[掌篇] 28 : 見知らぬ隣人

 雑踏の中、見覚えのある誰かとすれ違った。
 ずっと前から知っているはずの、誰か。
 ものいいたげな視線に、胸を締め付けられた。
 それでも思い出せない。
 三日間も会社に泊り込みだった脳はスト真っ最中。
 その二日後、やっと帰った部屋の前で気がついた。
 キーホルダーが無くなっていた。

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