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自転車が雪に埋まりっぱなしだったんで、最初は面倒だなーと思ってたんだけども、考えてたらどんどん今すぐ読みたくなってしまったので(笑)、とぼとぼ歩いて買いに行って来ましたよこの 2冊。
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*銀の匙 Silverspoon 6
断らない男、八軒勇吾も遂に……!?
前巻の最後で「エゾノー祭 石窯使用権会議」に呼び出された八軒、冒頭でいきなり使用権の分担担当になってました(笑)
でもこれ考えてみるとアレですよね、あのピザ会がよっぽどインパクトがあったというか、美味かったんでしょうな。その後、ベーコン買った子たちも帰り際に「ピザ焼こう」って言ってるし、あの会の後には皆いろいろ使ってたんかね。で、色んなモノの調理に使ったりして。他で「豚丼」の肉を燻製にしたりとか勝手に(実習のついでとかなんだろうけど)やってたし。パンなんかも焼いてたのかしらん?
そう考えると石窯見っけてピザ会やった事にはかなり大きな反響があったわけで、八軒の苦労もなんぼか報われてるのかなー……なんて考えたりも。その報いが「また仕事増えたのかよ」なのだと考えるとまあ、えー、さすが農筋、マチズモ連中といったところですか(笑)
今巻で感心したのは地元農協の組合長のお孫さん、縦ロールの南九条あやめちゃん(笑)の登場ですか。まあ大会とこの作品の「楽しむ≒肯定する」表現として必然的なキャラだとは思うんだけど、こう絡めてくるのかーというのがね。
馬術部のキャラとしては、高校生のリアリティ的な存在としての先輩二人を除くと、これまで「好きで上手い」御影しかいなかったわけだけど、そこにやっとこ「好きで下手」なキャラが出てきて「楽しい馬術」のスキルツリーがフォークするようになって。そこで八軒が「…なのに……/なんでこんなに悔しいんだよ!!!」という。同級生の初心者にフォーカスして、そこで競わせる方法もあったと思うんだけど、それをやるとエゾノー生としてのシナリオをもうちょっとコッテリ描くことになって、世界を広げることが出来なかったんじゃないかっていうのもね。
**面倒くさい「好み」の話
自分が思う『銀の匙』の面白さって、違う世代、違う文化、違う視点との対話にあって。既に答えを出している先駆がいて、でもその答えを飲み込むためには幾つもの積み重ねた経験ってのが必要になる。全く外側にあった八軒にしてみれば、これまでそういう経験を積むことはできなったが故に、あっさり飲み込むことは出来ない。あるいは飲み込んでいいものなのかも分からない。
ある時点にとっての「当たり前」は、より後の時点にとっても「当たり前」であるとは限らない。この辺は歴史の必然であって、人類が漸進する上でいつだって必要になる問いかけで。でも一つの要素から日常に強いフラストレーションを感じている人、強いストレスをかけ続けられた人は、思考することをやめて「丸ごとひっくり返してしまえ」とドラスティックな改革を求めるようになる。でもそれによってトバッチリを食らうものもあって、そういうものは一つ一つ丁寧に考えを掘り下げて、少しずつ改善点を見つけていくしかない。
で、これを実際に書こうとすると多彩な価値観が必要に有るんですな。色んな価値観を持った、色んな人間が必要になる。彼らの価値観は経験に裏打ちされたもので、誰もが確かな生活人であって。そうした人たちが色んな目線で八軒を見てて、八軒を見ることで自分を見たりする。色んな人がいて、色んな想いがあって、そういうカレイドスコープを覗くのが僕は好きなのです♪
*乙嫁語り 5
『銀の匙』の方でゴリゴリ書いたんで、こっちはシンプルに。
この巻の約 6割 [114/192] が、「祝宴」という双子ちゃんたちの結婚式の宴のエピソードに割かれてます。*1まあ105ページからは後日談になるんで、宴そのものは [102/192] になるかな?
まずアバンに花嫁の民間美容法(笑)のエピソードがあって、圧倒的な描き込みの見開きタイトルがあって。次のページに進むといきなり、えらくこすっからい羊のやり取りに笑わされます。このテンポが森薫(笑)
にしてもホントに我儘だなーこの双子ちゃん。じっとしてるのが苦痛ってのはまあ、ものすごくよーく分かるんですが、そこは我慢してようよ! と言いたくなるくらいに我儘で甘えん坊で。まあでもたまに可愛いところを見せられると、このくらいの年齢だとまあしょーがねーかなーという気にもなってイケナイ。結婚したら絶対苦労させられる(笑)
まあでもその後で、花嫁そっちのけで喜びまくる花婿、宴が終わって初めて一緒に漁に出た時のエピソードなんかを見てると、意外と上手くいきそうな未来予想図なんかも描けるんですが。お調子者ばっかりで大丈夫かなこの二家(笑)
祝宴が終わると、再びアミルとカルルクら乙嫁夫婦のエピソードに。「日暮歌」「手負いの鷹」と、ひたすら描かれる日常。圧倒的な生活。オリエンタリズムばんじゃーい!
そしてやっぱり「岩山の女王」ですよね。これイイですよね。すごいなんかもう惚れますよね。
山羊に。
『銀の匙』の輓曳競馬のエピソードで、従来の騎兵的なものとは違った「人馬一体」のモデルを見てから、こういう画面を見るときも随分と視点が変わったような気がします。いやそれで山羊に惚れるようになったとかそういうことではないんだけど。
***余談
羊を捌くところのシーン。これ僕、昔この辺りを旅行してた時に一頭譲ってもらったんで、やらせてもらったことあるんですが。シート敷いて血で大地を汚さないようにしてね。(臭いで野生動物を呼び寄せないようにする知恵だとか)
初めてで下手だったんで、骨を外すときに周りの肉を潰しちゃったりして、爺ちゃんに「アォァー」と溜息を吐かれちゃったりしながら(笑)。重労働でしたし、手に残った感触もすごいモンでした。重みが有るというか。それで「戴く生命に感謝する」とか、そんな殊勝な気持ちになったワケでもないんですが、ただその後に食べたご飯はやたらと美味かったです。(普段は食べ物の「美味しさ」とかサッパリ分からないんだけどね)
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References
↩1 | まあ105ページからは後日談になるんで、宴そのものは [102/192] になるかな? |
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