プレイングテクニックに関するいくつかのメモ。
マスタリング – ツァイガルニック効果
ツァイガルニック効果(Zeigarnik Effect)というものがあります。
心理学用語ですね。(認知心理学だっけ?)
簡潔に説明すると
というものです。
コマーシャルの世界ではよく使われている技術です。
「続きは WEB で!」とかね。
もちろん TRPG でも使えます(笑)
前に書いた『ダンジョンから出よう』では、起承転結の「承」について「プレイヤーに考えさせるパート」と書きましたが、これがツァイガルニック効果を実践する部分。
「承」では答えを出さず、あるいは答え“かもしれない”不完全な情報を出し、「それが正解か否か」に対して興味を持ってもらうことでプレイヤーの行動を促し、徐々に加速しながら「転」へと向かいます。
クイズの答え合わせって、ドキドキするでしょ? アレを演出するわけです(笑)
実践運用例 – エンディングの語り
ツァイガルニック効果を意図的に使用すると、効果的にセッションを印象付けることが出来ます。
一番シンプルなものは「解決しても謎が残る」という方法。
セッション後、冒険者たちがどうなったかなんてことは、シナリオ単位でゲームを見れば特に関係のないことですが、敢えて「その後の彼らの活躍については、いずれまた」と言葉にすれば、「次にどんな活躍をするのか」という期待を煽って「次はいつやろうか」という言葉を引き出しやすくなります。
あるいは「莫大な報酬を手に入れた君たちは」とか「こうしてしばらくは食うに困らないだけの金を手に入れた君たちは」とか、終了後に「いつもと少しだけ違う状況になった」ことを提示します。
そうすることで、将来への漠然とした不安、不透明さ、あるいは新しいことへのチャレンジを考えるなど、その先をハッキリと「未完成なもの」として意識させると、これまた「次はなにが起こるんだろう?」となりやすい。
また逆に、ツァイガルニック効果を解消することでカタルシスを得、物語からの解放を演出することもできます。
昔話の「幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし」がそれです。
別名「憑き物落とし」とも言います(笑)
まあ、そんな具合です。
プレイング理論 – 七つの習慣
自己啓発本を好んで読んでる人には、ちょっと懐かしい話かもしれませんが。
今から18年前、1990年に『7つの習慣』って本が出版されました。
アメリカで発売されている多くの自己啓発本を解析して、そのエッセンスとして七種類の法則を発見した、という話。
確か、こんな感じです。
- 自己責任を認識し、主体性を発揮する
- 目的を持って行動し、自立する
- 自己管理を徹底し、優先順位を明確にする
- Win-Win を考え、良好な人間関係を構築する
- 自分を理解してもらうために、まず相手を理解する
- 創造的な協力関係により相乗効果を構築する
- 常に自己研鑽を意識する
これらは全てリンクしていますから、全部を実践しようとしなくても、2~3個をやろうとすれば全体にいきわたるようになります。
(個人的には[3]と[4]を意識すれば他すべてに行き渡るんじゃないかと思うんですが)
で、それが何なのかというと、これってプレイング技術向上の基礎じゃないかと思うんですね。マスタリングもそうですが。
TRPG で意識的に〈対話〉を行う時は、特にそうです。
相手を理解し、自分を理解してもらう。
そして着地点を探し、Win-Winの関係を築く。
Win-Win の関係構築は、お互いの目的と優先順位を正しく理解されたときに、初めて意識的に行えるようになります。
ゲーム毎に様々なテクニックはありますが、僕はこの七つの法則をベースに派生させたり、逆に論拠たりうるかを考えてみたりすりゃあいいんじゃないかと思ってます。