[TSDE] TRPGシナリオ作成大全vol.9 先行プチレビュー(1)

お待たせしました『TRPGシナリオ作成大全vol.9』プチレビュー。

前回は目次を紹介しただけで終わっちゃったので今回が第1回ということで。

本シリーズでは以下の三つの視点でレビューしています。

  1. 概要
  2. こんな人にオススメ
  3. 自分ならどう使うか

それではいつもどおり、毎回 3 記事ずつ紹介していきます。

今回のおしながきは

  1. 続・やさしい人物関係シナリオから
  2. これでできる!クトゥルフのシナリオ改変
  3. 大全8でウタカゼシナリオに挑戦

続・やさしい人物関係シナリオから

執筆者は隆見ヲサム氏。

個人的には西部劇と (T)RPG に一家言あって、学術との近接を丁寧に進める方という印象。ずいぶんと前になりますが、〈見えざるゲーム盤(ImaginaryBoard)〉の論考ではお世話になったものです――改めて調べてみたら10年近く前になるんですね、あれ。

(概要)

『TRPGシナリオ作成大全vol.1』に寄稿されていた「やさしい人物関係シナリオ」の続編あるいは補講といったところでしょうか。

前回の記事に当たった方が理解は深まると思いますが、アクセスできない場合はざっくり以下の要点を踏まえておけば、大体 OK かと。

  • 物語は二者の関係に介入(協力・妨害)する第三者の登場で発生する
  • ドラマは三者の関係の不均衡から現れる

このロジックから、三者のパワーバランスに PC がどのように介入するかで、有機的にストーリーを生成するための初期配置、及び分岐パターンを構築する。というのがこの記事の概要……かな?

コアにあるのが数学的な記述なので、この手のエッセーを読み慣れてないとキツいかもしれません。

(こんな人にオススメ)

起承転結のシンプルな単線 (Liner) 型シナリオに飽きた方に。

「ぶっちゃけ」でストーリー分岐の可能性を封鎖し、予定通りの一本道を語るのではなく、プレイヤーの選択を許容しうる箱庭をどう作ればよいのか? その基幹になるロジックです。

いやまあ三者の一つを PC の勢力にしてしまえば、シンプルな勧善懲悪 or 悪漢のシナリオにも使えるんですが、それは他の起承転結とあまり違いがないので。(一般的な起承転結のロジックに馴染めない方には良いかもしれません)

シナリオ作成術としては、現在の分岐パターンを一通り記述するシナリオ記法からすると、記述量が肥大化してしまう可能性があるので、大きめのシナリオにする際は記述を圧縮するための工夫するか、「ぶっちゃけ」で閉鎖する必要があるかもです。肥大化するがままに任せて、何度も遊べるシナリオパックを作るのも面白そうですが。

ゲームマスターとしてグランドホテル型のシナリオを遊びたい方は、発想/運営の方法として体得しておくと良いと思います。

(自分ならどう使うか)

僕はこのロジック、 NPC の自然な振る舞いを出力するマスタリングや、キャンペーン運営の技法として使っています。

三者を勢力 (Opinion) とし、そのパワーバランスを数量化して、シナリオを管理するための運用ルールフレームを用意して……これまた『TRPGシナリオ作成大全vol.1』に寄稿した「名と数から生まれるキャンペーンゲーム」はこうした数量化のテクニックによって機能します。

これでできる!クトゥルフのシナリオ改変

執筆者はファイアドレイク氏。

『TRPGシナリオ作成大全vol.4』に寄稿されていた「未経験からの『艦これRPG』GM」は仲間内でも評判が良く、あの記事を読んで新人さんが一人 GM デビューしました。

(概要)

