[memo] 「わかる本」を読んでみた(SR編)
もういいよね?
……とも思ったんですが、まあ折角出てきたんだし『シャドウランがよくわかる本』も一応書いておこうかとか、なんかそんな話です。*1[シャドウランがよくわかる本] = 「ルール解釈が間違っている解説本」という困った「わかる本」だったりもするんで取扱注意。ですがこれは第二版準拠のルールガイドなので、現行の第四版とはかなり違います。ルール違ってて当たり前なんでもう気にしない方向で(笑)。まあ今でもエッジ立ちまくりの二版ルール大好きっ子はいるんですが。(身近にも二版+三版で遊んでたツワモノがいました。時流に負けて四版買ったそうですが、やっぱ三版が遊びたいらしい)個人的にはリプレイ版よりこっちの方がキャラがクールで好き。
最初は書くツモリも無かったんですが、読んでる間にこの本で富士見ドラゴンブック系の「わかる本」シリーズは、「解説付きリプレイ本」へのシフトを完成させたんじゃないか(「わかる本」である必要がなくなった)と思って。
見当違いかもしれんのですが、まあ、僕はそう考えていると。
ページの内容
いまさら『シャドウランがよくわかる本』を読んでみた
恒例の、目次です。
- はじめに
- 第1章 シャドウランの世界
- 第2章 キャラクター
- 第3章 行動判定
- 第4章 戦闘
- 第5章 マトリックス
- 第6章 魔法
- 第7章 シャドウランの冒険
今回は体裁についての解説はナシ。
なにしろ書籍全体を通してリプレイ形式で話が進んでいきます。
はじめに
本書の読み方についてですね。
前述の通り、本書は
本書は、ゲームマスターと三人のプレイヤーによるセッションを、リプレイ形式で記述しています。セッションの進行に沿ってルールを解説しているので、章単位の拾い読みには適していません。少なくとも一度は、最後まで読み通してみてください。
『シャドウランがよくわかる本』 p.7
……とまあ、こんな具合に通読を推奨しています。
また、かなりダイナミックに
読者のみなさんは、『シャドウラン[ルールブック]』を持っている必要はありません。むしろルールブックを読む前に、この『よくわかる本』を読んでいただきたいのです。
『シャドウランがよくわかる本』 p.7
なんてことまで書かれてます。
いくら自社製品じゃないからって、そんなご無体な(笑)*2[自社製品じゃない] = 本書で扱っている『シャドウラン(富士見書房版)』は第二版で、これは F.A.S.A. の製品。グループSNEは日本語への翻訳をした。
第1章 シャドウランの世界……ではなく
……と、これまでどおり各章について書いていこうかとも思ったんですが、本書は徹底して「ルールの説明」がされているだけなので、あんまり書くことないんですよね。各章の概説は、この「はじめに」にある【本書の構成】にまとまってるし(^^;
なのでちょっと、「わかる本」から「リプレイ本」へのブリッジになっていると感じた理由について、メモ書きを晒しておきます。
あんまり一貫して「○○だからだ」ってモンでもないのが苦しいところなんですが。
「わかる本からリプレイ本へ」メモ
全編通してリプレイ形式
議事録、というかまあ平たく言ってリプレイ形式ですね。シンボル「誰の発言か」の後に、発言内容が記される。で、その合間に改行による余白や、枠線を引いたコラムの形式で解説を掲載する、という体裁です。
実際のところ、この体裁自体は『ソード・ワールドRPG』のリプレイシリーズを引き合いに出すまでもなく、多くのリプレイで使われていた形式なんですが、それが「わかる本」でも使われたというのは、これまで無かったんじゃないかと。
リプレイを多用している「わかる本」は、たとえば『ワースブレイドがよくわかる本』なんかもそうだったんですが、必ず「解説文のみの章」ってのがあったのに対し、本書では全編通してリプレイ形式で書かれています。
いろいろと考えた末、たぶんこの形式が一番イイと判断されたんでしょう。
TRPGについての解説が無い
読み返してみて驚いたんですが、本書は「TRPG とは?」といった話がまったくありません。参加するプレイヤー三人は、もっとも未熟でも「『シャドウラン』を知らない」人であって「TRPGを知らない人」ではないんですね。これまでの「わかる本」なら、建前でも知らないってことにしてまず TRPG についての解説を入れるんですが、その部分をバッサリ切り捨てています。
なので「ゲームマスターって何?」とか「プレイヤーって?」といった解説もありません。議事録(リプレイ)形式についても、ドラゴンマガジンでの連載を宣伝するコラムが入るだけ。これまでのバカ丁寧さに比べたら、なんともアッサリ風味です。
私見と持論が混じってしまいますが、たぶん「TRPG とは何かを文字で解説したところで本質は伝わらない」とか、「小難しいことを考えるよりまず空気を知ってもらうほうが先」と判断したんだろうなァ、と。
ルールブックを読む前に~
