[Manual] 箱庭型キャンペーンの設計書

 こんなものが役に立つのか? と思いつつ。
 だが書く(笑)

 僕が箱庭型キャンペーンゲームを遊ぶ前に準備しておくものです。
 まあ、設計書(または企画書)ですね。

(例によって友人に話したら「めんどくさい」と一刀両断にされました。いや、チミは普段こういう設定書を元に行われてるキャンペーンで遊んでるんですぜ(笑))

箱庭型キャンペーンゲーム設計書

 基本的に、上から下へ順番に決めていきます。
 ただまあ下のほうが先に決まってる場合もあります。
 その場合も一度分解して、上から決めなおします。

0. ユーザ
  • 0-1. 対象ユーザ = キャンペーンを遊ぶユーザを仮に設定する。対象ユーザのプレイスタイルやゲームスキルはもちろん、ゲーム外でゲームのことがどれだけ話せるか*1[ゲーム外でゲームのことがどれだけ話せるか] = コンセンサスを取るために重要なこと。箱庭ゲームにおいて私は「自分が遊びたいシナリオの傾向」を、「ぶっちゃけ」や「ハンドアウト」ではなく「ルール&データの追加・修正」によって提示したいと考えている。それにはコンセンサスが取れる環境であることが必須条件となる。、という点についても注意。これは後述のメカニズムに大きく影響する。
1. イメージ
  • 1-1. 世界観 = キャンペーンの舞台となる世界のイメージを決める。(例 : 近代、近未来、現代、SF、サイバーパンク、スペースオペラ、ファンタジー……)
  • 1-2. 物語観 = キャンペーンの、特に物語のイメージを決める。(例 : エピック、ジュヴナイル、スクールデイズ、スラップスティック、ハック&スラッシュ、ホラー、ミステリー、ミリタリー、ラブコメ……)
2. メカニズム
  • 2-1. 基本システム = イメージに適した基本システムを選ぶ。世界観をベースに、物語観に則した判定方式のものを選択する。(例 : スラップスティックなら派手な上方ロール、ホラーなら堅実な下方ロール)
  • 2-2. ルール修正 = 基本システムに含まれるルールが、イメージの表現を満たしているかを確認。基本システムに欠けているものがあれば、他のシステムからでもルールを援用する。*2[他のシステムからでもルールを援用する] = そのルールがプレイングにどのような影響を与えるのかに注意して抽出する。このとき過剰に基本システムのゲームバランスを大きく崩してしまわないよう数理に注意。これはゲームマスターが仕掛ける〈誘導因子〉である。
  • 2-3. ステージ基礎 = イメージに適したキャンペーンの舞台を設定する。ここは「箱庭世界の作り方」*3[箱庭世界の作り方] = 当ブログのエントリ「箱庭世界の作り方」および「箱庭世界の作り方(2)」を参照。を参照。
3. ステージ
  • 3-1. タイムシート = PC が関わらなかった場合に、ステージで発生するイベントを設定する。
  • 3-2. NPC ヒューリスティクス*4[ヒューリスティクス] = 必ずしも正解が求められるわけではないが、それなりの精度で正解に近い答えが求められる方法。速度を重視した解法。複雑な問題を解決しようとするとき、ほとんどの人がこれを行っている。たとえば意思決定をするときに、判断基準として優先順位を用い、下位のものをどんどん切り捨てていって上位のものだけで判断する、など。 = セッションの最中、シーン外にいる NPC たちの活動とその結果をどのように演算・決定するかを設定する。(例 : タスクシステム、簡易AIプログラムなど)
  • 3-3. ステージ用データ = メカニズムの表現に必要なデータを抽出し、不足があれば補完する。またシステムに不要なデータがあればこれを削除する。(例 : 一般装備、公共サービスなどの整備)
4. キャラクター
  • 4-1. PC の作成ガイドライン = 作成できる PC の選択肢を設定する。PC の個性化を阻害しないよう注意。(例 : 年齢、性別、職業、技能、レベルなど)
  • 4-2. NPC の作成ガイドライン = ステージ上に存在する NPC の選択肢を設定する。特に「一般人」「傑物」「協力者」「敵対者」など、それぞれのランクカテゴリに属する NPC の標準的なデータ上の強さも決めておく。

自己制御プログラムとして

 まあこれ、確かに面倒です(笑)
 物語観とか世界観とか、わざわざ大枠から決めている。そんなところから決めなくてもシステムを決めれば普通、それなりに絞られてくるはずなんですが。

 ただ、箱庭型のキャンペーンは常に複数のラインが休むことなく動き続けています。プレイ中のシナリオに登場するキャラクターだけが活動しているわけではありません。
 そのため、ステージの活動をセッション中にシミュレーションするとき、ある程度の指向性*5[ある程度の指向性] = 心理学で言う“認知バイアス”に相当。[*3]の例で言えば、「優先順位」およびその内容がこれに相当する。を自分に設定しておかないと、速度が出せずにテンポが悪くなってしまうことが少なくないわけで。

 こうした設計書は、言ってみれば自己制御プログラムみたいなモンです。

References

References
1 [ゲーム外でゲームのことがどれだけ話せるか] = コンセンサスを取るために重要なこと。箱庭ゲームにおいて私は「自分が遊びたいシナリオの傾向」を、「ぶっちゃけ」や「ハンドアウト」ではなく「ルール&データの追加・修正」によって提示したいと考えている。それにはコンセンサスが取れる環境であることが必須条件となる。
2 [他のシステムからでもルールを援用する] = そのルールがプレイングにどのような影響を与えるのかに注意して抽出する。このとき過剰に基本システムのゲームバランスを大きく崩してしまわないよう数理に注意。これはゲームマスターが仕掛ける〈誘導因子〉である。
3 [箱庭世界の作り方] = 当ブログのエントリ「箱庭世界の作り方」および「箱庭世界の作り方(2)」を参照。
4 [ヒューリスティクス] = 必ずしも正解が求められるわけではないが、それなりの精度で正解に近い答えが求められる方法。速度を重視した解法。複雑な問題を解決しようとするとき、ほとんどの人がこれを行っている。たとえば意思決定をするときに、判断基準として優先順位を用い、下位のものをどんどん切り捨てていって上位のものだけで判断する、など。
5 [ある程度の指向性] = 心理学で言う“認知バイアス”に相当。[*3]の例で言えば、「優先順位」およびその内容がこれに相当する。