なーんで夏は暑いのだー
とデロデロに溶けていたって仕方がないので、さっくり『TRPGシナリオ作成大全 Vol.4』のレビュー始めましょうか。
ゼロ年代から蒔かれていた種がようやく芽を出したような、そんな名著になってます。
邂逅シナリオフレームワーク
Sim 氏による群像劇シナリオの作り方および回し方講座です。
原則、第一幕から第二幕(オープニング~ミドル)までのシナリオの作り方、というか遊び方ですね。
従来のシナリオ構造では「定型のストーリー」を順守するために PC 間の関係性についてはプレイヤー任せになっていました。
ですがこの邂逅シナリオフレームワークでは、『七人の侍』をベースに「PC 間の関係性を描くこと自体をストーリーにしちゃおうぜ」ということで、 4つのチャートを使って状況や関係を生成するシナリオについて提案しています。
関係性の構築をストーリーに組み込むあたりまでは実践してる方もそれなりの人数がいるかもしれませんが、そこに判定まで入れちゃって(それによってプレイヤーの決定権に多少の制限をかけて)、また失敗したほうが美味しくなる可能性まで盛り込んでるあたり、いかにも古参のゲームマスターらしいというか。
僕も好きです、こういう手法(笑)
なぜこれが成立するのか、といったあたりのロジックをいつかちゃんと書きたいね。
シナリオハンドアウトの作成と機能
はい、自分が書いたモノはテキトーに流しますよー。
簡単に説明すると、これは「シナリオハンドアウトなんて昔は無かったよね。なんで作らなきゃいけないの?」ってのと、「シナリオハンドアウト作ったらシナリオ進行が楽になるってマジ? どういうこと?」って疑問に、なんとなーく答えたモノになります。
シナリオハンドアウト普及以後の、有って当たり前という若い方々にとっては、あんまり意味が無いかもしれません。
まあでも CoC とかの古いシナリオを解体して、シナリオハンドアウトを使ったストーリーテリング型のシナリオにリメイクする……とかそんな使い道はあると思います。
あとまあコッソリねじ込んだ、シナリオ構造のノード型解釈の図とかは、なにかの役に立つかもしれませんし立たないかもしれません。 [1]その辺の詳しい話はたぶん読本3でやります。
オブジェクト指向設計シナリオ
遂に出ました、オブジェクト指向によるシナリオ作成術。
個人的には本書における最重要テクストがこれ。
同書シリーズ編集長である氷川霧霞氏による力作です。
「あるいは TRPG で学ぶオブジェクト指向」のサブタイトルがついてますが、その通り、「オブジェクト指向ってなんじゃらほい?」ってところを、 TRPG のシナリオを通じて説明してくれています。
解説するとソレで終わっちゃう……というか「読めば分かるさ」という良記事です。
ぶっちゃけますと、自分が『TRPGシナリオ作成大全 Vol.2』で書いた「完全自作シナリオを手がける前に」は、この手法を従来の TRPG シナリオの用語にウェイトを置いて個別に書き下したようなモノなので、この「オブジェクト指向設計シナリオ」のロジックが理解できればアッサリ陳腐化したりします(笑) [2]注意点くらいは役に立つと思いますが。
オブジェクト指向の視点、超有効です。
読みましょう。
もう何年前になりましたっけね。 TRPG 界隈で「シナリオ作成に UML を導入できないか」って話が出たの。
あるいはもう手の届く所まで来てますよね、これ。
ってなところで
今日はここまで。
明日はお手軽に遊びたい人、NPCをフル活用したい人、「戦闘だけがTRPGじゃないやい!」と言いたい人向けの三記事を紹介します。
いやー評価していただける方が一人でも居てよかったです!
真面目な話、個人的に Vol.4 かなり重要なテクストになってくるんじゃないか? と思いましたヨ。
[TSDE] 『TRPGシナリオ作成大全 Vol.4』も読んでみよう.1 http://t.co/z7YaT4GNOh