現在の PBW については自分も詳しくないので、丁寧な解説にはひとつひとつ頷いたり感心したりで。
実は『化石的ゲームマスター読本2』のほうでも PBW ……というか PBM にはちょっと触れてるんですが、より丁寧な解説がこちらにあるので、もうコレ読んでもらったほうが手っ取り早いんじゃないかというね(笑)
といったところで
今回はおひらき。
そして今回でおひらき。
ざっと駆け足で感想&紹介を書かせてもらいましたが、どんなもんだったでしょうかね? 興味を持ってもらえたなら嬉しいのですが。
シリーズの最初の頃にちょろっと書いたんですが、なんというか、何年も前にネット上で蒔かれ、耕された種*2今でも「きまぐれTRPGニュース」の accelerator 氏の尽力には頭が下がる思い。が、ようやっと芽を出しつるを伸ばして三分咲きくらいになったのかなー? とか思ったりもしています。
たぶんこのシリーズで蒔かれた種も、何年か後にはまた新しい花を咲かせたりするんだろーなァ、とかね。
References
↩1 | たとえば「ネットゲーム」という言葉に関する偉大な先人の話があったり、あるいは巨大学園者として伝説的なタイトルとなり一部界隈では(もちろんジョークとして)学閥まであるという『蓬莱学園』、『ビヨンド・ローズ・トゥ・ロード』や国産汎用システム「ASURAシステム」と PBM の関係……また 21 世紀に入ってからも、国産タイトルの中では稀有なフルカラーのルールブックを展開した『無限のファンタジア』、専用オンラインセッション用ツール「メガリスドライブ」をサポートした『シルバーレイン』など枚挙に暇がない。 |
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↩2 | 今でも「きまぐれTRPGニュース」の accelerator 氏の尽力には頭が下がる思い。 |
[TSDE] 『TRPGシナリオ作成大全 Vol.4』も読んでみよう.4 http://t.co/hgqo7iGPWH