華やかなりし 薄暗がりの都
栄光と 礼讃と 知恵と 友愛と
そして狂気に満ち満ちた 糜爛した夢
栄光と 礼讃と 知恵と 友愛と
そして狂気に満ち満ちた 糜爛した夢
貴族どもは 鶏鳴に眠る
尽きることを忘れた命に飽いて
上品な姿を自慢し 屈託もなく鷹揚で
死よりも苦悩を 虚無よりも煉獄を選んだ魔王ども
宵闇の中 お前は思い出す
かつて貴族に訪いを 接吻を受けたあの夜を
彼は言った “命をやろう
汝これより陽光を敵とし 猶 忘れえぬ絆を守るべう
灼かな煉獄の炎を 獣の業を 畏れぬならば”
狼の遠吼え聞く夜に お前は墓場から起き出して
彼方より 深遠の底よりの祈りが聞こえても
往かねばならない 絆を守るべく
吾身に眠った 獣の業より
― 或る己惚れ詩人の墓碑より