これまでの「わかる本」は、どちらかというと「ルールブックを読んでも分からなかったときに」とか、あるいは「ルールブックのフォロー用に」といったポジションで、もちろん分かりやすく解説はしているんですが、あくまでルールブックのフォローのような形でした。少なくとも建前上は。
それが明確に「ルールブックを読む前に読んで欲しい」と明示されたのは、やっぱり大きいわけで。*3まあ、これまでの本では単に明示してなかった、ってダケなのかもしれないけど。
ルールブックの前に読んで欲しい理由
そうなった理由については……まあいくつかあるんでしょうが、テキストの中から読み取れるものは以下の一文から、
『シャドウラン』のルールブック(シャドウラン[ルールブック]/富士見書房刊)は、A4変形版三二〇ページという大冊です。中にはそのボリュームを見て敬遠している人もいるでしょうが、ご心配なく。『シャドウラン』を楽しむのに、あのルールブックを全部読む必要はありません。ではどうすればいいのか? その答えは、本書の中に書かれています。
『シャドウランがよくわかる本』 p.7
どうやら「『シャドウラン』のボリュームが、敬遠させる原因になってる」と判断した結果、この「わかる本を先に読め」ってコトになったんだろうと。
これまでの「わかる本」の対象になったタイトルを考えると、ボックスタイプの、ルールブックは薄い中綴じ本が数冊、といったものばかりだったように思います。
これらのタイトルは、ルールは比較的シンプルで量もそれほどではなく、遊ぶときに困るのは「どういう場面にどのルールやデータ(判定値など)を使えばいいのか?」といったことでした。
で、それらはキャラクターデータの中にほとんど含まれていたので、キャラクターメイキングのルールについての解説がかなり幅を利かせていた……そんな流れだと思います。
ところがシャドウランでは、キャラクターについてはアーキタイプが既にあり、また判定の基準になるものも豊富なスキルでフォローされています。ところが、そもそものルールのボリュームが多く、しかも斬新な分、これまでの常識も通用しない。
だからルールブックよりも先に、まず「これだけ知っていれば遊べる」要素についてを「わかる本」で解説して、理解できたらルールブックでよりディープに……といった流れを勧めたんだろうと考えています。*4[これだけ知っていれば遊べる] = いわゆるサマリールールのこと。海外のゲームタイトルではルールブックの最初に書かれているものが結構あるらしいです。とりあえず『GURPS』では書いてあります。たしか『World of Darkness』シリーズにも有ったんじゃなかったっけ?
これがきっかけ、とまでは言わないんですが、この頃になってようやく「ルールブックに必要なもの」がきちんと認識されるようになったか、あるいは考えられるようになってきたのかな、とか。
リプレイが別に出ている
これまでの「わかる本」で扱われていたタイトルは、リプレイ本ってほとんど出てなかったような気がするんですよ。でもまあこの『シャドウラン』については、本書が出た時点で既にドラゴンマガジンでリプレイが展開されていました。
変な話、これまでの「わかる本」は「リプレイ単体としては出せなかった」って事情もあるのかもしれません。が、出てるんですよね、リプレイ。それでも「わかる本」が必要になったのは何かというと、やっぱり「ルールブックがわかりにくい/とっつきにくい」ということなんだろうと。
References
↩1 | [シャドウランがよくわかる本] = 「ルール解釈が間違っている解説本」という困った「わかる本」だったりもするんで取扱注意。ですがこれは第二版準拠のルールガイドなので、現行の第四版とはかなり違います。ルール違ってて当たり前なんでもう気にしない方向で(笑)。まあ今でもエッジ立ちまくりの二版ルール大好きっ子はいるんですが。(身近にも二版+三版で遊んでたツワモノがいました。時流に負けて四版買ったそうですが、やっぱ三版が遊びたいらしい)個人的にはリプレイ版よりこっちの方がキャラがクールで好き。 |
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↩2 | [自社製品じゃない] = 本書で扱っている『シャドウラン(富士見書房版)』は第二版で、これは F.A.S.A. の製品。グループSNEは日本語への翻訳をした。 |
↩3 | まあ、これまでの本では単に明示してなかった、ってダケなのかもしれないけど。 |
↩4 | [これだけ知っていれば遊べる] = いわゆるサマリールールのこと。海外のゲームタイトルではルールブックの最初に書かれているものが結構あるらしいです。とりあえず『GURPS』では書いてあります。たしか『World of Darkness』シリーズにも有ったんじゃなかったっけ? |
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