[chat] 20100104#x4-ストーリードラマとRPG

登場判定と戦闘の関係性

登場判定#1 – 登場判定と移動判定
玄兎
「現在あるシーン制のルールに登場判定ってのがあって、これはその場に登場できるかを判定するルールなんですが、これ元を辿ると『トラベラー』の移動判定なんじゃないかと思ってて。巡航速度で並判定、ASAPで難判定、とか」
ケイ
「懐かしいな」
玄兎
「登場判定ってのはご都合主義というか、物語的表現を考えたときに物理距離を無視するっていう話で、これはシネマチックなストーリーにはありがちじゃないですか。『ドラゴンボール』でナメック星まで悟空がポッドで移動するプロセスも、正確な物理距離とか無視して物語の都合で到着するわけで。で、そういう遊びが全盛なので」
ケイ
「なんかそれもつまんねえ話だなあ」
玄兎
「人それぞれでしょう、その辺は。リアリティというか、リアルリアリティですか。その辺を追求すると、ラストバトルに主役が間に合わなくてシギャピーとかよくありますからね」
ケイ
「その理由は?」
玄兎
「至ってシンプルです。戦闘のラウンド単位が細かくて正確だから」
ケイ
「ああ、タイムスケールの問題か」
玄兎
「標準的なのが10秒ですね。たぶん最短が『GURPS』の1秒で、次が『Shadowrun』の3秒かな。フェイズ単位にすると『Shadowrun』が一番短いんだけど、考えてみると『Shadowrun』の1フェイズの長さって伸び縮みするわけで。ああいや、それはいいんだ。そうじゃなくて、とにかく戦闘のラウンドはまあ、10秒単位くらいで推移するわけです」
ケイ
「『T&T』で3分だったか?」
玄兎
「そうですね。あれはまあ戦術級でも作戦級に近いレベルまで対応してるからってのもあるんでしょうが、結構珍しい例じゃないかと思います。戦線参加しなければ、かなり色々出来る。で、そういう戦術級のスケールに対して場面移動って作戦級のスケールになっちゃうんで、単位が分になります。1分が6ラウンドになるわけですが、6ラウンド待てってだけでもう長いんですよね」
ケイ
「TRPGの戦闘は時間かかるからなあ。どれくらいが適性だと思う?」
玄兎
「緊張感が維持出来るのが、最長で5ラウンドまたは40ターンの短い方、くらいじゃないかと。ターンについては1ターンが1ユニット1回の行動で、戦場が6ユニットあれば1ラウンド6ターンてカウントします。NPCはユニット数を4分の1で」
ケイ
「そうすると1ラウンド10秒ったら1分戦えないわけだ」
戦闘のパターンとゲームデザイン
玄兎
「あと、まあこの辺の話はケイさんには釈迦に説法なんですが」
ケイ
「おう」
玄兎
「システムにもよるんですが、トータルで見たコンバットのゲームデザインって基本的に4パターンくらいしかなくて。優勢のまま勝利、劣勢から逆転勝利、優勢から劣勢また逆転勝利、激しく攻守交代。このうち最初の優勢のまま勝つパターンは、相手との力量差がある場合で、カタルシスのシーンとしては弱い。戦う前にお膳立てが済んでる必勝パターンか、あとは雑魚バトルなら有りですが。とすると残りは3パターンになります」
ケイ
「コンシューマだと、どんでん返し返し返しくらいまでいけるけどな」
玄兎
「その辺はコンシューマに比べてTRPGの弱みなんじゃないかと思います。ラウンド単位にかかる時間が長いから、集中力が続かないっていう」
ケイ
「だな」
玄兎
「集中力でいうと、時間も関係していて。戦況の変化は、長くても30分スパンくらいで発生させたいんですね。でないと、ダラケるから。この辺は経験則なんでオカルトなんですが、大体それくらいが集中力の限界だろうって感じで。そうすると、1ラウンドは長くても15分から20分くらいで進行するものとして、約2ラウンドで戦況が変化するくらいのバランスで組みたい」
ケイ
「そんなもんか」
玄兎
「昔のシステムだったらダメコンの方法が少ないんで、もっと早く進行したんですけどね。最近はギャザの影響もあってインターセプトの概念が入ったもんで、1ラウンドごとに考えるポイントが増えてんですよ。だからラウンド頭に作戦会議も普通にやるし、リソースマネジメントの手間も増えて、結構時間食うことが多いんです」
ケイ
「なるほどな」
玄兎
「あと、そのダメコンに関するリソース管理が複雑化したこともあって、継戦能力の計算が狂いやすくなってるんですね。そこがダイスロールの面白みに絡んでくるんだけど、まあその辺は置いといて。継戦能力の計算が狂いやすい。これは戦闘が長期化するほど幅が大きくなります。だからシナリオデザインの段階でも、あまり長期戦の計算ってのは出来ないんです。やっても無駄だから。で、気前良く最大火力でスキルぶっ放せるのが長くて3ラウンド。まあ普通は2ラウンドくらいで見積もっておいて、GMの出目が悪いと3ラウンドいけるかなって感じ。実際はもっとやれるシステムもあるんだけど、まあ同じことの繰り返しは3回くらいが限界で、それ以上繰り返してもマンネリ化しやすいと思いますんで。この辺は完全に経験則です(笑)」
ケイ
「だろうな(笑)」
玄兎
「で、最大火力でぶっぱなせなくなったときに、ギャンブルに出るか持久戦をするかで2ラウンドくらい悩んで決着するくらいが、集中力を切らさずモチベーションを下げずでガチバトルが出来る限界かなあ、と」
ケイ
「さっきのコンバットデザインのパターン、ダメコンリソースをどこで吐き出させるかが壷なんだな? 最初に使わせて後の計算が立つようにするか、最初にいい気になってると、後で苦境に立たせるか」
玄兎
「ですね」
ケイ
「てことは、最初に劣勢のパターンのが初心者向けだな」
玄兎
「だと思います。その、ダメコンリソースを後に持ってくると計算が狂うってのが大きくて、だからどんでん返し返し返しまで持っていけないって事情もあります。ただまあこの辺の感覚はあくまで個人的な経験則だってことは、忘れんで下さい。僕がコンバットシナリオをデザインするときのガイドラインってだけなんで」
登場判定#2 – リアルリアリティとドラマチック演出
ケイ
「その計算でいくと、6ラウンド待ってたら2時間ってことか?」
玄兎
「そうそう。1ラウンド10分で進めても1時間ですからね。戦線参加まで1時間待機です」
ケイ
「それじゃ律儀に移動時間を計算してたら間に合わねえわけだ」
玄兎
「そうなっちゃう。それで開発されたのが、というかそういうトラブルを解消するのに都合がいいのが登場判定ってルールってことになります。ひどい話をすると、こいつのおかげで頭を使わんでも気楽に遊べるようになりました(笑)」
ケイ
「それはいいことなのか(笑)」
玄兎
「選択肢が出来たのはいいことだと思いますよ。ガチでやりたければ使わずにプレー。シチュエーションを再現したければ、こんなこともあろうかと、な、なんだってえー! で登場判定。これもまあ翻訳ですわな」
ケイ
「つなげた(笑)」

ストーリードラマとRPG

玄兎
「翻訳ってんで『トラベラー』で『スターウォーズ』の話が出ましたけど、あれを脚本のように書けばまあ、リプレイみたいな形になるわけです。現在のリプレイは直接的な運用表現が書かれてるわけですが、リプレイの書き方が色々と試行錯誤されてた頃にはそういう、プレイ再現というよりドラマ再現って感じで読み物がまずあって、それぞれのシーンでどんなルール処理が行われたかをト書きにしたような手法も、一部あったじゃないですか」
ケイ
「覚えてねえなあ」
玄兎
「なんだったっけか、あったと思うんだけど。なんだっけ。マイナーなルールの紹介かなんかだったと思うんですが。駄目だ、思い出せない。とにかくあれですよ、TRPGのルール運用というかその、ハンドリングのひとつとして、シチュエーションを再現するための方法論ってのを考える、てアプローチはあって。ああ、そうだ。インパクトが強かったものとしては、RPGマガジンのファンタジー世界の経済学とか、なんかそんな特集のひとつで悪の経済学。あれなんかはリプレイじゃないんだけど、もの凄い良かったと思います。数理の具体化の好例じゃないかな」
ケイ
「ああ、なんかゾンビ作るのに何日かかって、とかやるやつか(笑)」
玄兎
「そうそう(笑)」
ケイ
「ぼんやり覚えてた。数学だよな。方程式を作るわけだろ?」
玄兎
「有り体に言えばそうなりますか。この辺のプレイスキルってレフリーが独占してるようなところが有ったんだけど、それが結果としてプレイヤーのお行儀をよくしちゃってる部分があるんじゃないか? てことがあると思うんですよ。コンテストとしてのゲームを考えれば、確かにそこの線は引くべきなのかも知れないんだけど、お祭り騒ぎというか、パーティーゲームとしてのTRPGを考えると、もっと砕けちゃってもいいんじゃないかと。ルールを整備した上で、プレイヤーのわがままというか、内輪じゃ直接介入って呼んでますが、そういうアプローチでストーリーラインを破壊するようなプレイングを認めてもいいんじゃないかという」
ケイ
「そうするとどうなる?」
玄兎
「結論としては、そうすることでプレイヤーがルールの翻訳技術に目を向けてくれるようになるんじゃないか、てことですね。実は登場判定についても似たような効果が見込める部分があって、予定されていたストーリードラマに予定外のキャラが参加することで、ドラマの方向性が変わる可能性があるわけです。プレイヤーはそれを承知した上で登場判定を振って、いるはずの無い場所に現れたりするんですが、そうすることで自分が何が出来るのか、何が出来なくなるのかってことを自覚しておかないと、単なる出たがりのバカで終わっちゃう。それで面白く出来るならいいんだけど、そうするには場違いな場所でも空気を変えるだけのスキルが要求されるわけで、色んなドラマパターンを知っておかないとかえって興醒めだよ、という」
ケイ
「具体的には?」
玄兎
「たとえば重大な秘密が明かされるシーンで、本来一人しかその秘密を知ることが出来ないとき、登場判定を振ってこっそり秘密を共有するとする。その後で秘密が明かされたときに、なんだってと皆が驚く中、一緒に驚くはずだったキャラが知ってた場合、どういうプレイングがありうるのか。また知ってはならない秘密を知ってしまったことで、本来みんなで乗り越えるはずだった葛藤を、本来知るはずだった一人と二人で一緒に抱えることになる。そのときどういう行動をとるのか。一回の登場判定でその後のドラマにそれだけ大きな意味を持ちうるのに、何も考えんと出たがり君は、何もしないでただ、他のキャラが驚いてる中で僕は知ってたよとニヤリと笑うだけ、とか」
ケイ
「そりゃまあ何か言え、くらいは思うわな」
玄兎
「従来というか、たしか登場判定についてはGMの許可がなければそもそも振れないもので、今の例にしてもGMが単に振らせなければいいだけ、てのが一般的な見方だと思います。ただ、そこで許可する代わりにプレイヤーにもそれなりの責任を求める、てアプローチもありうるでしょう。プレイヤーも登場判定の影響がどれくらいのものかを知っていれば、立ち回りの上でもかなりのアドバンテージを握ることが出来る。知らなければ、ただその場で騒ぐことしか出来ない。理解ひとつでどれだけ意味が変わってくるのかと」
ケイ
「で、その理解をする上で、前提として目的が欲しいわけか」
玄兎
「理解した後にも目的は欲しいですけどね。もちろん登場判定なんかは、もっと別の意味や機能があるかも知れません。僕が知らないだけで。そういうことも、結局は我欲から出てくるわけで、だからまあ聞き分けの良すぎる大人でばっかりいないで、たまには子供っぽくわがままの一つも言ってみようよって思うわけで」
ケイ
「欲望ってな想像力の源だからなあ」
ライナーRPGとストーリードラマの相性
玄兎
「JRPGが一本道とされるのもその辺に有って、シーン単位で進行するとき、ドラマチックなシーンにインタラクティブ性を持たせないじゃないですか。あるいは極端か。いわゆるムービーシーンなんかはもう、最初からムービーとしてデータを収録しちゃうから、介入のしようがないわけですが、物語の大事なシーンに限ってストーリーが勝手に進むの、あれ、よく辛抱出来るなとか思っちゃうんですよね。キャラ立てがこっちのイメージとよっぽどシンクロしてないと、白けちゃうんですよなんか」
ケイ
「その辺はあれだな、作り手の自己満足ってあるんだが。でもあれだぜお前、それはお前が作り手サイドの目になっちまってるってのもあるんじゃねえの?」
玄兎
「それは有りますよね。結局、自分がこうなって欲しいと思う展開から外れると、ヒステリックに喚き散らすのに近くて。ただ何と言うか、ムービーとフィールドでキャラの連続性が失われるのは、正直どうかと思う部分も有るんですよ。フィールドコンバットで散々、飛んでる敵を打ち落としてるのに、イベントシーンで敵が飛んで逃げようとすると、攻撃もせんで見送って悔しがる。弓とか銃とか魔法とか、なんかあんだろ対策が、とか思うんですが、まあその辺はオヤクソクなんで、ていう。白けちゃうんですよね、そういうの」
ケイ
「ああ(笑)。そりゃあなあ」
玄兎
「戦闘中は百発百中の魔法攻撃が、イベントシーンになると急に命中率が激減するとか、どういうこと? て。あくまでTRPG畑から見たときの話なんですが、ストーリーRPGってストーリーとシステムとかムービーとフィールドとか、リンクしてるはずのものが乖離しちゃってたりで、なんか断絶してる感があるんですね。だからムービーと戦闘を別個に見て、JRPGは一本道だー、とか戦闘の繰り返しだって認識しちゃう部分が大きいんじゃないかとか」
ケイ
「ハードのクオリティが上がってから、その傾向は強くなったんだよな。あれをPS2からPSPにダウングレードするときに良く分かった。ハードのスペックを意識すると、無駄な表現が増えすぎんだよ」
玄兎
「ただ、やっぱりこう、3Dの操作感がまったく不要かと言うと、そんなことはないと思いますよ。環境、特に空間を認識させるためには、実際に歩かせるってのが一番効果的では有りますし。この辺は身体感覚として、旅行とか、あとダイアログ・イン・ザ・ダークの経験も大きかったんですが。変な話ですけど、鬼ごっこのシナリオフレームは概念でそれをやったものなわけで。連続性って大事ですよ」
ケイ
「連続性ってことでいやあ、カメラもあるだろうな。昔は見下ろし2Dとフラットなコンバットだけだったろ。しかもあれ、『ドラクエ1』の凄さってか、コンバットビューはあくまでズームなんだよな。『ドラクエ1』のコンバットは白のフレームで区切ってるけど、周りにフィールドが残してあって」
玄兎
「『ドラクエ2』になると、モンスターの数が増えるからバックグラウンド黒にして完全にスイッチさせてるんですが、あれはどうなんでしょう?」
ケイ
「背景が黒ってのがミソだわな。プレイヤーに丸投げしてんだろ」
玄兎
「なるほど。そこの表現は最初から完成してたのかも知れませんね、2DRPG」
ケイ
「ま、だから王道なんだろうよ」
玄兎
「侮れないなあ、王道。でもそれでいくと、懐古厨って言われるだろうけど、スーファミあたりがやっぱり、ゲームの中で見せる技術の追求としては、環境というか姿勢というか、そういうのが一番優れてたような気もします。演算能力の限界もあるんで、そういう意味ではPSの『ガンパレ』とかPS2の『絢爛舞踏祭』みたいなエージェントプログラムがどのレベルのハードで走るかってのは、生憎と僕には分からんのですが」
ケイ
「最低PSは欲しいだろ」
玄兎
「じゃあPSでもいいか。スーファミの頃の方が、変にグラフィックに時間食われすぎずに済んだ分、他に力が回せた感が有って。まあこの辺は懐古厨って言われてもしょうがないんですが。ただ、なんちゅうか『エストポリス2』のパズル要素とか、『ダークハーフ』の絶妙なザッピング、『ヘラクレスの栄光4』のトランスファーの上手い使い方みたいなギミックは、PS以降は減ったような気がして。主観的なものなんですが。スーファミ起源と言うと、タイムリミットのあるイベントもあれ、そうですよね。臨場感とか緊迫感の表現として良かった。あれも別に、2Dだろうが3Dだろうが特に関係なくて」
ケイ
「タイムリミットイベントってと、FF5のカルナック城が最初だったか?」
玄兎
「たぶん。かなりショッキングだった記憶があります」
ケイ
「あれもでも、リミットオーバーでゲームオーバーなんだよな」
玄兎
「ですね。クリア自体は簡単なんだけど、アイテム取るのが大変っていうことでジレンマが生じる。いかにもゲームって感じでした」
ケイ
「超盛り上がったよな、あれ」
玄兎
「面白かったですねえ。緊張感ありまくりだったし」
ケイ
「あれはあれでいいのか?」
玄兎
「概ね。ストーリーとシステムが相互にプラスの影響として機能してましたし、展開的にも納得のいくものだったし」
ケイ
「前に言ってたな、それ。もっかい話してみ」
玄兎
「了解です。問題は感情移入とかゲームへの没入の度合い次第なんですが、たとえばキャラがチンタラしてて気に食わねえ敵を取り逃がしたり、仲間に足引っ張られたり、下らん三文芝居に付き合った挙句に敵が逃げました、とかだと腹立つんですよ。仲間とかシナリオライターに。目がメタ距離に下がっちゃってる。で、そうすっとどんどんお遣いになってっちゃうんですよね。おめーの尻拭いでこんなことしなきゃなんねーのかよ、とか。モチベーションだだ下がり。スーパー逆効果」
ケイ
「FF8だっけか、あったなそんなの(笑)」
玄兎
「あれですか、レジスタンスごっこ(笑)。で、これがたとえば『スーパーマリオ』だったら、ステージクリアするごとにクッパが逃げても、次のステージが楽しそうだから、まだ遊べるって方が大きいから、さほど気にならない部分があると思うんですね。別にクッパに恨みがあるわけでもないし」
ケイ
「クッパも悪役ってイメージねえしなあ。苦戦してコンチクショウと思うくらいか。あとあれだろ、セーブ出来るのもデカイわな」
玄兎
「ありますね。昔の、セーブできなかったころのマリオは逆に、その手の演出も無かったからちゃんとステージ毎にクッパ倒していってるし。この辺はモチベーションのコントロールに少なからず影響してると思います」
ケイ
「それでドラマの場合は感情移入するから逆効果って話な」
玄兎
「そうそう。感情移入してる時に、まあそこまで感情移入しないで、わりとメタ距離でプレーしてる人が多いとは思うんだけど。でもストーリーRPGを作るったら、まあメタギャグ使いでもなければ普通は感動とか抱腹絶倒とか、没入させるように組むと思いますんで。これが最初からメタ距離で楽しませるだけのギミック盛りだくさんだったら、別に問題ないと思うんですよ。『ゼルダ』みたいな感じで。でなかったら悪役が実はいい人パターンとか、トラウマもんですし」
ケイ
「自分でぶっ倒したくせに、倒した後でそいつの悲劇については大いに感情移入すんだよな。なんて可哀想な、とか今そいつブッ殺したお前が言うかって話なんだが(笑)」
玄兎
「自分が被害者にならなければ、わりとドライに遊んでくれますよね。で、まあその自分が被害者になるケースってのは、ストーリードラマってもん自体にもうパターンあるわけです。その中にはもちろんそういう、足を引っ張られたり手酷いミスをするっていうのが含まれてます。前にタロー解釈でやったやつですが。そういうのってでも、改変出来ないものだから許せる部分ってあるわけです。特にシアターなんかは顕著で、あれはもう座って眺めてれば一方的に話は進むし、そういうある意味で不快な部分っていうのも時間が経てば過ぎ去って、昇華されたりしてプラスにちゃんと転じてくれる。メタ距離の妙味ですね。だからまあカタルシスの組み込み忘れたスクリプトでもなければ、長くてもその日の内に、いい話だった、で終われるんですが」
ケイ
「RPGは自分で操作しなくちゃならねえわ、一日じゃ到底終わらねえわって話だろ。ゲームは一日一時間ってか」
玄兎
「こうなってくるともう、モチベーションはストーリーの進展以外のところで確立するしか無くなって、そうするとまあゲームシステムの面白さで勝負せざるを得なくなってくる。『スーパーマリオ』は、その辺に成功してると言えなくもない。そもそもストーリー気にしてる人なんかいなさそうだけど、だからこそというか(笑)」
ケイ
「システムというよりメカニズムだな」
玄兎
「ああ、そうか。ですね」

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