表情筋が弛緩しっぱなしでございます。
いや、遠方(?)より快気祝いを戴いたんですが。
小包を開けてみると、まず最初に見えたのが、
みそ煮込みたまご。
……実に名古屋らしい
ビバ八丁味噌! というやつです。
しかしこれはまだ先鋒だった様子。
明るいオレンジ色の包装紙に包まれたそいつは……
ダジャレだよ!?
こういうの大好き!!
分かりますかお客さん。
旅先で気まぐれに入った土産物屋で、真っ先に目が行くのがダジャレですよ。
日本全国津々浦々、ダジャレ大国ニッポンですよ。
暇になったらダジャレ土産の包装紙を蒐める旅にでも出ようかしらと思うくらい。
とりあえず記念すべき第一号にしよう。
名古屋なごやかプリン。
そしてフワフワ(緩衝材)を除くと、底から封筒と可愛いハーボットの折り手紙。
まずはハーボットをペラリ。
(フワフワの緩衝材の下に箱に入ったものがありますのでお忘れなくお取り下さい。)
……逆から開けてたヨっ!?
お手紙を下にしちゃってゴメンナサイ。
あふー、なんてことをー(汗)
わたわたしながら封筒の方を開けると、懐かしい彼らが。
レディ。
雫。
狐弥太。
ちょっと泣けてしまいましたよ。ええ。
ありがとうございました。本当に。
小春日和のある日。
ロータリーのベンチでうとうとしていると、暖かな陽射しがふと消えた。
傾いだ頭を少しだけ持ち上げる。
そこには陽光を背にして私を覗き込む、懐かしい顔ぶれたちがいた。
「お久しぶり。元気でしたか?」
私の素気ない言葉に、彼らは顔を見合わせていた。
事件が起こらないと退屈でいけねぇと、カメラマンが言った。
老犬を連れた青年は、胸を叩いてすっかり元気だと言った。
いつまで経っても歳を取れないと、寂しげに笑う女が言った。
ソツギョウシキに出てみたいと、落ち着きのない子供が言った。
その子の頭をグリグリ撫でて、鈴を鳴らして女が笑った。
腕が鈍って仕方がないと、剣呑な目つきの男が言った。
店を持たせてくれるんじゃなかったのかと、黒衣のコックが言い募る。
僕のデビューもまだですよと、甘やかな苦情を少年がそれを追った。
出演料の振込みもまだだと、昼からほろ酔いの女が言った。
私は苦笑いを浮かべると、脇に置いてあるカバンへ目をやった。
その中から原稿用紙と万年筆を取り出し、再び顔を上げたとき、太陽の暖かな陽射しに目がくらんだ。
彼らは姿を消していた。
視界の端には、歌舞伎町一丁目のアーチ。
正面のビルの半地下には、あの店があるはずだ。
はたして彼らはまだ、私を迎えてくれるだろうか……