[Manual] ダンジョンから出よう(3)

 さて、今回は起承転結の「承」です。
 ここは「プレイヤーに考えさせるパート」です。

「承」のイベント

 起承転結の承、つまりシナリオの進展に対して PC がどのように関わるのか。
 (1)でも書いたとおり、ここには≪鍵≫≪扉≫≪分岐≫≪補給≫≪罠≫が有ります。

 「承」のイベントは連続性を持たせず、個々のつながりについては漠然と想像させるだけにした方が、プレーの自由度が保証されて楽しめるかと思います。断続的なイベント群によって未消化の不快感を演出し、「結」の≪真相≫によって全てを連結させ、スッキリさせるのが典型的な用法です。

おさらい

 前回までの話の中で、特に「承」に関する部分だけ抽出しておきます。

【起承転結における「承」】

  • : 物語の中盤。起と転をつなぐブリッジ。

【ダンジョンにおける「承」】

  • : ダンジョンの探索。≪分岐≫や≪罠≫で PC を惑わせる。

【「承」のイベント傾向】

  • : ≪鍵≫≪扉≫≪分岐≫≪補給≫≪罠≫

イベント : ≪鍵≫

 ≪鍵≫とは、シナリオの状況を改善する情報にまつわるイベントのことです。
 このイベントでは「≪扉≫に対する≪鍵≫の情報または物品」を登場させます。

≪鍵≫に含まれる情報
  • ≪鍵≫の情報 : ≪鍵≫そのものに関する情報。
  • ≪扉≫の情報 : その≪鍵≫によって開かれる≪扉≫の情報。
≪鍵≫の例
  • 情報 : ≪目的≫達成のために必要な情報。
  • 異なる視点 : PC とは異なる視点からの情報。
  • 鍵/合言葉 : アイテムや情報によって≪扉≫を開ける。
  • 証拠品/真相 : 謎解き系によく登場する≪鍵≫の一種。

イベント : ≪扉≫

 ≪扉≫とはシナリオの進展を阻害し、状況を硬直化させるイベントのことです。
 このイベントでは「≪鍵≫の使用によるシナリオの進展」を判定します。

≪扉≫に含まれる情報
  • 必要な≪鍵≫ : その≪扉≫を開けるのに必要な≪鍵≫の情報。
  • 閉鎖中の状況 : ≪扉≫が閉じていることで生じる状況。
  • 解放後の状況 : ≪扉≫が開かれることで生じる状況。
≪扉≫の例
  • 隠し事 : 聞き出すために≪鍵≫が必要な、ある隠し事。
  • 空間的な扉 : 単純に空間を閉ざしている扉。≪鍵≫で開く。
  • 時間的な扉 : 時間によって≪鍵≫がかけられた扉。一定の時間が過ぎることで開かれたり、ある特定の時間帯のみ開かれたりする。

イベント : ≪分岐≫

 ≪分岐≫とは、シナリオの展開が分かれるイベントのことです。
 このイベントでは「次に起きるイベントをスイッチ」します。

≪分岐≫に含まれる情報
  • 分岐の選択肢 : 選べる分岐の数と、それぞれの分岐の情報。
  • 選択後の予告 : それぞれの選択肢を選んだ後のイベント予告。
≪分岐≫の例
  • 分かれ道 : 物理的な分かれ道。
  • スイッチ : あるスイッチの ON/OFF を切り替える。
  • 勢力 : 対立する幾つかの勢力のどれに加勢するか。

イベント : ≪補給≫

 ≪補給≫とは、ゲームのリソースを回復するイベントのことです。
 このイベントでは「あるリソースの残量を増やして行動の幅を拡張」します。

≪補給≫に含まれる情報
  • リソース残量 : 現段階のリソース量。
  • 補給のリスク : リソースを補給することによるリスク。
≪補給≫の例
  • 時間の延長 : 目的達成までの制限時間の拡張。
  • HP/MPの回復 : 一般的なダメージの回復。休憩所、野営など。
  • 金品の補充 : 金銭やアイテムを補充する。

イベント : ≪罠≫

 ≪罠≫とは、ゲームのリソースを PC から奪うイベントのことです。
 このイベントでは「あるリソースを減らして状況を切迫させる演出」をします。

≪罠≫に含まれる情報
  • リソース減少量 : どのリソースがどれだけ減るか。
  • 回避の手段 : ≪罠≫を回避するための手段。判定方法など。
  • 次イベント : ≪罠≫に陥った時に起こる次のイベント。
≪罠≫の例
  • 時間の短縮 : 目的達成の制限時間の短縮。状況の急転など。
  • HP/MPの消費 : 一般的なダメージ罠。雑魚敵との戦闘。
  • 金品の喪失 : 金銭やアイテムを消費させる。