ツーッ ツーッ ツーッ
受話器から聞こえる、うつろな音。
「さよなら」
耳の奥で、繰り返される声。
想うだけで幸せだった、横顔が薄れていく。
くず折れて見上げた空には、欠けた三日月。
なにも考えられない。
こころは今、地図にない国。
お題提供ページ:小説書きさんに50のお題
この掌篇連作には前述のルールのほかに、裏ルールというべきものがあります。それを遵守するのがえらく大変で、どこまで続くか、どこで破るかが、目下最大の懸案。
あとは前にコメントで書いたんですが、「情景が浮かぶ」ということ。これはむしろ好きな表現方法なんですが、問題は「掌篇で」という前提。何の因果か知りませんが、微に入り細を穿ち情景描写をするようなクセがついているので、言葉少なに表現するのが実に難しいです。
それでも、情景をイメージしながら文字をしぼり出すのは楽しいんですが。