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- otneg
- お久しぶりです。
- shinofusa
- 大丈夫なの?
- otneg
- うん、まあ一応は。まだ言葉がたまにトチったり、発音が崩れたりとかはあるんで、聞き取りにくいかもだけど。
- shino
- ちょっとね。まあでも元から滑舌あんまりよくなかったじゃない?(笑)
- otneg
- なんでまあ、起こすときはうまいことお願いします(笑)
- shino
- 了解。で、久しぶりだけど、なんか話す?
- otneg
- じゃあ、せっかくだから何か話そうか。でも何話そうか?
- shino
- 『トーグ』とかは?
- otneg
- タイムリーな。まだ買ってないんだけどね。そうすると、翻訳と展開の話とかかな。ゲームの話は、前にしたと思うから。
- shino
- ゲームの話ってどんな?
- otneg
- 日本語展開されたのが『ガープス』と同時期で、内容もテクノロジー分類型の汎用システムなんだけど、アプローチは真っ二つに割れてるよねって。
- shino
- ああ、あったあった。あれ確か心臓で入院してたときの。
- otneg
- そうそう。もう十年近く前になるのかな?
- shino
- じゃあそれはいいや。それで翻訳となんだっけ、ローカライズとかの?
- otneg
- そうそう。たしか『トーグ』が93年、『ガープス』が92年で、この頃が多分洋ゲーの第二黄金期でさ。あとは『シャドウラン』とかも。
- shino
- じゃあ第一黄金期は?
- otneg
- ボックスゲーが出てた80年代末あたりかな。分ける必要があるのか分かんないけど。それでまあ、第二期の頃までは翻訳ってと大体グループSNEでさ。このSNEが、今にしてみると結構ダイナミックなローカライズをしてるのね。
- shino
- そのローカライズってもしかして、アーケードからファミコンに移植する的な?
- otneg
- そうそう。正しくそれ。先に言われちった(笑)
- shino
- (笑)ごめんごめん。それで?
- otneg
- それでまあ、一頃からそのローカライズ戦略に否定的な話が増えてきたわけね。今でもあの頃の翻訳は酷かった、みたいな話をする古参の人はそれなりにいて。
- shino
- うん。で?
- otneg
- 言いたくなる気持ちは分かるんだ。それこそ「本家と同じ体験がしたい」って欲は国外のファンなら誰でも持つものだと思うし、今でもそれでまあ、アニメの海賊版とか、有志の手による翻訳がオーバーラップしてるのとか有ったわけで。
- shino
- エロ漫画の海賊版はハングルと簡字翻訳版が目につくようになってるって。
- otneg
- そうなの?
- shino
- もちろん英語もあるみたいだけどねえ。
- otneg
- その辺はまあエロスの文脈が近いってのもあるんだろうなあ。エロ漫画系は正直、はっきりしたメインストリームが存在しないから追いかけるのすげえ辛いし、奥深すぎて追いきれん。
- shino
- 旦那でも無理?
- otneg
- そもそも何年も読んでないし、読んでたとしても無理に決まってんじゃん。読み切り漫画が毎月何百本じゃ収まらない規模でしょ? そんなん追いかけてたらそれだけで死んじゃうよ。個々人の価値付けの幅が最高と最低しか無いようなコンテンツだから、オーラルヒストリーなんか聞いてもその人の嗜好の変遷でしか無かったりするし。それでもエロ漫画の流行について語ろうとしたら、最低でも米さんの『戦後エロマンガ史』とか、あと最近の『エロマンガ表現史』とか抑えとかないとじゃない? て脱線しまくってるなこれ。
- shino
- あ、気がついた(笑)
- otneg
- おいこら(笑)
- shino
- それで?
- otneg
- なんだっけ。
- shino
- 本家と同じ体験が、とか。
- otneg
- ああ、そうそう。同じ体験がしたかったっていうのはさ、分かるんだよ。分かるんだけど、でも翻訳の丁寧さ、正確さがちゃんと評価されるようになったのって結構最近の話だよね? とも思うのよ。
- shino
- あ、そういう話?
- otneg
- 『バトルテック』なんか顕著なんだけど、そもそも論として本家の設定が当初かなりグダグダで、その辺に突っ込まれると日本語環境では厳しかったんじゃないかってのもあったり。メック壊れすぎるけど新造できなかった初期設定のままじゃヤバイじゃんとか。
- shino
- え、作れるの?
- otneg
- 今は作れるようになってたはず。
- shino
- いろいろ台無しじゃない?