筆者が『るるいえびぎなーず』掲載のシナリオを改変して遊んだ経験から、『クトゥルフ神話TRPG』のシナリオをどんな手順で改変するのかについて解説しています。

……が、これ「改変」というか修正、改良の方法と言ったほうが良い気がします。

何しろ初手「まずは回そう」で改変元シナリオの陥穽の洗い出し(テストプレイ)をしろ、から始まるくらいですから。

テストプレイで洗い出された陥穽を埋めたり、あるいはそこを逆用したりして、より良いシナリオを作るためのアプローチが丁寧に解説されています。

(こんな人にオススメ)

シナリオ改良(及び良いアドリブ)のコツを掴みたい方、不特定多数に向けてシナリオを発表したい方は、読み込んでおいて損のない内容だと思います。

シナリオ改変、改良に興味がなくても、シナリオを回してみて「上手くいかなかったなあ」と思ったときに読み返すと、色々と気付いたり再確認できることがあるんじゃないかと。

自分の描きたいシナリオが先にある場合、『TRPGシナリオ作成大全vol.2』および『TRPGシナリオ作成大全vol.6』にもシナリオ改変の手順、また(叩き台とするシナリオは違いますが)シナリオ改変の実例を紹介している記事もありますので、まずはそちらでシナリオを改変し、テストプレイを経て、今度はこちらの記事を使って改良する……というコンボ技がオススメ(笑)

あとまあ手を動かすと違いますので、改変してみたい方はルールブックと筆記用具を用意しておくと良いかと思います。

(自分ならどう使うか)

シナリオ作成者のセルフチェックの良いガイドラインになるんじゃないかと。

僕自身、ストーリー型のシナリオを遊ぶことは少なくなりましたが、今後また入門者さん相手に遊ぶことがあったら、ガイダンスに使ったり勧めたりしたいなーと。

大全8でウタカゼシナリオに挑戦

執筆者は草野氏。

個人サークル「ならてぃぶ」として、『ウタカゼ』のシナリオ集の同人誌を刊行されてる方。こちらのプロフィールにこれまで公開してきたシナリオのリストが……沢山あります。すごいぞ。

今回の寄稿については Twitter の方で

とツイートされていましたが、実際読んでみると確かに「こういう記事が欲しかった」と今更ながらに思ってしまったのでした。

(概要)

『TRPGシナリオ作成大全vol.8』を使って実際にシナリオを作成していくプロセスを、具体例を織り込んで解説しています。

シナリオ作成大全、慣れた面々には様々な記事がガイドだったりフックだったりと大活躍なのですが、初心者さんの中には「そもそもどこから手を付ければ良いのか分からない」という致命的な穴があったりします。

そんな中で「実際にこういう手順で参考にしながら作ってみたよ」ってレポートになっていて、とてもわかり易い。

「自分がTRPG知ったばかりの頃に一番知りたい形の作成説明」というのも納得です。

ぶっちゃけ、参考にされてる記事群が羨ましくもあります(笑)

(こんな人にオススメ)

シナリオ作成大全に限った話でも無いんですが、とにかくどこから手を付けたら良いのか分からない人に。

まずは筆記用具を用意して、この記事の真似をしてみましょう。

あるいは作りかけのシナリオを、この記事の手順で一つずつ確認していってみましょう。

これはプログラミングの勉強で最初に「Hello World!!」と表示させるスクリプトから始めるようなもんです。面倒と思うかもしれませんが、手を動かして目の前に成果を作っていくことに価値があります。

(自分ならどう使うか)

読んでるだけで嬉しくなったり楽しくなったりする記事でした。なのでニヨニヨしながら読む、というのが一つ。

それから真面目な話をすると、新しいゲームシステムで自作シナリオをフルスクラッチで作るときに、この手順でなぞってみようかなと思いました。

大全の内容と相照らすことで、ゲームシステムの世界観(傾向)を割り出す助けになるんじゃないかとも思うんですよね。

次回は

というわけで今回はここまで。

次回は

  • 古めかしい、謎解きシナリオの作り方
  • 拠点防衛型シナリオ
  • 抽象化によるシナリオ構築

以上の三記事についてレビューします。

またちょっとクセの強そうなのがありますね。良いぞ良いぞ(笑)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください