[50-lies] 『31. 夢で逢いましょう』

 久しぶりに、夢に泣いた。
 嬉しくて、哀しくて、寂しくて泣いた。
 他人にする話じゃあないよなァ、とか思いつつ。

 かれこれXX年になります。
 最初の奥さんが亡くなってから。
 ああ、入籍はしてなかったんですが。
 ……いや今の奥さんとも入籍はしてないですけどね。

 何を書くつもりだったんでしょう自分。
 まあ夢に見てしまったんですよ。彼女のこと。
 ああ恥ずかしい。大の男が何言っとるのか。

 あと一月くらい遅ければ、命日のご挨拶なんでしょうが。
 なんで命日の一ヶ月前に顔を出すかね、君は。
 ちゃんと墓参りに来いよってコトですか?

 当時は予定を一ヶ月前に決めてたからですか。
 今は七ヶ月前なんですよ。
 だから今さら言われても困ります。
 ああ、もちろん墓参りの予定は組んでありますよ。

 いつでも結構。
 変わらず忙しなく生きてますが、夢の中だけは自由です。
 だからいつでも結構です。
 また逢いましょう。

 でも、年を取らないのはちょっとズルいと思います。
 夢の中でも、僕はきっちり老けているというのに。