- otneg
- でもそうしないとあっという間にメックの備蓄が無くなっちゃうからねえ。たぶん最初はガンダムだっけあれ。ニコイチってロマンやん? とかそういうノリで設定したんだと思うんだけど。
- shino
- 気持ちは分からなくもない(笑)
- otneg
- とにかくそんな感じで色々と不備があったり、ルールはすげえ完成度高いんだけど、データと設定がちょっとどうなのそれってのがあって、そのへん少しずつ版上げとかマルチ展開の中で洗練させていってたりしてて。
- shino
- うん。
- otneg
- で、そういう更新作業はさ、本家は後出しで設定自由に変えられるけど、ローカライズ版は作業のタイムラグが致命的になるわけでさ。その辺どうしようかってときに、ローカライズで内容自体にも手を入れようって判断自体はアリだと思うのよ。
- shino
- 『シャドウラン』とか平気で遅れてなかった?
- otneg
- 今は丁寧さが評価基準の一つになってるから。あとあれは『D&D』3版だったか『ガープス』4版だったか、翻訳はいいけど構成に一切手を加えないことって条件があった、なんて話も聞くんだけど。単に朱鷺田センセの性格的なものもありそうな気はするけど。
- shino
- それは確かに。
- otneg
- 翻訳とか移植とか、ローカライズに本家に沿った丁寧な展開が評価されるようになったのって、実は割と最近のことよねって印象があってさ。それこそ昔はアーケードゲームのファミコン版とか凄いの有ったじゃん?
- shino
- 『源平討魔伝』とか。完全に別物(笑)
- otneg
- あれもまあ極端な例ってか、あれはもはやローカライズと言って良いのか分からんけども(笑)
- shino
- ベルトスクロールアクションが不思議なボードゲームに(笑)
- otneg
- そういえばボドゲ史的にファミコン版『源平討魔伝』を整理してなかった気がする。デジタルゲームを中継してプレイされるマルチプレイ・ボードゲーム。当時は時代の超最先端? いやたぶん何か有ったとは思うんだけど。
- shino
- でもあれ、真面目にプレイしてた人っているの?
- otneg
- まあねえ。子供があれ手に入れても真面目に遊んだりはしない気がするなあ。僕もソロプレイしかしてなかったし。
- shino
- ズレてるズレてる(笑)
- otneg
- ちくしょうまたやられた!(笑) うまくまとまらんなあ。
- shino
- それでそれで? 丁寧なローカライズが評価されなかったってところから。
- otneg
- ああ、うん。丁寧さを評価するには、丁寧であることが分からなくちゃいけなくて、これって要は原書との比較が必要になるでしょ。それができる人間って限られてたわけでさ。それこそSF大会に参加してた人間だけがSFファンやゲームファンってわけでもなくて、草の根のファンとか子供たちは、もっと単純に個々の作品を見てて。
- shino
- だろうねえ。
- otneg
- それが購買層の成熟だったりネットの普及だったりで、情報がシームレスになって情報交換が活発になったとか。流通インフラが整備されたとか。あと一時の大幅な円高傾向から輸入の心理障壁が下がったとか。イーベイを仲介するセカイモンができて更に心理障壁が下がったとか。それで原書読み、原書読める人間が増えた。
- shino
- 丁寧さを検証できるようになったってことね。
- otneg
- 昔々はそれこそ一部の原書読みがさ、原書のデータを自分が有利になるために持ってきたりしたんだよ。原書のQ&Aではこうだったからーとか。
- shino
- 出羽守的な。
- otneg
- そうそう、まさに。まあそういう手合は置いとくとしても、それ以前の輸入ゲームの評価って、ほとんどのユーザが元を検証できないから、それ単体で行われてたんで、それが面白くなかったらもう駄目っていう。しかもローカライズ作業のタイムラグで、サポートとかサプリメント展開が遅延してる間に見捨てられたりさ。そういう高いハードルをどうにかしなくちゃいけなかった。
- shino
- なんかお役所仕事みたいな。
- otneg
- そうだよねえ。言語インフラを丸ごと運営管理をしてるわけだし。それがまあ、一気に開かれるっていうダイナミックなパラダイムシフトが過去にあったわけだ。そういうパラダイムシフトを経たこと。それに著作権に対する遵法意識の向上とかもあって、作品の世界観を共有することの価値が見直されてきた、とかもあったり。現代の感覚で90年代のビジネスを評価するのって、まあ後知恵だよねって。
- shino
- あとあれでしょ、出てたら買ったのになあっていう人間の何パーセントが本当に身銭を切るか、みたいな(笑)
- otneg
- あー。あるよねえ。