仕事納め。

「子供に話したい話のネタ」

 どれだけ大人になっても、自身で読み返すには有用だろう。
 さておき。


 降ろされた仕事がらみで呼び出しを受け、近所の居酒屋へ。
 わざわざ足を運んでくれたところを見ると、一定の評価はしてくれたらしい。
 少しだけ溜飲を下げた。
 詳しい話を聞くと、どうやら社内の政争の具にされたらしい。
 僕も野望を秘めたままのヤマ師だったので、苦笑いで応えた。

 相手は面従腹背程度の腹芸ができなければ登れないポストにいる。
 彼は年齢にして僕の三歳上。以前は同僚で、一時期は部下だった。
 それが今では渉外責任者とフリーランスだ。
 面白いと二人で笑った。
 まだまだ登るつもりだろう。そういう目をしていた。

 健康管理上の問題で、アルコールは最初の1杯だけ。後は烏龍茶。
 愚痴れと言うが、それはしなかった。
 代わりに概論を話すことにした。
 たぶんもう、一緒に仕事はできないだろう。
 彼には無益かもしれないが、手向けのつもりで話すことにした。
 半分は、自分に向けた言葉だった。

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