[TSDE] TRPGシナリオ作成大全vol.9 プチレビュー(4)

長いこと放置してて伸び伸びになってしまったプチレビューですが。

Vol.9の記事も残り三つということで、今回で最後になります。

それでは今回のお品書き──

  1. インスタントなNPC造形
  2. 失敗を防ぐ
  3. 敵の数と処理時間

──以上。どれも本誌編集長の氷川霧霞氏のデータ系記事ですね。

インスタントなNPC造形

(概要)

(T)RPG のセッション/シナリオにおいて「いいNPC」とはどんな存在かを考え、それを作り、動かすためにはどうすればよいのか? というあたりを──

  • 能力
  • 内面
  • シナリオ上の役割

──に分けて、個々に解説しています。

(こんな人にオススメ)

自作したシナリオで NPC を、予定したとおりのポジションに座らせてもらえない(プレイヤーに役割を理解してもらえない)と感じたら、確認してみると良いと思います。

大抵の人は NPC を「物語の必要から作成する」と思いますんで、まずはシナリオを作ることを優先して。で、作り終わってから「このNPCはどんな役割になるのかな」「これでちゃんと動くかな」という辺りを確認する、チェックシート的に読むと良いかなーと思います。

(自分ならどう使うか)

うん。『化石的GM読本3』で扱う予定なんですよねこの話。どうしよう(笑)

失敗を防ぐ

(概要)

アンケートに集まった (T)RPG のセッション/シナリオにおける「失敗」について、特に多いケースの紹介と、その対策についてまとめています。

(こんな人にオススメ)

自分で GM して失敗したなーと沈んだり、自信喪失した人に。あなたが考える致命的な失敗なんて、だいたい皆やらかしてます(笑)

なので失敗そのものは、ただの体験でしかありません。まあ一回一回のセッションの価値が重い人にはそうも言ってられない! と思うかもしれませんが、気に病んだところで失敗するときは失敗しますし、そこで萎縮して今後遊べなくなってしまったなら、その方がよっぽど問題ですので。

(自分ならどう使うか)

チェックシートとして。後まあ自戒のために読みます。

今も読みながら内心でゴメンナサイしまくりました(笑)

敵の数と処理時間

(概要)

ゲーム処理にかかる時間は、単純に敵(障害)の数だけ倍に増えるわけではない。ちゃんと処理の工程を考えて、そこから敵の数とその処理にかかる時間とを計算して、より的確にプレイ時間を管理しましょう……という試みです。

どうやって計算すればよいのか。計算式の構築と、その実例についてザックリまとめています。

見開き2ページ、実質1ページですんで通読しておくことをオススメします。

(こんな人にオススメ)

シナリオを公開する際には、諸元:プレイ時間の目安を算出するために。

それからゲームマスターする人全員に。

ゲームシステムを習熟する上で、避けては通れない知識ですコレ。

(自分ならどう使うか)

Vol.6 に自分が寄稿した「楽できないシナリオ作り」でも、イベント数管理のチャート(p.27)にSAN値の遷移目安とイベント処理にかける時間の目安を書いてますが、工程数管理という意味では似たような感覚で設計しています。(判定回数に加えて状況把握に必要な情報開示を処理工程数とカウントしていますが)

ぶっちゃけこの辺の工程の解析は「ルールシステムを読む」プロセスの一貫だと思ってます。超大事。

総評

「TRPGシナリオ作成大全」シリーズは、本誌で一旦お休みとのことですが、なかなか濃厚な一冊だったと思います。

途中、体調崩したり渡米したりで間が空きまくっちゃいましたが、今回、再度通読してたんですが、いや、面白い。プチレビュー(3)でも書きましたが、創刊号のカオスが帰ってきたというか、どの記事も自己流が展開されててとてもエキサイティングです。

まさに「こういうのでいいいんだよ、こういうので」と言おうか(笑)

お休みは惜しいですけど、CoC ブームから始まったニューカマーの流入もだいぶ落ち着いてきて、新しいコミュニティも各自の流儀が生まれてきて、無法地帯から脱して来ているようですし、ちょうどよいタイミングだったのかなーと思ったりしなくもなく。

ニューカマー勢からも遊び慣れて一家言持ったゲーマーが出てくるでしょうし、そういう人たちの中からまた新しいか、懐かしいか、とにかく自己流のメソッド、自己流の遊びが展開されて賑わうことを楽しみに。

しばらくは充電期間ですね。

自分もちょっと思いついた話がいくつかあるんですが、他にアレコレ書きながら熟成させて、復刊? 再始動? されるのを楽しみに待ちたいと思います。

個別にレビュー書きたい記事とかもありますし。さすがに9冊もあったらね。読み込むだけでも一筋縄ではいかないわ。

といったところで、長らく編集長を務めてこられた氷川霧霞さんと、記事を寄稿されてきた諸兄らに感謝の気持ちを捧げつつ、ひとまずこれまでということで。

ありがとうございました!