[chat] 20100104#x6-ゲームを作る

ゲームを作る

玄兎
「マジで時間がアレになってきたんで、そろそろ終わりに」
ケイ
「おう。あらかた吐き出せたか?」
玄兎
「ブログの方では何一つ吐き出さないって噂もありますが(笑)」
ケイ
「大ネタはばっさり切り落とすからなあ」
玄兎
「初歩的な部分とか、どうでもいい部分だけでも残しといて下さい。むしろ妄言だけまとめとくとかでも(笑)」
ケイ
「妄人か(笑)」
玄兎
「そろそろ撤収のタイミングかとも思ってますし。まあそれは任せてあるんでなるようになるとして。あとは、えーと。そうだな。ポリ・ミリ関連のゲーム化の基本的なロジックとか、TRPGの遊びの範囲とか、そのくらいかなあ」
ケイ
「どうする? あと20分くらいならいけるぞ」
玄兎
「そうですか? じゃあ話しておこうかな。妄言だけど(笑)」
ケイ
「いいんじゃね?(笑)」
玄兎
「じゃあ全速力で捨て置かれる方向で。よろしくお願いします」
ゲーミングシミュレーション?
玄兎
「ポリ・ミリ関連のゲームっていうと、まあシミュレーションゲームなんですが。以前、アメリカ出張中にワークショップに参加してたときの話ですね」
ケイ
「アメリカ?」
玄兎
「契約上、詳細は伏せておきます。万が一ポロリしちゃっても、文字起こしのときは上手くやっといてください」
ケイ
「オーケー。わかった」
玄兎
「じゃあそういうことで。そのワークショップは古代社会のシミュレーションを研究してるグループで、僕はまあ、最初は付き合いで出席することになって。ああ、いや、ちょっとそこまでの流れを説明すると面倒なんで端折りますが、とにかくそこでは古代社会が、この場合はちっぽけな未開の、他の集落との関係性が非常に薄い集落ですが、それがどうやって活動していたか? どういうプロセスで社会構造を確立したり、拡張、発展、あるいは逆に衰退していったのか? てことを、どうすればシミュレートできるのか? ていう研究とか、思案をする場だったわけです」
ケイ
「お前もほんと、わけわかんねえところに首突っ込んでるな」
玄兎
「まあ面白かったからアレなんだけど、つまんないとこでもクライアントの話やなんかで足運びますからね。それが仕事だし」
ケイ
「で?」
玄兎
「で、まあワークショップと言っても、ぶっちゃけ考古学教室みたいなもんですから、話については良く分からんことが多かったんですが。参加者はみんな勉強してる人たちなんで、わりとツーカーで分かっちゃうんですが、僕は完全に門外漢なんで、そういうことは分からない。分からないことが評価されるというか、価値を持つってことを実感したのはそこでしたね」
ケイ
「専門家同士の会話は宇宙語だからなあ」
玄兎
「ただ、そういう会話が楽しいってのはあるし、知的好奇心、優越感、安心感、他にも色々あるけど、コミュニケーションの価値としては大事なところなんですよね。最近になって思い出したんですが、それもTRPGの楽しみの一つで」
ケイ
「おいおい(笑)」
玄兎
「ああ、いや、これは後の話でした(笑)。シミュレーションゲーム化ですが。結論から先に言えば、その場でシミュレーションされてたことを、いくらかアブストラクトしてゲームにしちゃったって話です」
ケイ
「大雑把すぎるだろ、それじゃ」
玄兎
「ですね。じゃあその時のプロセスについて。やってることは単純で、行動に価値をつけるってだけです。その時、二つの価値観を合致させることでシミュレートします。二つの価値観ってのは、この場合は現代人と古代人の二つです」
ケイ
「詳しく」
玄兎
「具体的に。それなら、たとえば略奪という行為があります。現代人のセンスでは、これはNGですね。でも古代人はそれをやったし、それがタブーであるという認識も持っていなかった、ないし非常に弱かった。そもそも戦争経済の概念から言っても、現代戦ですら実際にはゼロにはなっていない行為です。賠償金なんかもあるし。ひどい話ですが、選択肢としては実行する理由が必要なものではなく、むしろ実行しない理由が必要なものなんです。だからこれをシミュレートするためには、常識的に略奪をする、させる必要がある。今話したようなことは、ある分野の人たちにとっては常識でも、いわゆる平和ボケした人たちってやつにとって、それって心理抵抗があることなんですね。だから理解できない。あるいは理解したくない。シミュレートすることで理解を深めるためには、そこに抵抗を持たず、それをするものとして考えられないといけない。」
ケイ
「ふん」
玄兎
「でもそれに価値を付けて、例えば略奪カードを場に出した人は、ゲームで勝つために必要なポイントをたくさん獲得出来るとか。そうすると現代人の価値観、言い換えればゲームのプレイヤーとしての価値観から、略奪をするという行為への抵抗感を減らすことができます。実際にはゲームだから、ていう心理がまだ残ってるんで、完全ではないんですが、でも考えるきっかけを作ることは出来る」
ケイ
「ゲームって言葉でオブラートに包んだってことか?」
玄兎
「そうですね。そういうことになる。実はゲームが数量のやりとりから成立していて、それにテクスチャーを貼ってるって考え方について理解したのは、ここ数年の話なんですよね。それまでは今話したみたいに、まず現象があって、それに価値付けをすることでゲームが発生すると思ってたんですが」
ケイ
「同じコインの表と裏だけどな。不勉強が祟ったか」
玄兎
「まあでも、そういうことを知らなかったから、知らない人と知ってる人との仲立ちが出来るってこともあるんですけどね。」
ケイ
「ほんと好きだな、お前。それで? そのワークショップはどうなった?」
玄兎
「あ、はい。伝わりにくい部分から順にモデリングしていって、シンプルなカードゲームっぽい状態までは持っていけました。シミュレートするパターン自体は最初からあったわけだから、あとはそれと相性のいいシステムモデルを持ってきて、テクスチャ貼りなおせばいっちょ上がりっていう突貫工事で」
ケイ
「まーたそんなことを」
玄兎
「いや、作業を進めてたらこれエージェントの叩き台にすりゃいいんじゃねえの? とかって話になったんで。それと並行して、獲得出来るポイントにランダム要素を取り込んで、トライ&エラーを繰り返しながらプレイヤー自身の行動が社会モデルを構築していくっていう、『シヴィライゼーション』的な。方法としては『東京モンスターバスターズ』を参考にしました」
ケイ
「えらく懐かしいネタ出して来たな。そりゃあれか、マスクデータ化して」
玄兎
「そうそう。判定は常にGMがやって、結果だけを伝えるっていう」
ケイ
「じゃあプレイヤーは何を基準に判断してんだ?」
玄兎
「カードごとのパラメータは、スートとナンバーで大まかに評価値を可視化しました。だからまあ、完全なマスクデータではなくて。あと、アナログゲームなのでパラメータの絶対値とか、振れ幅なんかについてはデジタルで扱うより大雑把な数値で」
ケイ
「ま、トライ&エラーやるならデジタルのが強いからな」
玄兎
「この手のゲームで理論を体験させるってのは、わりと色々とネタとしてあるわけで。昔、荒俣先生が『シム・フースイ』の中で、風水理論をコンピュータで体感させるってのを書いてたりもしました。あれもゲーミングシミュレーション? なんかそういう研究分野の成果なんだか、でもデジタルだからシリアスゲームですかね。そういう言葉を知ったのも、わりと最近なんですが」
ケイ
「ちったあ勉強しろ」
玄兎
「面目ない」

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